【鳥人間】滑空機部門フォーミュラクラス

どうも。2017年鳥人間コンテスト出場『Project Liberte』代表のククルクルルです。
いきなりですが、鳥人間コンテストにはかつて『滑空機部門フォーミュラクラス』という部門があったのをご存知でしょうか。

そもそも鳥人間コンテストってプロペラで漕ぐやつだけじゃないの?って人もいるかとは思いますが、漕がない部門もあるんです。
その漕がない部門にも時代によってレギュレーションが分かれている時があり、女性パイロットのみが出場できる『レディース部門』なんていうのもかつてはありました。

『フォーミュラクラス』も滑空機部門のレギュレーションのひとつであり、2004年〜2008年大会の間だけ存在していました。
このクラスは翼の長さが12m以内という制限があります。2019年執筆段階では滑空機部門の機体の翼は20m以上あるものが多く、それらと比べると大体半分くらいの小さい機体となります。

当時はこのフォーミュラクラスは『鳥人間コンテストの入門』というような位置付けで、はじめて挑戦するようなチームが出場しやすいようにといった理由から生まれたと記憶しております。2009年は鳥人間コンテストが行われず、2010年からフォーミュラクラスは廃止となりました。その理由は『鳥人間の入門としての役割を果たした』とかそんな感じだったかなと記憶しています。

何故この話をするかと言いますと、Project Liberteが2017年に出場した時に、このレギュレーションに沿った機体で出場したからです。
では何故フォーミュラクラスなのか。

フォーミュラクラスで挑んだ理由

色々あったのですがざっくりいうと、学生時代に鳥人間コンテスト出場を目指してチームを結成。その時にフォーミュラクラスがあったのでした。
それを目標に活動を開始したのですが、すぐさまリーマンショックが発生し、鳥人間コンテストの2009年大会は未開催。翌2010年大会からはフォーミュラクラスは廃止。それでもフォーミュラ機で応募したのですが、落選。
といった経緯があったからです。
余談ですが、これもなんやかんやあって2011年大会は人力プロペラ機部門で初出場し、現地で機体を壊して棄権をしています。

そこから3年が経った2014年になんやかんやあって社会人チームを立ち上げたときに、かつて挑戦した滑空機部門フォーミュラクラスの機体で挑もう!となったんです。
よくあるようなリベンジパターンではあり、人力プロペラ機部門でもリベンジ的な要素はあったのですが、当時存在していた母校の学生チームと出場部門が被るのと、人力機を作る予算や場所などを確保できる気がしなかったこと。何より滑空機で挑みたかった。というのがあります。

フォーミュラクラスにしたその他の理由

そういった歴史的経緯の他にも、出場する上での戦略的な理由も勿論あります。

①機体が小さい
これは最大の"不利な要素"ではあるのですが、Project Liberteはそもそも"優勝を目指していない"チームでした。
機体が大きいとそれだけ飛距離も望めるのですが、大きい分製作する量も増えていきます。
学生・社会人関わらず、各チームにはそれぞれの、時間的・人数的・金銭的・場所的...etc それぞれの制約というものがあります。
フォーミュラクラス機であると一般的な機体の1/2のサイズですから、裏を返せばそれだけ機体製作の作業量が減ります。飛距離は減りますが優勝を目指していないので問題はありません。
『工程削減をした分だけ品質を向上させる』という目的が理由のひとつです。
人数の少なさを機体の小ささでカバーしたようなところもあります。

機体が小さいと他にも利点があります。
本番ではそれぞれのチームに駐機スペースが与えられそこで組立作業をするのですが、その幅が大体10mくらい。他の機体だと確実に他チームの場所を侵食するので、各チーム同士で話し合い折り合いをつけ協力しながら組立作業を行います。
フォーミュラクラスだと翼の長さが12mですので、駐機スペースをはみ出すにしてもせいぜい2mくらい。殆ど他チームに迷惑をかけずに済むので精神的にも楽になります。

まあ、駐機スペースのくだりはオマケ的な要素でなのですが、大会当日での最大の狙いは『組み立てた後に分解しなくて済む』という点です。
鳥人間コンテストは、本番の前日に『機体審査』というものがあり、そこで一度機体を組み立て、安全に飛行できるよう製作されているかのチェックを行います。同時に(テレビ番組なので)機体に取り付けるカメラの位置の確認と、取付を行います。
それらが終わったらチームによっては一度機体を分解して、翌日の朝に再度機体を組み立て、フライトに挑みます。
Project Liberteはこの『組立→分解→組立』という工程を嫌いました。可能であれば一度組み立てたらそのままにしたい。小さい機体ならそれが可能です。運動会などで使用するようなテントが3つあれば機体は大体入ります。
若干のギャンブル的な要素はあったのですが、仮に雨が降っても一晩耐え凌ぐことはできるつもりで挑みました(当日は雨が降らなくて良かったです)。
当日朝は他のチームは機体の組立の作業を行なっていたのですが、Project Liberteは既に組立終わっているので『慌てて機体を組み立てた結果、機体を壊す』などといった心配もなく安心して挑むことが出来ました。
プラットホームまで機体を運ぶ際、その運搬開始時間が予想以上に早く、当日朝に機体を組み立てていたら、おそらく間に合わなかったと思います。

②移動が楽
これも機体が小さいことに起因するのですが、鳥人間コンテストは駐機場で機体を組み立てた後に、プラットホームまで機体を運ぶという作業があります。機体が小さい分、移動に割く人数も他チームと比べて少なく済みますし、湖岸周辺に生えている木などにぶつけるリスクも小さくなります。
折角、機体を製作してきても移動などといったつまらない要素で機体を壊したくなかったので、これも地味に本番のフライトに効いてきたと思います。

③初速を稼ぎやすい
これはチームやパイロットによるとは思いますが、単純に機体が小さい分軽く作ることができ、パイロットが機体を担いで走りやすいというメリットがあります。
結果的にはProject Liberteの機体は他のチームのそれと比べて機体重量は変わらなかったのですが、小さい分担いで走りやすかったのではないかなと思います。
滑空機部門は動力が無い分、初速と位置エネルギー(とあとは追い風)で推力を稼ぐ必要があります。ですので、走りやすさは初速に繋がります。初速を稼げればそれだけ揚力を発生させることが出来ます。ということはドボン(墜落)する確率も減るという戦法です(結構ざっくり言ってるので、「厳密にはちゃうで!」っていうようなツッコミは我慢してね←)。

④(運転できる)トラック限界
一見すると意味がわからないとは思いますから説明しますと、鳥人間コンテストの機体はそれぞれのチームの所在地から琵琶湖まで機体を運搬することになります。機体は大きいので分解した状態にしますが、それでもでかいんです。
なのでトラックで運ぶことになります。
学生チームは外注で4tトラックを借りてドライバーを雇い運ぶところもありますが、我らがProject Liberte、そんなお金がないんです。なので自分たちで運転して運ぶ必要がありました。トラックも大きい中でも小さい方が安く済みます。
メンバーに中型免許持ちがいますので、彼が運転できる屋根付きの2tロングに収まる機体というのは大事な要素でした。

最後に

鳥人間コンテストやフォーミュラクラスをよく知らない人から「たった101mでよくあれだけ喜べるね」とか「すごい飛んだように見せかけて実はあんまり飛んでないよね」とか言われてますけど、主翼の翼幅12mの機体で100mを超えるって実は凄いことなんですよ!
みたいなことを本当は書きたかったのですが、フォーミュラクラスの紹介と戦略面の話になってしまいました。
フォーミュラクラスがあった当時、100mというのは基準のひとつのようなところがあり、それを超えると初心者脱出。みたいな感じだったように記憶しております。
歴代の記録を見てみますと『滑空機部門フォーミュラクラス』として出場した機体での最高記録は157.37m。Project Liberteの101.05mはフォーミュラクラス歴代8位という記録になります。
そう考えると実はすごないですか?←

とちょっと自慢したところで今日はここまでにします。

-空想具現-
Project Liberte
代表 ククルクルル

ククルクルル Twitter @kurukukukururu
 Project Liberte Twitter @liberte20140111


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