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R-1のオペレーターやってきた。

R-1グランプリ一回戦のオペレーターをすることになった。

頼んできたのは養成所の同期でワタナベエンターテインメント所属の『時計じかけの水谷』である。

オペレーターというのは、音響を使うネタの音響要員だ。
コントとかでよくあるドアのガチャという音や銃声の音なども、裏ではオペレーターがタイミングよく音を流している。

ライブなどでは専用の音響さんがいることが多いが、賞レースでは自分でオペレーターを用意しなくてはいけないのだ。

折角一年かけて仕上げたネタも、音響のタイミングをミスれば大変なことになってしまう。
故に賞レースの予選では、主催側で用意してミスった時に責任を取れないため自分で用意するシステムになっているのだろう。

そんな責任重大なオペレーターがポンコツの俺なんかで大丈夫か不安である。

水谷に「難しいのは無理やで」と言ったところ、「最初音源流してそのまま流しっぱでいい」と言われたのでとりあえずは一安心だ。

今年のR-1は久しぶりに芸歴制限が撤廃されて、とてもレベルが高くなっている。
一回戦の合格率は全体の1割にも満たないという狭き門だ。

水谷も前日からかなり不安だったようで、「どうせ落ちる」「もう死ぬ」「死ぬならみんな道連れにする」「俺の子供産めや」とかなりナーバスになっていた。

水谷は出番が早かったので9時半頃に渋谷に集合した。
ちゃんと遅刻することなく向かうと
「芸人は朝起きれないやつしかいないから終わったと思ったよ。えらいぞ。」
と褒められた。

普通のことをするだけで褒められる職業でよかった。

シダックスカルチャーホールに入ると、水谷がエントリー費を徴収されていた。
M-1はコンビで2000円だが、R-1は1人なのに同じく2000円らしい。
ちょっとかわいそうである。

しばらく楽屋にいるとオペレーターだけ呼び出され、機材の説明を受けた。
うっすら聞こえるくらいで流してほしいと言われたので、BGMと書いてあるところにメモリを合わせることにした。

水谷の出番になり、出囃子が止まったタイミングで音源を流すと、思ってたよりでかい音が流れた。
やべ!と思い、すぐにメモリを最小くらいに抑えるとちょうどいいくらいの大きさになった。
まだネタに入る前の自己紹介の段階でなんとかリカバリーできてよかった。

そこからは特にトラブルもなく、無事やり切ることができた。

水谷と合流し「結構ウケてて一つも外していなかったからこれは通ったんじゃないか」と勇気づけ、しゃぶ葉を奢ってもらった。

落ちていた。

なんかすごく申し訳ない気分である。

あれくらいウケていて一回戦で落とされるなんて、今年の決勝は相当レベルが高いのだろうか。
今日の合格者は240組中たったの22組だ。

本日それを決めているのは、2人の審査員だけ。
正直、審査員の好みになりかねない。
きっと納得がいかない人もいるだろう。

おもしろい芸人が賞レースの結果で振り回されるのは可哀想だなあ。

テレビで芸人を見てつまらないと言っている人も、是非一度劇場に観に来てほしい。

劇場にはテレビに出れてないおもしろい芸人も沢山いる。
まあ、本当につまらない芸人も沢山いるけど。

おしまい。

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