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格好いい師匠。

俺の師匠は着飾らない。

自分に正直で、格好をつけない。
そんなところが格好いい。

格好いいから、どこまでも着いていきたくなるのである。

ポ師匠について↓

かつてポ師匠と出会った頃は、俺はワタナベの養成所生でポ師匠はワタナベに所属している芸人という関係だった。
当時はたまたまバイト先で出会えただけの関係性でしかなかったが、俺からすれば本当に色々なことを聞きたい先輩である。

ポ師匠は良い人なので、聞いたことはわかる範囲でなんでも教えてくれた。

だが、ネタの台本を見てもらおうとした時だけは拒否された。

「ワッシ、ネタ書いてないし、ネタのことはわからんけえ聞いてこんでっ!笑」
広島訛りでそう言われた。

まだプロにすらなっていない養成所生に対してもそんなことを言える先輩に、その時初めて本当の意味で尊敬した。

自分を着飾らない、格好つけない人柄に憧れたのである。

逆に解散してピンになった最近のポ師匠は、ネタについて色々と聞いてくる。

後輩に感想をもらったりアドバイスをもらったりすることも、プライドが邪魔をして中々出来ないことだ。
だがピンになってネタを書き始めたポ師匠は、そこでも着飾らず格好つけず、ただひたむきに面白いネタを書くために頑張っている。

本当に心から尊敬できる先輩だ。

自分はポ師匠のような人間では無い。
ポ師匠のようになりたいが、そうはなれない人間なのかもしれない。

自分を着飾らない人間になるためには、本体が貧弱すぎるのだろう。
自分自身を確立しないと、中々そうはなれないものだ。

俺は場所や状況で立ち振る舞いが大きく変わる。

ポ師匠のような先輩の前では、可愛がられる後輩としての立ち振る舞い。
相方の前ではいかにもなツッコミ芸人。
かと思えば高専生の前ではボケ倒したり。
同期の前では尖った発言をするし、家族の前ではなにもお笑いをしない。

まあこんなことは、きっと誰しもあることだ。
家族の前と友達の前で違う人間になるのもよくある話だと思う。

でもそんな自分だから、ポ師匠のような人に憧れたのだろう。

自分にはできない、格好いい生き様だと思うからだ。

今日は朝から夕方までずっとポ師匠と2人でバイトだった。

バイトが終わる頃、飯にでも連れて行ってほしい気分だったので
「今日この後なんかあるんですか?」
と聞いてみた。

「ごめんね、この後スナックでバイトあるけえ」

いや、それなら全然と返そうとした矢先

「“夜の女”になってくるわ。」

そう言い残して、ポ師匠は帰っていった。

ポ師匠も格好つけたい時くらいあるか。

そんなことを思いながら、今日は1人で帰路に着いた。

おしまい。


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