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vol.214 個展作品 モデル:美味さん

緋色展の展示作品モデルさん4人目は美味さん。

美味さんとは彼女がまだモデルとして活動する直前に向陽はなさんの紹介でお会いしたことがあります。

あの時に感じたのはとても瞳に力のあるモデルさんだと言うこと。

そしてデビューしてから一気に名が知られ、名古屋の写真展にはなくてはならい存在にまで駆け上がりました。
そんな美味さんの1番の魅力は表現力。圧倒的な表現力は良い意味で全ての作品が彼女の色である美味色に染まってしまう。

だから最初期から彼女を知っていて尚且つ撮影もしていた自分は彼女との展示は自分の色が全面に押し出したものであり、自分の世界観が表現できるものにしたいと思った。

色々考えて美味さんと作り上げた作品は人間の都合で居場所を失い数を減らすこの世界に住まう生き物の総体を表現してもうことになった。
普通ならモデルさんが難色を示すようなカメラマンからの依頼ですが、それを嬉々として受け入れる美味さんはさすがです。

そして美味色にならないように準備をして撮影に臨んだ結果・・・。

やはり美味色になったw

でも、その撮影結果にとても満足している自分がいるのが何かしら誇らしかったのを今でも覚えています。

初めて写真に文字を入れた作品を作った

展示作品から一部抜粋。

「 声なきもの 」
Model:美味さん

「鳥の血に悲しめど、魚の血に悲しまず、声あるものは幸福也」(斎藤緑雨、一部抜粋)。
人間は自分たちの生活を豊かにするために多くのものを壊してきた。この作品は人が幸せになるために犠牲になった声なき生き物たちの最後の一瞬である。

人間の都合で山は削られ、人間の都合で水は堰き止められた。
人間の都合で川は灰褐色の石で固められ、人間の都合で田や畑には毒が撒かれた。
汚れた水が川に流れ込み魚は消え、虫が消え、鳥も消えた。
先祖代々住んでいた川も汚され、行き場のない怒りを抱いてそれでも生きていかなければと故郷を捨てた、その身に人の世の汚れを纏い人の世に紛れて生きていく。
時折、故郷の水が恋しくなるが汚染された水に呑まれた故郷はもう無い。
仕方がないと諦めて雨に打たれて羽根を伸ばすが、その雨も人の世の汚れに満ちている。

声あるものは幸せ也。
声あるものがいなくなれば誰かが気が付く、声なきものが消えても誰も気づかない。
声あるものは幸せ也。
声あるものから流れる血に悲しむものは多く、声なきものの血に悲しむものは少ない。

解説、後書きのようなもの

今回、個展の展示作品の一つは必ず美味さんと作った作品を展示しようと決めていた。そして意外かもしれないが自分と美味さんの共作としての作品展示はこれが初めてだ。

なぜなら美味さんは表現力が高いが故に中途半端な作品コンセプトでは美味さんの個性の前に全てが彼女の色に染まってしまう気がしていた。
それでもそんな彼女で展示をしたいという思いも同時にあった。その時は胸を張って自分の感性による作品だと言える撮影、作品にしたかった。そしてこの個展がその時だという想いと自信があり今回声を掛けさせてもらった。

今回、声なき生き物たちの思念の集合体としてこの世から消えゆく生き物のその最後の一瞬を美味さんに演じてもらった。人間の都合で開発され、壊れた生態系の中では生きられず、ゴミや汚れにまみれて死に絶え、この世から姿を消していく声なき生き物たち。
人は今の生活を改める事ができない。その陰で失われていく命がいくつあるか考えずに。
人は声あるものの死には悲しむけれども、声なき生き物の死に悲しむことはない。
冒頭の斎藤緑雨の言葉は言い得て妙である。

こちらが美味さんと作り上げた作品のキャプションです。

さて、ここからは裏話的なやつです。
作品が二重組み写真になっていることは先のなつみ。さんの記事でお話ししたので今回は撮影前の美味さんとのやりとりを。

二重組み写真

撮影場所を探しにロケハンを繰り返していた自分が最後にとある三重県の公園に行き着きました。
その公園をふらふらと歩いていたら形の良い街灯を見つけてすぐ日ここで夜撮しようと思い美味さんに連絡を入れたのですが・・・。

あとで調べてわかったのがこの公園は夜になると出ると有名でした(何がとは言いません)。
で、自分も美味さんもそっち系は苦手なので二人でお昼から夕方にかけての撮影に切り替えよっかとDMでやりとりしておりました。

で、雨の中の撮影がいいなと思い梅雨時期に撮影日を設定したのですが・・・。なんとその日にまさかの豪雨、集中豪雨と言い換えてもいいような雨の中で車も走らせることはできないくらい酷い雨でした。

こりゃ延期かなと思っていたところ。
美味さんが駅に着くわずか10分前にぴたりと雨は止み、綺麗な晴れ間が広がりました・・・。
おお、よかったよかったと二人で喜んで撮影し、美味さんと別れた後になって気づきました。

雨の中で撮ってないw

本来は雨撮予定で梅雨時期に撮影日を決めたこと豪雨から綺麗な晴れ間に変わり一安心したので忘れてました。

特にオチはありませんが、こんなこともあったというお話でした。

では、また。

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