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vol.213 個展作品 モデル:なつみ。さん

緋色展の展示作品モデルさん3人目はなつみ。さん。

自分は仕事で石油由来の資材を卸す商社に勤めている。
海洋プラスチックの問題などはかなり仕事に関わってくる話であり、そのためよくテレビの報道など見ていた。でも、正直プラスチックの何が問題なのだろうと思うこともしばしばある。

というのも少し前の報道では何が何でもプラスチックが悪いという意図があるように感じられるような報道ばかりだったと感じた。

あまり話を突っ込むと政治的な話にもなりかねないのでここではこれ以上触れないが、自分としてはプラスチックが悪なのではなく、海や川や山に捨てている人間のほうが悪いというスタンスでいるからだ。

撮影風景

これには世代間格差もあるが自分が小さい頃は森林伐採をやめようというスローガンのもとで急速にプラスチックが普及した記憶がある。
それから世の中はより一層良くなった記憶がある。特にペットボトルに入ったジュースは蓋を閉めれば飲み切らなくても大丈夫なのは子供ながらにありがたかった。(昔は缶か瓶しか無く、開けたら飲み切るのが普通だった)

撮影風景

ただ、持続可能な社会実現に向けた取り組みを否定するつもりは毛頭なく、あくまでも人間の都合で不法投棄しているから環境破壊につながっている現実から目を背け、善でも悪でもないただのモノであるプラスチックに全ての原因であるというのは違うのではないかという考えだ。

撮影のためのセッティング

プラスチックによって生活が変わりその利便性を追体験してきた世代だからこそ、今の報道に疑問を感じだからこそ、今回の作品を撮ろうと思った。

撮影準備中。

使用したスタジオは名古屋市名東区のプライムレンタルスペース藤が丘さんです。

※撮影に使用したプラスチック容器については全て適切に処分しました。

ちなみにこの作品には元ネタがあり、最後にネタバラシしています。


「 plastics 」
Model:なつみ。さん

人の身体は食べ物によって生命活動を維持している。そこに議論の余地はない。
けれど、その食べ物はどうやって運ばれるのだろうか。

答えは「多くの食品は石油由来のプラスチック包装資材によって運ばれている。」だ。
野菜を入れる袋、肉や魚を入れるトレイ、惣菜を詰める容器、お米を入れるビニール袋にラップやペットボトル、衛生的に大量調理する際に必要な手袋もまたプラスチックだ。

人がこの近現代において健康で文化的に過ごすために必要なものはなんだろうか。
扇風機、エアコン、パソコン、スマホ、車、冷蔵庫、洗濯機などだろうか。そしてその全てにプラスチックは使われている。そう、全てにプラスチックが使われている。

プラスチックは生活を豊かにし、人々に衛生的な食品を提供してきた。

近年、海洋プラスチックの問題が提唱されプラスチックがいかにも社会悪として語られ始めたが自分にはプラスチックを適切に処理できない人間がプラスチックという善でも悪でもない「モノ」に対して責任転嫁をしているようにしか見えない。

もし仮に今、プラスチックのない世界を目指そうとしたらどうなるのだろうか。
醤油や料理酒、味醂は重たい瓶で購入し、ボウルを持って豆腐を買いに行くことになる。
魚は一匹買って自宅で捌くことになり、肉は竹の葉で包んで持ち帰る。乾燥防止のため土のついた大根などの根菜でスーパーの床は泥まみれになり、日持ちのするレトルトのパウチやスナック菓子は棚から消えるだろう。
自動車は今より重くなり道路は年中舗装工事、スマホは軽さを維持する為にチタンが使われて高級品になるかもしれない。
そして何より、主食の米は藁で作った米俵で運ぶのだろうか。それがプラスチックの無い世界を目指した結果として受け入れられるのだろうか。

極論に聞こえるだろう。だがプラスチックに替わる「安くて、加工しやすく、環境負荷の小さい」代替品を人類が提示できないことは事実であり、これが今の人間の限界である。

認めなければならない。プラスチックの優位性を。
模索しなければならない。健康で文化的な生活とプラスチックが共存できる社会を。
認識しなければならない。プラスチックに人は生かされ、害されていることを。

こちらがなつみ、さんと作り上げた作品のキャプション。

2月に一度撮影し、編集を終えて展示の組み方を考えている中でどうしても別カットが欲しくなり6月ごろに同じ衣装で再撮をしました。

その結果、自分では大変満足いく作品ができたと思っています。
この撮影に協力してくれたなつみ。さんに改めて感謝です。

そして、今回の個展でやりたかった展示が美味さんとなつみ。さんの作品を掛け合わせた二重組み写真という表現方法です。

なつみ。さんの作品は単体でも組み写真になっていますが、隣の美味さんとの対比になっていて(設営も内容も)二つの作品が一つの作品になるようになっています。

美味さんは右肩下がりに数を減らし、なつみ。さんの作品では右肩上がりに増えるplasticsの総量を表しています。

こういうことができるのもまた個展ならでは。ですね。


さて、ここで一番最初の写真の元ネタの公開です。
こちら知り合いのカメラマン界隈でプチバズりした「ラーメン美味しかったなの顔」と呼ばれる一枚です。
本当にラーメン二人で食べた後だったんですけどね。

元ネタ

あの一枚、これを知っている人にはウケたようですw


では、また。

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