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vol.223 個展作品 モデル:Mewさん

緋色展、最後のモデルさんはMewさん。
Mewさんは以前からSNSで知っていて、時々撮影会にも参加されていていつかタイミングが合えば撮影したいなと思っていたところにコロナが流行し、Mewさんが撮影会に参加することはなくなりました。コロナの影響でMewさんは撮影の世界から距離を置かれたのかなと縁はなかったんだろうとおもうことにしました。

そんなMewさんをなぜこの個展の最後作品にお願いすることになったのか。
それは本当に偶然から始まりました。

SNSで自分が投稿した写真にMewさんが反応してくれたことをストーリーで正直に嬉しかったとUPしたところ、そのストーリーにMewさんご本人から直接反応がありました。
(後で知ったんですが、Mewさんと仲の良いカメラマンがMewさんに自分のストーリーを伝えてくれていたようです。)

当時まだ何も知らない自分からしたら直接繋がったMewさんとの縁。
思い切って個展のモデルさんとしてオファーを出し、紆余曲折を経て初めての撮影が展示作品撮影となりました。

こちらが展示作品になります。

とても綺麗なMewさんだからこそシュールな作品をお願いしました。

「 Chat GPT 」
Model:Mewさん

 ある日、車のラジオからChat GPTなるものの可能性についてパーソナリティーが興奮気味に話をしているのを聞いた。どんな内容を話していたのかは忘れたが強烈な不安を覚えたことだけは今も忘れない。
その時感じた不安はA Iの普及により、もしかしたらこれから先の未来は芸術という感性の世界でも人がA I相手にコードを打ち込むだけで作った作品を人が鑑賞し、楽しむ時代が来るのではないのか。人が人の創った創造物に感動することは無くなるのではないだろうかという不安だった。
そしてその数日後、A Iで作成した画像が写真コンテストで優秀賞を受賞したというニュースが流れた。この件については色々出展者と運営側とで事前にやり取りがあったという続報もあったが、写真を撮り続けていくことを考えさせられる出来事だった。
現代社会で写真=デジタルアートである以上、A I技術で類似するものをデジタル的に作り出せることは先の通りだ。文章においても先日とある大学院生代表者が卒業式の答辞をA Iで作成したと話題になった。そんな世の中にあってクリエイターとして写真を撮る者として何を残していけばいいのか。

この作品はその時に抱いた不安を形にした作品である。
料理をしている時。ヨガをしている時。髪をセットしている時。動画を見ている時。端末さえあれば誰でもクリエイターになれる世界。
文章を作るにペンと紙は要らず、デジタル画像の作成にはカメラもレンズも必要ない。絵画調に仕上げるコードを入力すれば絵の具もカンヴァスもイーゼルも要らない時代。
そんな時代、世界にあって三脚はカメラを支える物ではなく、端末を支えるためだけに活用されるかもしれない。

ラジオから流れてくるパーソナリティーがこれから到来するであろうA I技術による新しい創造の可能性に興奮する声。それに反比例するかのように自分はどうやったら自分自身が写真を撮る者として、曲がりなりにも創造する側の人間としてどう生きていくかステアリングを握りしめながら考えていた。
そんな未来に対して暗澹たる気持ちの中でこの感情を作品にしようと考えた。Chat GPTを使いこなす人間を面白おかしく撮ろうと。そして思い浮かんだ作品をどう表現できるのか、誰にモデルとして依頼するのか考えている時に気づいたことがある。
アナログな人間がデジタルなA Iに対抗できる可能性。
それは人が元来持っている感情であり、「0」と「1」の世界には存在しない概念である「好奇心」こそが人の創造とA Iとを分つ答えなのかもしれない、と。

こちらがMewさんと作り上げた作品のキャプション。
AIによってクリエイターとしての存在意義が消失してしまうかもしれないという不安、そこからどうクリエイターとして自分自身の存在意義を見つければいいのか葛藤した中で完璧では無いが今の自分には必要な答えを得た時に頭の中に浮かんだイメージをそのままを作品にしました。

こんなシュールな作品に色々協力してくれたMewさんには本当に感謝しかなく、また機会があれば撮影をしたいモデルさんです。


A1サイズにキャンバス生地で展示しました。

こちらからはオフショットになります。

別カット1
別カット2

Mewさんは自分がポートレート写真を撮り始めた当初は撮影愛にも参加されていたのですが、その時はこちらの予定と合わず撮影会にお邪魔することもできませんでした。
そのうち、コロナが流行し始めたことをきっかけにMewさんが撮影会に出ることはなくなり、撮影会に出ている時に一度撮影会に行けばよかったと思うようになりました。

そんな過去があるので、ひょうんなことで繋がった縁から撮影できたこの作品はとてもお気に入りの一枚です。

では、また。

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