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俳句   雨

    催花雨というも土打つ土応う

    麦青む風雨を貫く背すじ見せ 
 

 散歩が日課です。 水路沿いの道をしばらく行くと麦畑に出ます。麦の茎 葉 穂 それぞれ違う緑のグラデーションに 心奪われます。麦は究極のワントーンコーデです。
 昔 この地に来た時 「ここは雨が下から降るからね 長靴は必需品よ」と助言されました。雨の日は駅舎の片隅の棚に長靴が並んでいました。電車でお勤めの人は駅で靴に履き替え 出勤するのです。今は昔 雪積もる日も多く 駅に並ぶ長靴に ああ山に来たのだ と、しみじみ思ったものです。
 麦を植えない田はレンゲ畑になります。最近はれんげを撒かない所が増えました。
 畠の前に唐突に屋根付きの棚が現れ 畠で採れた長ネギ ほうれん草 が並んでいます。その畠は今 空豆の花が咲きはじめ 棚に並ぶ日が待ち遠しい。料金箱には「天知地知人知」とあります。粋な文言。
 ちょっと先に行きたい場所が見え そちらへ延びる道を選んで進んでも まず 辿り着けません。道は曲がりくねり 遠ざかるばかり ということもしばしば。
 公道ですが、元は田畑限定の私道です。今も、時期がくれば 耕うん機が堂々の行進です。一般車は 静々と後を行きます。
 いつの間にか雨も止みました。
 視界が開けるポイントで 沈む夕陽を眺める時間が一番好きです。日が永くなりました。
 
写真は 畠に育つ空豆です


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