世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 山口周 【要約/まとめ/感想】

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 山口周

2018年のビジネス本系アワードでよく見かけていたが、前職の先輩が評価していたので購入。経営と美意識という一見すると相容れない両者がどう絡むのかに興味があった。

《要旨》

これまでのような「分析」「論理」「理性」の「サイエンス重視の意思決定」では、今のVUCAの時代を乗り越えられない
「サイエンス」だけでなく「アート」も意思決定には必要である
➡︎なぜ?
1 方法論としての「サイエンス」の限界
2 自己実現欲求市場の台頭
3 システムの変化にルールが追いつかない

上記3つについて解説


1 方法論としての「サイエンス」の限界
A.現在の日本企業の課題
➡︎それは?
意思決定が「論理」、数値等で説明できるかどうか、つまり「サイエンス」に偏っている
➡︎何が問題?
VUCAの時代で企業が抱える問題自体が複雑に変化すると、このアプローチ自体が機能しなくなる
➡︎すると?
誰にも判断ができないため意思決定とビジネスそのものが停滞する
➡︎なぜこうなる?
意思決定には「アート(人々をワクワクさせるような美)」「サイエンス(体系的な分析と評価)」「クラフト(実際にやってみる)」の3つの要素がある byミンツバーグ
➡︎今の日本は?
サイエンスとクラフト偏重
➡︎なぜ?
サイエンスとクラフトは何故そうしたのかが説明可能だが(アカウンタビリティ) 、アートは「なんとなくこれがいいと思った」としか説明ができない
➡︎どうなる?
法で許可されるギリギリのラインを攻めるため粉飾決済やブラック企業に繋がる
B.正解のコモディティ化
検索すれば正解が出てくる時代になった(美味しいラーメンのレシピをGoogleで調べる時代)
➡︎結果?
ゴール(美味しいラーメン)が一緒なら、「サイエンス」的な意思決定ではコストとスピードを争うレッドオーシャンになる
➡︎どこで差別化する?
美しさ、美意識
➡︎今はどうなってる?
顧客の多数決によって意思決定している(マーケティング=顧客のニーズに従った意思決定)
➡︎何が問題?
顧客のセンスの良し悪しで意思決定することになる
➡︎じゃあどうする?
リーダーが自らの美意識に基づいて独善的に意思決定する
➡︎そのためには?
周囲の人も高い美意識が必要
➡︎なぜ?
リーダーの美意識が高いのかどうかを判断する必要があるから
2 自己実現欲求市場の台頭
A.Twitter、Instagram等のプラットホームが台頭し、誰でも発信者になる時代
➡︎どうなる?
自己実現欲求で商品や働き先を選ぶようになる
➡︎すると?
自分がワクワクするような、共感できる考え方に人が集まるようになる
B.ブランド=ストーリー
機能(サイエンス)はコピーできるが、ストーリー(アート)はできない
➡︎だから?
機能ではなくストーリーや世界観を求めて人は購買する
3 システムの変化にルールが追いつかない
ルールの整備が追いついていない時代に、やっていいこととやってはいけないことの判断基準は美意識
➡︎どういうこと?
テクノロジーの進化でルールが後から決まることが頻発
➡︎すると?
法に触れているかどうかという判断尺度だと、後からいちゃもんつけられる可能性がある
➡︎言い換えると?
数値でシロクロつけられない時の判断基準として、「美しさ」が台頭


感想

非常に読みやすかった。
正解のコモディティ化とブランド=ストーリーは以前から議論されていたので強く共感できた。
「説明はできないけどこれがいい気がする」という意思決定が求められる場合がある、というアカウンタビリティは皮肉だが刺さった。
息子には運動だけでなくアートの教養も身につくように教育したい。

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