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【読書メモ】始皇帝 中華統一の思想 『キングダム』で解く中国大陸の謎(渡邉義浩)【#48】

『キングダム』が好きな人であれば読むべき本です。ただただ面白かったです。この本を読めば『キングダム』の面白さが2倍にも、3倍にもなります。

中国史に興味がある人も読んで損はないです。項羽と劉邦、光武帝、三国志などなど、秦の後に現れた国々が、どういう理論で中華を統一したいと思っていたのか。どういう統治システムが採用されてきたのかが、とてもよく分かります。

出版社内容情報
【『キングダム』から、2000年間、中国を「影」から支配してきた原理を読み解く! 】
・秦の統一は400年早かった。秦を「異常な国」に変えた法家の思想
・媧燐も李牧も呉鳳明も、なぜ「他国を滅ぼして中華統一する」と言わないのか?
・なぜ鄴の城主は難民を受け入れたか? 背後にあった氏族制社会
・李牧の「七国同盟」は、既得権者たちの抵抗の象徴
・2000年間、中国大陸を規定してきた国家モデル「古典中国」
・中国人はなぜこれほど「自信満々」なのか?

【本の内容】
●秦は「ベンチャー的体質」ゆえに中華統一できた●
初の中華統一を成し遂げた秦は、もともと「田舎の小国」に過ぎなかった。
しかし、既得権者も少数だったため、リーダーが「抵抗勢力」を封じ込めることができた。
「技術革新」にいち早く対応し、新たな社会体制を構築できたのだ。
一方の六国は、フットワークが重く、テクノロジーがもたらす「新しい秩序」に背を向けたことで、秦に敗れた。

●法家は歴代帝国に引き継がれた●
秦が社会体制変革を行なう際に、理論的支柱となったのが「法家」の思想だった。
これにより、国内の全リソースを「君主」一人が管理・収奪するシステムを作り上げる。
秦の滅亡後も、法家は形を変え、歴代国家に引き継がれた。
結果、人類史上、中国大陸でだけ、繰り返し統一帝国が興ることとなった。
中国大陸の帝国が、広大な領土を中央から一律に支配し続けたのは、「始皇帝の遺産」を引き継いだからなのだ。
そして、法家は現代中国でよみがえりつつあるように見える。

●『キングダム』で通奏低音のように流れる法家●
原泰久氏の漫画『キングダム』では、法家改革後の秦と、旧式の社会体制である六国の対比が見事に描かれている。
本書では、『キングダム』という物語に流れる地下水脈を、25点もの名場面を引用しながら縦横に解説する。

【目次】
第1章 『キングダム』前夜 ‾春秋・戦国時代はなぜ550年も続いたのか?
第2章 法家と秦の大改革
第3章 中華統一と空前の権力
第4章 始皇帝はなぜ儒家を憎んだのか
第5章 理想のゆくえ

紀伊国屋書店

法家って何?
古典中国って?
昔から続いていた氏姓制度は何が問題なの?
李牧が起こした合従軍って中華統一とは何が違うの?
楚は大国なのに、どうして中華統一を目指さないの?
李牧ってすごいの?
中華統一がされた後はどうなるの?
今の漢民族って、秦とどういう関係があるの?

『キングダム』を読みながらこういう疑問を持った人は、答えが書かれています。ネタバレというか史実は書かれていますが、ここまで本編を参照しながら、ネタバレなく、しかもキャラやストーリーの解説が盛り込まれてて、キングダムファンが満足できることは確実です。

その他にも、楚のところで出てくる項翼(こうよく)のお父さんが項燕(こうえん)でしょ?項燕(こうえん)は実在の武将で、秦の統一に反乱を起こしたのが楚で、滅ぼしたのが楚の項羽と劉邦で、項羽のおじいさんが項燕で・・・という感じで、歴史の中をあっちこっち想像が行き来して、ワクワクが止まりません。

逆に、これを読んで、ここからキングダムに手を出してしまう人もいるんじゃないかと心配していしまいます。すでに64巻も出ているので・・・・

おわり


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