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【5分】他者と働く──「わかりあえなさ」から始める組織論 要約/まとめ/感想

分かり合えないことを認めて「わたしとあなた」の関係になろう

ご無沙汰してました。くろです。

今回は”他者と働く──「わかりあえなさ」から始める組織論”の要約です。
本著は会社主催の講演会にて組織論のパネルディスカッションがあった際に紹介されていた本です。ディスカッションの内容に感銘を受け、読んでみることにしました。


適応課題と対話

今組織の間に残っている問題は、既存の技術で解決することができない。簡単に解決でき、もうすでに着手され尽くした問題を「技術的問題」。原因が絡み合い、簡単には解決できず残った課題を「適応課題」と定義する。適応課題に対して有用なアプローチは「対話」である。対話とは「新しい関係を構築すること」。対話は「お互いに分かり合えていないことを認める」ことからはじまる。

「私とそれ」と「私とあなた」

対話のアプローチとして人間同士の関係性は「私とそれ」と「私とあなた」に二分される。相手を道具として見ているかどうかで上記は区分される。どうしても「私とそれ」の関係性では適応課題の解決に結びつかない。自分の中に相手を見出すこと、相手の中に自分を見出すことでお互いを受け入れ合い、「私とあなた」の関係性になることが重要である。

適応課題の4分類

①ギャップ型
大切にしている「価値観」と実際の「行動」にギャップが生じるケース
例:女性の社会進出を進めたいが、現環境が男性に向けて構築されているため、女性に迎合すると短期的に損をする

②対立型
互いの「コミットメント」が対立するケース
例:営業と法務

③ 抑圧型
「言いにくいことを言わない」ケース
例:上司と部下とか

④回避型
痛みや恐れを伴う本質的な問題を回避するために、逃げたり別の行動にすり替えたりするケース
例:職場のメンタル不調増にストレス耐性トレーニングを行い、根本的なストレス源を叩かない

適応課題の共通点とアプローチ

上記に共通しているのは人と人、組織と組織の「関係性」の中で生じている問題であるということ。さらに踏み入ると大事なことに取り組んでいない・できないという共通点がある。

視点を変えると問題の立て方そのものに問題がありそうである。なぜこうなるのかと言うと、認識の枠組みによって問題の立て方が制約されるためである。「自分の解釈や価値観としては間違っていない」と言うケースが散見されるが、これは本当にその通りで自分の主張も相手の主張も、認識(考え方や立場)が違うだけで間違ってはいないケースがほとんど。そこで一度自分の解釈の枠組みを保留してみて、相手がなぜそのように主張するのかを考えてみると、相手の言い分も一理あることがわかってくる。そうすると、相手が自分の主張を受け入れられるにはどうしたらよいか、という視点に立つことができるようになる。この一連の過程こそが対話であり、適応課題に向き合うということである。

ナラティブとは何か

こう言った個人の解釈の枠組みのことを「ナラティブ」と呼ぶ。言い換えればその人の「一般常識」とも言える。

対話のプロセス

準備「溝に気づく」~相手と自分のナラティヴに溝(適応課題)があることに気づく~
まず相手の言い分も間違っていないことを受け止め、相手との間に溝があることを認識する

観察「溝の向こうを眺める」~ 相手の言動や状況を見聞きし、溝の位置や相手のナラティヴを探る~
一旦自分の考えを横に置き、相手を眺めてどういった状況なのか、どういった考えや立場から課題が出ているのかを認識する

解釈「溝を渡り橋を設計する」~ 溝を飛び越えて、橋が架けられそうな場所や架け方を探る~
相手の考え方から見て自分がどうなっているのかを確認する。どこに折衷の可能性があるのかを探る。自分にとって意味のあることを相手にとっても意味のあるものにできないかを考える。

介入「溝に橋を架ける」~ 実際に行動することで、橋(新しい関係性)を築く~
実際に行動してみる。

そしてこの①~④を何度も繰り返すことで相手のナラティブが明確化されていき、さらに良い解決の糸口が見つけられるようになる。

感想

なんとなく感じていた、組織の問題や解決の糸口を明瞭に言語化していてスッキリした。一方で今の自分に必要なエッセンスは前半にのみ書かれていて、後半は具体例や捕捉だった。これが必要なタイミングもありそうだが、今回は前半だけのまとめでいいかな。

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