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空港保安検査の話。

高校卒業してすぐに就職した先が空港の保安検査員だったということで、今回はそのことについて話していこうと思います。

そもそも、私はこの仕事に対して元から高いモチベーションでやってたわけじゃないです。

高校卒業時の私は就職先、進学先決まるのが学年で最後でどうしてもそこにせざるを得なかったのです。

私自身高校入学したての頃進学するという気持ちは家が貧乏だったのでそんなになかったのですが、高二の頃空港の地上職の仕事を友達がもってた専門学校のパンフを見て知り、そういう仕事を目指せる専門学校に行きたいと思うようになりました。

4年制の大学の方がいいんだろうけど、母子家庭で家が貧乏だから親に無理は言えないからと進学するにしても短大や専門学校ならと。

そう思って親に申し出たら親は最大限の協力をしてくれて、奨学金の申請も無事通ったのですが、それでも進学するには足らないということになり、やはり諦めて就職することにすることにしたものの、面接がなかなか決まらず。学校からの推薦でのところはほぼ終わっていて求人広告から探し出す事態に発展。

そして、ようやく求人広告から見つけ出したところは幸いにも学校からも推薦している企業であり、それこそが私の前の職場でもあるのです。

試験は面接と筆記。筆記試験は色覚検査みたいなのもやらせられたのを覚えて今気づいて。

空港での仕事は、私自身空港での飛行機の見学に行ってコックピットの中に入ったりしたこともあるくらいだし、空港というところ自体華やかで憧れがあったし、唯一得意な科目が英語でそれを活かせるとなればこんないいことは無いと思ってたけど、働き出してみたらそんな甘くはなかったのが実情です。

空港保安検査の裏側

↑上の動画を見てもらうとよくわかりますがほんとにこのとおりです。

1日立ちっぱなしで足が浮腫みますし、客としては一瞬で通過してしまうところを自分たちはずっとそこにいて同じことをする繰り返し。

しかも、同じ空港職員の中でも下に見られがち。私としては地上職になりたかったのもありモチベーションは低下していく一方。

そんな私ですが(前置き長すぎだろjk)、ここからちゃんと空港保安職について語ろうと思います。


まず、仕事自体は基本的に班と呼ばれる5人チームを組んで行動することになります。

そして、案内担当、モニター担当、仕分け担当、接触担当、開披担当にわかれます。

以下、解説。

案内担当

旅客に対し検査への協力を要請し、ベルトコンベアに手荷物などを載せるよう誘導、金属探知機への通過を案内します。

モニター担当

X線検査装置のモニターを監視し、手荷物などの中の持ち込み制限品の有無を判断します。

仕分け担当

開披検査の対象となる手荷物、開披検査にならない手荷物の区別を行ない、それぞれ開披担当または旅客に引き渡します。

接触担当

金属探知機に反応があった旅客に対して接触検査を行ない、所持品などを検査します。

開披担当

手荷物などを開けて、内容品を検査します。

研修の頃はそのチームのリーダー、いわゆる班長さんと行動することになりますが、先述したことに加えて自分が研修の時についた班の班長が生理的に無理で仕事に対してのモチベーションがなく、そこを見られてクビにされたような感じです。

ちなみに、役職的には班長→係長→課長の順で偉くなっていきます。

班長以上になると、名札のところに線が入るようになります。

班長は1本、係長は2本、課長は3本といった具合にです。

当時の自分の係長は女性でしたが、女の自分も惚れるほどかっこよかったです。

…話が少し逸れました。研修の時は、空港の3コードと各航空会社の2レターコード、そしていろいろある制限品について覚えさせられます。

今でこそ自分が働いていた会社の制服はまあかっこいいものになってますが、かつて自分が現役だったころのその会社の女子の制服は赤いベレー帽に、赤い制服でした。(これがくそダサくて。)

航空保安検査の仕事に限った話ではないかもしれないけども、空港の仕事というのはたしかに華やかで憧れを抱きやすいが、拘束時間が長いわりに給料が安いというのを肝に銘じていただきたい。

てのも、今の仕事もシフトですが仕事は早いときで朝の6時から遅い時で夜の11時頃までの4勤2休で働かされるのにも関わらず、給料は月15万ほど。絶望しかありません。

さて、ここからは仕事内容についてより詳しく話そうと思います。

案内担当をしてて思ったのは、搭乗券はあらかじめ手元に準備して欲しいなというのと、荷物の中に、ペットボトル 水筒 スプレー製品 ハサミ カッターナイフ パソコンなどを持ってる人は予め取ってて欲しいなということ。
案内のときに搭乗券をバックの中から探されるとこちらも待たなきゃならないから正直迷惑だなと。
そして、携帯電話はお荷物の中から出さなくていいので、さっさと前に行ってほしいと。

それから、国際線だと液体物も制限品扱いになりますが、そこら辺についてもお話しようと思います。

国際線では100ml(g)を超える容器に入った液体物やエアゾール類を機内へ持ち込むことができません。
液体物やエアゾール類は縦横合計40cm以内のジッパー付無色透明プラスチック袋に入れて、検査員へ提示して貰いたいなと思います。










国際線で容器が100mlを超えると・・・
ジャム・マーガリン⇒×
レトルトカレー・おかゆなど⇒×
アイスクリーム⇒× 
キムチや漬物⇒× ※干梅など水分が非常に少ないものは○
医薬品や乳幼児用食品⇒○ ※要申告・機内必要分のみ

@air_screenerのtweetより

複数の鍵やキーホルダーを付けたものをバックから出してもらいたいなと思います。
というのもアーミーナイフをキーホルダーとして付けている方が多いからと、金属製品が重なると確認が難しいからです。
事前にバックから出して、検査員に見てもらった方がスムーズに進みます。

万が一制限品を見つけた場合職員同士間で分かる暗号を用いて指示します。

例えば、液体物であれば「Yお願いします」みたいに。

日本刀などは「A」,ハサミなどは「S」など他にもこうした暗号はあります。

そして、当然空港なので芸能人もみかけることありますが、マイナーな人ばかりですし、当然有名な人でもプライバシーの問題に関わるので言えません。

また、外国人も見かけますが、英語が通用するような国の人ばかりでないのでほぼ手探りでの会話でした。

そういえば、久々にインパしたらディズニーランドやディズニーシーの手荷物検査が以前より本格的になってそれこそ空港の保安検査場みたいになってたのは驚きました。

あと、靴履いたまま検査ができるようになる装置を導入する動きがあるみたいですけど、それこそ検査員にとっても手間が省けるのでこういうのは積極的に導入して欲しいなと思います。

最後に元空港保安検査員として言いたいですが、この職業はおすすめしません。ほんとにブラックです。激ヤバです。よほどメンタル強い人か、ドMな人じゃないと向かないと思います。よく、保育や福祉の仕事してる人から「給料が割に合わない」と聞きますけど、この仕事もそうです。鬼畜です。

私自身この仕事を辞めて地元に戻る時車の中で親に「細りすぎてムンクの叫びみたい」と言われたの未だに鮮明に覚えてますし、同期の子も私が辞める前に1人やめて地元に帰った子知ってますけど、多分他にも辞めた人私が知らないだけで多くいると思います。

空港そのものが華やかに見えてもこの仕事は激務です。迂闊にこの業種に首を突っ込まない方があなたの身のためです。

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