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【読書メモ、抜粋】僕は君たちに武器を配りたい(瀧本哲史)【#83】

勉強して高学歴を手に入れ、高スキルの職業に就けば人生が安泰であるというのは、ほとんどの業界において崩壊している。

*勉強ブームの陰には「不安解消マーケティング」がある。勉強すれば大丈夫と安易に思うな!

市場に出回っている商品が、個性を失ってしまい、消費者にとってみればどのメーカーのどの商品を買っても大差がない状態。それを「コモディティ化」と呼ぶ。

コモディティとは「スペックが明確に定義できるもの」=材質、重さ、多いさ、数量など、数値や言葉ではっきりと定義できるものは、すべてコモディティ=個性のないものはすべてコモディティ

コモディティ化した市場は、恒常的に商品が余っている状態になるので、そこでの商品の値段は、供給側(買ってもらう側)の「限界利益」がゼロになるまで下がる。

コモディティ化した人材市場でも、応募者の間で「どれだけ安い給料で働けるか」という給料の値下げ競争が始まる。

「スペシャリティ」になるために必要なのは、これまでの枠組みの中で努力するのではなく、まず最初に資本主義の仕組みをよく理解して、どんな要素がコモディティとスペシャリティを分けるのか、それを熟知すること。

*全産業で「コモディティ化」が進んでいる。賃金を下げないためにはコモディティになるな!
*生き残るためには「スペシャリティ」な人間になること・「唯一の人」になれ!

*日本にやってきている「本物の資本主義」の姿を見極めよ!
*一部の「頭のいい人」ではなく、「より安く、よりいい商品」を作る人間が、社会を進歩させるシステムが資本主義。

この国で生きていく我々は、座して「国がどうにかしてくれるだろう」と状況が変化することを待っていてはいけない。それは、かつての旧ソ連の市民と同じ、他人まかせで貧しくなる道だ。

待っていても状況は悪くなる一方なのだ。今後は、個人レベルでビジネスモデルを変える、または新たなビジネスモデルを作り出す、ということに挑戦しなければ、多くのビジネスマンが生き残ることができなくなっていく。

*資本主義には3つのモデルチェンジ、「略奪」「交易」「生産性革命」があった。
*日本を支えてきた「擦り合わせ産業」はもはや通用しない。
*「ものづくり」にはこだわるな!国に頼るな!

*現役学生が起業するのは「高学歴ワーキングプア」への道。コモディティ企業を作るな!
*専業主婦はハイリスク。「婚活」ブームに踊らされずに、女性もキャリアを目指せ。

ロスチャイルド家は「地面に死体が転がっているような不景気なときに投資をし、まだ早すぎるというタイミングで売り抜けろ」というのがルールなのである。

*金融業界など高給で知られる会社ほど、変化が激しく、短命な商品の寿命がそのままビジネスの寿命になる。
*現在人気の企業でも40年後には消滅している可能性が大。就職ランキングに騙されるな!
*日本の国内市場は先細り間違いなし。海外で働くことも考えよ!

*大量のコマーシャルを打っている会社、「今流行っている」商品・サービスを売る会社には気をつけよ!
*生産性の低い40代、50代社員が幸せそうにしている会社には入るな!
*企業を見極めるポイントは「お客さんを大切にしているか」。顧客を大事にする会社は従業員も大切にする。

1.商品を遠くに運んで売ることができる人(トレーダー)
2.自分の専門性を高めて、高いスキルによって仕事をする人(エキスパート)
3.商品に付加価値をつけて、市場に合わせて売ることができる人(マーケター)
4.全く新しい仕組みをイノベーションできる人(イノベーター)
5.自分が起業家となり、みんなをマネージ(管理)してリーダーとして行動する人(リーダー)
6.投資家として市場に参加している人(インベスター=投資家)

「資本主義社会の中で安い値段でこき使われず(コモディティにならず)に、主体的に稼ぐ人間になるためには、この6タイプのいずれかの人種になるのがもっとも近道となる」
だがこの6タイプの中でも、今後生き残っていくのが難しくなるだろう人種がいる。
それは、最初に挙げた「トレーダー」と「エキスパート」という2つのタイプだ。

*資本主義の世界で、稼ぐことができるのは6タイプ。
*しかしそのうちの「トレーダー」と「エキスパート」は価値を失いつつある。

便宜上、人間のタイプを4種類に分類しているが、ここでどれかひとつのタイプを目指せ、という話をしたいわけではない。望ましいのは、一人のビジネスパーソンが状況に応じて、この4つの顔を使い分けることだ。

マーケターとは、端的に定義すると、「顧客の需要を満たすことが出来る人」のことだ。
大切なのは、「顧客自体を新たに再定義する」ということである。つまり、人々の新しいライフスタイルや、新たに生まれてきた文化的な潮流を見つけられる人のことを指す。自分自身で何か画期的なアイデアを持っている必要はない。
重要なのは、世の中で新たに始まりつつある、かすかな動きを感じ取る感度のよさと、なぜそういう動きが生じてきたのかを正確に推理できる、分析力である。さらに売るモノは同じでも、「ストーリー」や「ブランド」といった一見捉えどころのない、ふわふわした付加価値や違いを作れることだ。

*マーケターとは新しくない要素の組み合わせで「差異」を作り出せる人のこと。これからのビジネスは「差異」が左右する。
*企業や商品で差をつけることは難しい。差をつけるには、ターゲットとなった顧客が共感できるストーリーを作ること。

*自分自身も「商品」・売る「場所」を変えることで全く結果が違ってくる。
*「自分の頭で物事を考えない人」は、信者ビジネスのカモにされる。

「イノベーション」を生み出す発想力は、何も特殊な才能の持ち主のみが持っている限られた能力ではない。努力次第で誰でも伸ばすことができる力だと私は考えている。

日本ではよく「技術革新」と訳されるが、実は「新結合」という言葉が一番この言葉の本質を捉えた訳語だと私は考えている。既存のものを、今までとは違う組み合わせ方で提示すること。それがイノベーションの本質だ。

*自分の働く業界について、ヒト、モノ、カネの流れを徹底的に研究しろ!
*イノベーションのチャンスは「今しょぼい業界」にある。
*「TTP(徹底的にパクる)」と「逆の発想」がイノベーションを生む。

リーダーには、優秀だがわがままな人をマネージするスキルも大切だが、優秀ではない人をマネージするスキルの方が重要なのである。ダメなところが多々ある人材に、あまり高い給料を払わずとも、モチベーションを高く仕事をしてもらうように持っていくのが本当のマネジメント力なのだ。

日本人の多くは、謙虚で素晴らしい人格を持ったリーダーを好むが、そういう人は実際にはリーダーにはなれないのである。歴史に名を残すレベルの企業を作ったようなリーダーというのは、みなある種の「狂気の人」であることが多いのだ。

だいたいリーダータイプの人間は、意見がころころ変わる。結果を出すためにすぐ考え方を変えられる、適応力の高い人が向いている。

またリーダーは多くの人から支持される人物だと思いがちだが、それも大きな間違いだ。実際には人間を「敵と味方」に二分して、敵である相手を徹底的に叩き潰すといったタイプが多い。

実際のところ革命的なことを成し遂げるリーダーの多くは、ある種の人格破綻者であるか、あるいは新興宗教の教祖のような自己愛の塊である。そして、そうした強烈なリーダーが率いるからこそ、組織は成功するのである。

*「駄馬」を使いこなすのが本当のマネジメント。
*クレイジーな人はコンプレックスを原動力とせよ!
*クレイジーでない人はリーダーのサポート役になれ!

投資家的に生きるうえで必要なのが、「リスク」と「リターン」をきちんと把握することである。成功している投資家でも、すべての投資が成功しているわけではない。だがシリコンバレーの投資家たちはリスクを回避することよりも、リスクを見込んでも投資機会を増やすことを重視する。
それはなぜか。投資という行為は、何よりも「分母」が大切だからだ。ひとつの案件にだけ投資するのは、カジノのルーレットで1カ所だけにチップを置くようなものなのだ。重要なのは、できるだけたくさん張ることなのである。

つまり投資家として生きるのならば、人生のあらゆる局面において、「ローリスク・ローリターン」の選択肢を選んで安全策をとるより、「ハイリスク・ハイリターン」の投資機会をなるべくたくさん持つことが重要となる。

ただし注意すべき点がある。それは「自分で管理できる範囲でリスクをとれ」ということだ。

*ローリスクより、リスクが取れる範囲のハイリスク・ハイリターンの選択肢をたくさん選べ。
*サラリーマンとは知らないうちにリスクを他人に丸投げするハイリスクな生き方。リスクは自分自身でコントロールせよ!
*投資は、長期的な視点で富を生み出し続けるか、人が信頼できるか、の2点で判断する。

「株式投資ではない形で、インサイダー取引をすればいい」のである。その場合は100%合法だ。公開株式に株式投資するのではなく、自分の知識や労働力や人脈を投資して、インサイダー取引をすればいいのである。
例えば、「このお客さんは必ず伸びるから今のうちに重点的に訪問してパイプを作っておこう」というのはインサイダー取引ではない。つまり相手が上場企業であっても、株式投資以外の方法で投資するのであれば、何の問題もないのである。
これから生き残っていくのは、個人も会社も、そうした「投資」をきちんと行っていけるかどうかにかかっている。

生産性革命の時代ならば、株式会社の資産とは金を出せば購入できる工場や機械などの設備だった。しかし現在の産業は、設備や機械があれば成り立つような単純なものではなくなっている。たえずイノベーションを生み出すことができる知性や、全く異なる属性のものを結びつけてオリジナルなモノを作り出す発想力を持った人材そのものが資産となっているのである。

*日経新聞を読んでもけっして鵜呑みにするな。
*機関投資家は個人投資家をカモにしている。株式投資は「損して学ぶ」つもりで挑め。
*トレンドとサイクルを見極めることができればリターンが得られる。

世の中の多くの”残念な人”は、「自分で調べる一手間」をかけようとしない。しかし投資家として生きるのであれば、あるゆることについて自分で調べてみて、考えて結論を出すことが必要となる。

このように投資家的に考える習慣というのは、実際に自分の手足を使って、行動をしてみることで身につくスキルなのである。

自分の信じる道が「正しい」と確信できるのであれば、「出る杭」になることを厭うべきではない。人生ではリスクを取らないことこそが、大きなリスクとなるのである。

*投資家として働くことで、世の中の見方が一変する。
*公開されている情報からでも、普通の人がやらない「一手間」をかけることで、大きな果実を手に入れられる。
*大学では「奴隷の勉強」に時間をかけず、自由人になるための「リベラル・アーツ」を学べ。
*本当の資本主義の時代に、「本当に人間らしい関係」を探っていこう。

おわり


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