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3行日記(接着剤、灯籠、蝋梅の蕾)

一月一日(月)、晴れ
冬至、雪下出麦、ゆきくだりてむぎのびる。

昼、足羽神社に初詣に行った。山のうえの境内はいつもより賑わっていて、参拝の列に十分ほど並んだ。いつものお守りを買った。父は本殿に参拝したあと、向かって左手の石段を登ったところにも手をあわせに行く。そこには、笏谷石とお地蔵様が何体かある。笏谷石は一度、茨城県に送られたものが文字が彫られて戻ってきたものだというが、くわしいことはわからない。お地蔵様は、いつのことか知らないが、父が見つけたときに頭が落ちて近くに転がっていたらしく、父が接着剤で着けたという。たしかに首のところに亀裂が走っている。首の近くに五円玉を置いて手をあわせた。

午後、近くを散歩。元旦だが書店だけは開いていた。三十分ほどうろうろして古本の棚を見つけ、橘曙覧全集の函に手をかけた瞬間、本棚のガラス戸や建物の壁が、みしみしと音を立てた。地震だ。大きい。揺れの時間も長い。しゃがんでください、と店員さんに促され揺れがおさまるのを待ってから、外に避難した。実家に電話して無事を確認して、すぐに家に戻った。家の被害はなにもないと思ったが、翌日、庭の石灯籠が倒れているのに気づいた。倒れた先で植木鉢が割れていた。倒れた反対側にいた石の蛙は助かった。玄関先の馬の置物も倒れていた。

裏の庭にある蝋梅の蕾が膨らんでいた。

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