ゆきぐもり

書いて、歩いて、読んで。京都、水湧くところ。

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  • エジプト珍道中

    エジプトでの旅日記です。2023年5月の連休に。

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#14 エジプト珍道中 ファラオ村

エジプトの旅で、妻がいちばん行きたいところに挙げたのは、ファラオ村だった。ナイル川の中洲にあるテーマパークだ。 鼠をモチーフにしたあの人気キャラクターがいる夢の国では、入園後に乗りたいアトラクションをめがけて走りだす人もいるらしいが、ファラオ村に入ってまずやることは、待つことだった。 最初のアトラクションでボートに乗るのだが、できるだけ多くの人をまとめて相手にしたいらしい。だが、いくら待っても誰もやって来ない。待合所でマンゴージュースを飲みながら待つこと十五分。平日の午前

    • 3行日記 #176(ペロ、運び先、胡麻和え)

      四月二十五日(木)、晴れ 穀雨、霜止出苗、しもやみてなえいずる、霜が収まり苗代の稲が育つ。 穀雨、烏鵶営巣、うあすをいとなむ、カラスが巣をつくる。 最近また日記をサボりがちだったので、最近の出来事をつめあわせで。先週、まちを歩いていると、思わず目をひきつけられた。空色の壁にある白いドアの上に、黄色いテント生地のこぢんまりとした雨除けがついていて、そこに可愛らしいフォントで「ペロ」と書いてあったのだ。さらに、屋根からとろりと蜂蜜を垂らしたように、ファサードの右半分のほとんどが

      • 3行日記 #175(厨房に立つ、林檎の皮、バーデイ)

        四月二十二日(月)、くもり 夜、妻の実家でお好み焼き。お惣菜のハンバーグ、林檎。初めて妻の実家の厨房に立った。とはいっても、食後に林檎の皮を剥いただけだが。林檎が入った容器の蓋をあけると、花に顔を近づけたような甘い香りが立った。おばあちゃんが横から覗いてくる。分厚いな。むくの下手やな。冷蔵庫の横に貼ってあるカレンダーのメモ。清貴バーデイ、東京ぼうけん。 チャックの散歩、左へ、神社を抜けて東へ、ファミマを折れて、JRの駅をかすめて帰宅した。 #3行日記

        • 3行日記 #174(LiSA、藤棚、着信)

          四月二十日(土)、晴れ 穀雨、葭始生、あしはじめてしょうず、ヨシが芽吹き始める。 穀雨、越燕始翔、つばめかけはじむ、燕が飛び始めた。 午前、電車で。横並びに座っている大学生くらいの女性二人の前に、杖をついたお婆ちゃんが立った。座ってください。二人が席を立つ。あら、ありがとう、でもすぐ降りるからいいのよ。二人は引き下がらない。座ってください。いいのよ、次で降りるから、そのまま座ってて。そんなやりとりが三往復くらい続いたが、女性たちは折れず最後には、そーお、ありがとう、ほんなら

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        #14 エジプト珍道中 ファラオ村

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          3行日記 #173(黄砂、ちっこいの、ほっそいの)

          四月十八日(木)、くもり 朝のニュースで黄砂がすごいと言っている。窓から外を見ると、遠くの景色が見えないほど白く霞んでいる。洗濯物がたまっているが、明日に見送った。 最近、日記をさぼってしまっていたので、習慣を取り戻すために、最近あったことの詰め合わせにしようと思う。 まずはパピロンの話。家で育てている古代エジプトの紙の原料のパピルスのことだ。冬のあいだ、部屋のなかで寒くなりすぎないように注意しながら育て、ぐんぐん成長した。家にやってきたときは腰くらいの高さくらいしかな

          3行日記 #173(黄砂、ちっこいの、ほっそいの)

          3行日記 #172(野花、蓬、屋上遊園地)

          四月六日(土)、晴れ 午前、出町から高野まで川沿いを歩く。土手の桜は五分咲きくらいだったが、場所よってはほぼ満開の枝もあり、何組かのひとたちが敷物をひろげてお花見をしていた。最近主流になった、一滴ずつ落とすタイプの醤油が中洲に転がっていた。チェロを取り出すひとがいる。これから練習だろうか。ラテン系っぽい外国人の観光客の夫婦。男性は桜を、女性はもっと低い地面すれすれに咲いている野花にスマホのレンズを向けている。男性が女性に近づくとき、どん兵衛の蓋が堤防に落ちていたのを見つけ、

          3行日記 #172(野花、蓬、屋上遊園地)

          3行日記 #171(電気メス、おでこ、干し芋)

          四月四日(木)、晴れ 清明、玄鳥至、つばめきたる、燕が南から飛来する。 清明、菜花布金、なのはなきんをしく、菜の花が一面に金色。 午後、手術。服を脱いで全裸になり、旅館の浴衣みたいな水色の手術着に着替える。荷物はロッカーに。ベッドに横になる。ものすごく狭い。シングルの幅もない。左腕に筋肉注射。点滴の針をいれる。下腹部の剃りが甘かったらしく、ゼリー状の何かを塗られる。ひんやりする。じょりじょり剃刀で剃られる。麻酔のシールを貼る。 それでは移動しましょうか、と声をかけられて隣

          3行日記 #171(電気メス、おでこ、干し芋)

          3行日記 #170(必殺仕事人、怒鳴り声、脱毛)

          四月三日(水)、雨 夕方、いつもの喫茶店で本を読んでいると、チャララ〜、チャラララララララ、ラララ〜♪ 聞き覚えのある音が流れだす。あれかな、必殺仕事人の曲? ばかでかい音で店内に鳴り響いている。しばらくすると、音が止み、もしもし、と珈琲カップの返却棚の前にいるおじさんが電話にでた。あの人か、と状況をつかめて視線を本に戻すと、うるせえ! ととつぜんの怒鳴り声。電話にでたおじさんが、不服そうな顔をして店の外に出ていった。 夜、鶏もも肉と菜の花のペンネ、人参のグラッセ、林檎。

          3行日記 #170(必殺仕事人、怒鳴り声、脱毛)

          3行日記 #169(かえすがえす、太鼓のリズムで、チュロス)

          四月一日(月)、晴れ 夜、妻が休みで実家で料理をしたので、私も実家でいっしょに食べた。コロッケ、大根と牛すじの煮物、苺、林檎。お祖母ちゃんはまだ骨折のリハビリ中で右手が使えないので、左手でフォークを使って食べていた。きょうのお祖母ちゃん語録。かえすがえす、残念や。ごはんは顔見てから。 テレビで、能登地震の三カ月のニュースをやっていて、生き埋めになったひとがスマホで撮った映像を流していた。隙間の奥に手を伸ばすと木の棒があった。掴んで梁を叩いた。祭り太鼓、キリコのリズムで。

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          3行日記 #168(青大将、ぼよよ~ん、チュロス)

          三月三十一日(日)、晴れ 午前、住んでいるマンションの自治会に参加して地蔵盆のことを引き継いだ。その後、チャックの散歩、簡易版。北へ少し行って戻る。神社の境内に裏から入ると、門のところに、細長い青大将がいた。気づいたチャックが見つめて興奮し、顔を近づけると、青大将はUターンして鉄柵のむこうに逃げて、木にのぼって避難してしまった。妻の実家の前の駐車場に、大量のバナナの皮が捨てられていた。何重にも積み重なり、下のほうは黒ずんでいた。 昼、京阪で門真市へ。初めてのまち。地元に愛

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          3行日記 #167(木の階段、旅立ちの日に、燕の巣)

          三月三十日(土)、晴れ 春分、雷乃発声、かみなりすなわちこえをはっす、春の雷が鳴りはじめる。 春分、梨花欺雪、りかゆきをあざむく、梨の花は雪に負けないくらい白い。 午前、午後に用事があるので、先週につづき北大路へ。ビブレのスタバで物書き。 昼、おにぎりを食べたあと、近くに住んでたころによく食べていたたこ焼きを買って公園で食べた。公園の入口に、うしろにリアカーのついた自転車が停まっている。遠くからやってきた旅人のにおいがした。見渡すと、公園の隅のほうで、走り回って遊ぶ子ども

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          3行日記 #166(出汁パック、雪柳、台車)

          三月二十九日(金)、晴れ 朝方は雨が降っていたが、午後は晴れて気温がぐんぐんあがり二十度を超えた。 朝、妻が味噌汁の鍋をのぞいて、何やらつぶやいている。ないなあ、ないなあ。何がないの、と訊くと、消えた出汁パック。自分の味噌汁の椀を漁って、ないなあ、ないなあ。私の椀を漁ると、くたくたの白菜にまじって、出汁パックがでてきた。 夕方、そろそろ桜の咲くころだろうかと、水路のほうへ。いくつか咲きはじめてはいたが、まだ一分咲にも満たなかった。萌えはじめた柳の若葉に夕陽があたっていた

          3行日記 #166(出汁パック、雪柳、台車)

          3行日記 #165(書き物、工作、チキンドリア、)

          三月二十四日(日)、小雨ときどきくもり 午前、喫茶店で書き物。 午後、子どもたちの工作発表会に参加した。半年ほど前に参加した集まりの第二弾なのだが、それぞれ、ものすごい加速度でパワーアップしていた。自作のUFOキャッチャーをつくっている女の子は、前回はフックを前後左右に動かせる仕組みまでで、腕のつかむところは百均の商品を活用してつくるところまでだったのだが、今回は、フックをレバーで動かせるようになり、つかむところも木製の自作に進化していた。また、前回はスプラトゥーンの絵の

          3行日記 #165(書き物、工作、チキンドリア、)

          3行日記 #164(新入り、90年代、はまちょん)

          三月二十三日(土)、雨のちくもり 朝、プレゼントをもらう。シャツと新しい箸置きと手紙。箸置きはハン、モック、ケンケンと同じ作家さんのシリーズで犬のやつ。ひとまわり大きかった。ありがとう。 午前、久しぶりに北大路ビブレで書き物。 午後、妻の職場の展示会の準備を手伝った。梁に養生テープを使って、運動会でよくみかけるいろんな国の国旗のついた紐を装飾し、玄関と各部屋の入り口にのれんをつけた。明日は子どもたちと保護者のひとも集まるみたい。作業中、九〇年代のJポップを流していたのだ

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          3行日記 #163(置き去り、アスパラ、短パン)

          三月二十一日(木)、くもりのち晴れ 夕方、商店街の喫茶店で。カウンターにいつもこの時間帯に見かける老夫婦がいるのだが、きょうはそのとなりに見かけないおじさんが座り、話し込んでいる。しばらくして、ガタン! と音を立て、おじさんが勢いよく椅子から立ちあがった。お客さんや! 片づけといて! コーヒーカップを置き去りにして、外に駆けだしていく。向かった先は、露天商の呉服店。その正体は、長いあいだ体調不良で店を休んでいた店主だった。 夜、妻の実家から分けてもらった寿司、アスパラと豆

          3行日記 #163(置き去り、アスパラ、短パン)

          3行日記 #162(鼬、赤いロボット、反発)

          三月二十日(水・祝)、台風のような横殴りの雨のちくもり 春分、雀始巣、すずめはじめてすくう、スズメが巣をつくり始める。 春分、雉鳴撲翅、きじなきはねをうつ、雉が鳴いて母衣(ほろ)打ちをする。 午前、嵐山へ。うわさには聞いていたが、海外からの旅行客だらけ、ひとで溢れている。途中、電柱の根元に一匹の猫が休んでいるのを見つけて近づいてみたが、いっこうに逃げる気配がない。おかしいなと思いながら、さらに近づいて顔をのぞくと、猫ではなくイタチだった。目をつむったまま動かなかった。妻の職

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