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仕事は忙しい人に頼め

科学社会学の創始者であるロバート・マートンは、条件に恵まれた研究者は、優れた業績を上げることでさらに条件に恵まれるという「利益・優位性の累積」のメカニズムの存在を指摘。新約聖書のマタイの福音書の文言「おおよそ持っている人は与えられて、いよいよ豊かになるが、持っていない人は持っているものまで取り上げられるであろう」という一節から、このメカニズムを「マタイ効果」と命名した。

この「マタイ効果」が子供達にも作用しているのではないかという仮説は、以前から教育関係者の間で議論されている。

例えば同学年で野球チームを作る場合、4月生まれの子の方が体力面でも精神面でも発育が進み、どうしても有利な場合が多い。そのため、結果的にチームのスタメンに選ばれ、より質の高い経験と指導を受けられる可能性が高まる。人は一旦成長の機会を与えられると、モチベーションが高まり練習に励むようになるからますます差がつく。

初期のパフォーマンスの結果によって、できる子はさらに良い機会が与えられて教育される結果、さらにパフォーマンスを高める一方、最初の打席でパフォーマンスを出せなかった子は、ますます苦しい立場に追いやってしまうということがよく起こるという。

「仕事は忙しい人に頼め」という迷惑な通説があるが、これは組織の中ではやく良いポジションに着くために、スキルアップの機会を積極的に捉えることができる人が、結果的によりはやく成長するということの別の側面なのではないか。

自分も40代に限界的に忙しい時期があったが、仕事の進め方はそこで学んだわけだし、苦しかったけれど必要な時期だったと感じている。この忙しさ苦しさが30代前半に経験出来ていたら、組織人としての成長スピードはもっとはやかったのかもしれない。

私の好きな言葉「大器晩成」の考え方と真逆の概念ではあるが、組織で成長する場合あてはまる場面が多いと思うので、20~30代の若い組織人は「マタイ効果」を意識する方が良いかもしれない。

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