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スピリチュアル・メイト 第1章「ローラの髪留め」

第4話 reason for goodbye

 体が宙に浮いている感覚を再び感じた。その感覚に慣れ始めると、地上から遥か上空を離れ、濃紺の世界に包まれた。もしこれが奇跡でないとしたら何と言えばいいだろう。私とRは地球を離れ遥か宇宙にいた。夢のようで、何だか楽しくなってRに話しかけた。
「見て!あれ、彗星?見て見て、そこらじゅうに浮いてる、隕石みたいなのがたくさん!」
「里沙、はしゃぐのはそれくらいにしてそろそろ意識を集中させて。ローラのいる世界まで、あと少しよ」
「はぁい」
 集中するって言ったって、どこを目指せばいいのよ……Rは目を閉じて、意識の中でローラの魂を感じながら探しているようだった。私は全身の力を抜いて、ただRの手を握っていた。そしてRがしているように、ローラの魂を探すように集中してみた。どんどん上昇して行く。こんなに離れたら、元の世界に戻れないんじゃないかとさえ思った。
「着いたわ」

 Rは慣れているようだったが、私はうまく着地できず、転んでしまった。
「いてて……って、転んだりベッドから落ちたり、なんかついてないんですけど」
 ローラは崖の淵にいた。遠くからでも彼女がローラだとすぐわかった。リリーの言っていた綺麗な ブロンドの長い髪。強さの中にどこか儚さを感じる眼差しで、海を見つめていた。 

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