vol.219 個展作品 モデル:Urさん
緋色展の展示作品モデルさん9人目はUrさん。
Urさんは今年主催をさせていただいたfilmportrait展のモデルになってもらったのが初めての撮影でした。
その時は文字とUrさんを重ねる多重露光で作品を撮りました。
その撮影の際に、久しぶりの多重露光だったので失敗してはいけないと保険をかけた撮影をもう一つしておりました。
それがファッション雑誌の読者モデルの撮影現場をイメージした写真でした。(あぁ、こういう写真ねってわかるものは下に写真を貼っておきますのでイメージがつくかと思います。)
結局は多重露光がまぁまぁうまくいったので多重露光の作品を出したのですが保険をかけた撮影も悪くないなという思いがあり、今回の個展で仕事として撮影しているUrさん、仕事終わりのオフのUrさんという2パターンを同時に展示できないか考えました。
「 A moment with U 」
Model:Urさん
小さいスタジオでの撮影。それでもようやくここまできたという思い。
彼女が事務所に面接に来た時、手が空いているからという理由で面接に同席した。
十年一日、そんな仕事を繰り返す自分にとって面接の同席など湖面にわずかな波紋が広がる程度の変化に過ぎなかった。
彼女を見るまでは・・・。
一目見た瞬間に何か惹かれるものがあった。
言葉にすればそうなるのかもしれない、けれど言葉がすぐに意味消失するように言葉にできない彼女の「何か」に惹かれた自分がいた。
そして、彼女を担当することになりほんのわずかな変化が連鎖的に起きはじめる。
小さな事務所は人手も売上もコネクションも全て、何もかもが足りない。有名ファッション誌の仕事は数年に一回声が掛かるかどうかだった。それも仕方がない。そう以前の自分は諦めていた。そんな達観し、流れに身を任せて波風を立てない事が人生だと思い定めていた自分が彼女の不思議な魅力に引き込まれるように仕事に打ち込んだ。
小さな仕事であっても手を抜かない彼女が一つ、また一つ仕事をこなす度に着実に界隈の中で名前が浸透していく。いつしか10の仕事が終わると1度、彼女の名前が界隈で上がるようになった。それが6の仕事が終わると彼女の名前が上がるようになり、3の仕事が終われば彼女の名前を聞くようになり、仕事を受けただけで彼女の名前が上がるようになった。それでもこの業界の中での話、名前が上がると言ってもほんの一瞬。それでも前に進んでいるという実感の中で仕事をするのは楽しかった。
撮影現場での仕事が終わった帰り道。
多くの人が行き交う中をまるでひらひらと舞う蝶のように通行人を避けながら歩くあなたの後ろをついて行く。
「ねぇ、ジュース飲みたい」
急に立ち止まって振り向いたあなたの表情や髪の流れる様よりもその瞳に目を奪われる。子供のような瞳でも、大人の女性のような瞳でもなく、まして仕事の時の瞳でもない。そんな言いようの無い瞳。そして理解する、あなたに惹かれた「何か」の正体を。
「早く行こうよ」と催促するその瞳はいつも知る瞳だった。あれは一瞬の幻かもしれなかった、それでも自分だけが知る幻であればいつまでも浸っていたいと思う。
展示作品がなんか窮屈になってますが、画廊からいただいた俯瞰図に書いてある寸法が実際の寸法と違っていたので急遽このような展示になってしまいました。
また、キャプションはフィクションです。
仕事のUrさんとオフのUrさんというメリハリをつけるためにどういうストーリーがいいのか考えた末にフィクションの物語を作ることにしました。
イメージは読者モデルのスタジオ撮影です。
※あくまで自分のイメージです、撮影仕事はしたことないのであくまでイメージです。くどいw
仕事の合間のオフショット風な写真。
オフのUrさんをイメージした作品を久屋大通で撮ってきました。
今回、オフのちょっと間の抜けたUrさんを展示のメインにしたのはUrさんはここ毎年connectというモデル展をされています。
そのため、どんな写真を撮っても見る人が意識無意識関係なくconnectの作品と比べられることは必須だと思います。
特にconnectの出展者はUrさんを長年撮影している猛者ばかりw
そこで、個展では今までに展示で見たことないオフのUrさんを出そうと考えました。
さらにそこにオンとオフという世界観を作り込むことでちょっと間の抜けた写真がより新鮮な印象的になるようにしたのがこの作品の特徴だと思います。
では、また。
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