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キャンプ初心者はできるだけミニマムに。かつ何もしないことを目指す!

新しい趣味を作るのって大人になると心理的ハードルが高いし、出費もかさむし──そんな言い訳をして、キャンプへの憧れに蓋をしてきた自称インドア派の女性ライターが、最初の一歩を踏み出すべくキャンプの賢人たちに楽しみ方を教えてもらう本企画。
 
第1回目は、イラストレーター・漫画家・キャンプコーディネイターであり、女性ソロキャンパーの第一人者であるこいしゆうかさんにお話を伺いました。こいし流の“がんばらない”キャンプとは?

(話を聞いた人)こいしゆうかさん

こいしゆうかさん
イラストレーター・漫画家・キャンプコーディネイター。『ゆるっと始める キャンプ読本』『そうだ、キャンプいこう!』などキャンプに関わる著書を多数出版。2009年から女性が自立してキャンプをする「女子キャンプ」を提唱しているほか、オリジナルテント「PANDA」のデザインなども担当している。


ソログルキャンで無理せず自分らしくキャンプを楽しむ

──こいしさんは2009年から女性が自立してキャンプをする「女子キャンプ」を提唱しています。女性ソロキャンパーの第一人者として、まずはソロキャンプの魅力について教えて下さい。
 
こいし:自分が行きたいときに行けて、何をするにも自由気ままなのが魅力ですね。き火やテントの場所も自分で選べるので好きな空間を作り出せますし。一人で自然と対峙たいじしたり、自分自身と向き合えたりできるので、すごく豊かな時間を過ごせるんです。
 
──初心者としてはキャンプに一人で行くのは怖いし不安です。かといって、大勢で行くのも気を遣いそうで……。安全かつ周りを気にせずにキャンプを楽しむ方法はありますか?
 
こいし:そんな方には「ソログループキャンプ」をおすすめします。略してソログルキャンは、現地には複数人で一緒に行くものの、キャンプギアは各自持っていき、テントも一人で張るのが特徴です。それぞれが自立して行動するので、ちょうどよい距離感でキャンプの時間を楽しめるんですよ。

テントは一人一つずつ。自立しているのがソログルキャンの特徴(写真提供=こいしゆうか)


──ソログルキャン、初めて聞きました。それならマイペースな私でも楽しめそうです。
 
こいし:キャンプって、誰かを頼ってしまうと気を遣うし、自由度も下がって、むしろ疲れるんですよ。だから、ある程度自立した方が楽。そして、自立してキャンプができるようになると、「自分らしい」やり方が見えてくると思いますよ。

自分らしくいられるから、本物の仲間に出会える

──自立するにはどうしたら良いですか?
 
こいし:まずはソロキャンプ講習会やキャンプイベントに行くのがおすすめです。同じレベルの人たちが集まるので、そこで意気投合して仲良くなれば一緒にソログルキャンに行くこともできますし。自然の中だと、社会的地位とか関係なくなるので、肩書きとかどうでもよくなるんです。ありのままの自分でいられるので、自分の新たな一面に気づけるし、本物の仲間に出会えたりもしますね。


こいしさんが講師を務めた講習会の様子(写真提供=こいしゆうか)


──本物の仲間……大人になってから友だち作りに悩む私にはとってもステキな響きです!
 
こいし:特にソログルキャンは、作った食事を差し入れしあったり、忘れ物をして困っていたら貸しあったり、開放的な場所でちょうどよい距離を保ちながら一緒に過ごせるから、古き良き近所付き合いみたいな感じになるんですよね。

キャンプ初心者は管理人さんがいるキャンプ場を選ぶ

──はじめてのキャンプはどこを選べばいいですか? できれば景色の綺麗な絶景キャンプ場がいいのですが……。
 
こいし:わたしは絶景というものは、人それぞれかなと思っているんですが、個人的には自然が豊富な気持ちのいい場所が好きですね。高原でも林間でも、湖でもいろんな絶景があるので、少しずつキャンプに慣れてきたら自分だけの絶景を探して、いろんなキャンプ場をめぐるのもおすすめですよ。


東京からわずか2時間半でこの大自然感。自分だけの絶景を見つけよう(写真提供=こいしゆうか)


──いいですね、自分だけの絶景。憧れます!
 
こいし:ただし、最初は無理のない範囲内で行くのが肝心です。いきなり絶景キャンプ場とか選んじゃダメですよ。そういう場所は、無人だったり、管理人が最小限しか関与しなかったりするケースがほとんどです。まずは自宅から2時間以内で、近くにコンビニや病院があり、初心者キャンパーに優しい管理人さんがいるかどうかなどを重視してください。
 
──最初から背伸びしないってことですね。
 
こいし:まずは日帰りキャンプがいいと思いますよ。最初から泊まるって怖いじゃないですか。設備やサービスが整った“高規格キャンプ場”ならレンタル品が充実しているので、最初からギアを揃えなくてもいいですし、困った時は管理人さんに頼れるのでおすすめです。


初心者はテントを立てるだけでOK。“何もしない”を心がける

──わかりました。移動については、車がないとダメですか?
 
こいし:ダメじゃないです。最近は徒歩キャンパーも多いですよ。関東には徒歩で行けるキャンプ場がたくさんありますし、私は自転車で移動することもあります。車があるとついギアが増えちゃうんですよね。最初はできるだけコンパクトに始めるのが鉄則です。


自転車キャンプの時はこんなにコンパクト!(写真提供=こいしゆうか)

──わかりました。キャンプに行ったらするべきことはありますか? こいしさんがキャンプに行ってすることは?
 
こいし:何もしないですね(笑)。スマホにダウンロードした映画を観たり、漫画をひたすら読んだり……。1週間以上のロングキャンプでは、旅に近い感じで、天候と気の向くままに山登りしたり、温泉に行ったりすることもありますが、無理に予定を詰め込むことはありませんね。
 
──でも、キャンプ飯も作ってみたいし、焚き火もしたいし……。
 
こいし:初心者は、最初はテントを立てるだけで精一杯だと思うんです。でも、それだけでも達成感があるはず。慣れてきたら、いろいろやってみるといいんです。まずは“何もしない”を目指して欲しいですね。
 

(あとがき)


なるほど……初キャンプへの挑戦に緊張し、肩の力が入っていた筆者ですが、こいしさんのお話で、無理をしないこと、できることから始めることの大切さがわかりました。まずはテント張りに集中します! こいしさん、ありがとうございました。
 
次回はキャンプ好きな新潟女子8人組ユニット「GOOD MELLOW CAMP」代表のPEKOさんに、自分らしいキャンプのテーマ作りのヒントを教えていただきます。

(つづく)

Supported by くるくるカンカン

クレジット

文:巖朋江
編集:いからしひろき(きいてかく合同会社
取材協力:こいしゆうか
校正:月鈴子
制作協力:富士珈機

ライター・巖朋江(いわおともえ)
東京都在住。農学博士としてイチゴの研究に従事したのち、フリーライターに転身。農業のみならず、民間企業で営業・組織改革を担っていた経験を生かし、幅広いジャンルの記事作成に携わっている。


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