ナナクジャクの彼方 物語考察

ナナクジャクの彼方の歌詞に込められた物語を、ヒトとキジンの観点から考察します。

ナナクジャクの夢を魅た
(nana…おばあさん)(孔雀…払邪、子孫繁栄の象徴 中国→愛、美、富 キリスト初期→復活、永遠、不死)(魅…不思議な力で人をひきつけ、心をまよわす。物の精が形をあらわしたもの、ばけもの)
この世界には嘗て
                   (昔、以前)
美しき色のクジャクが
息をして居たそうだ

年老いたあの子(エーテル)の夢をみた。この世界にはかつて
僕が好きだった娘(イチジク)が確かに存在していた。

生まれつき黒き羽を
(黒い…汚れている、邪である、不吉)
持つ私は人々に
蔑まれ疎まれ続け
(蔑む…侮り軽んずる、見下げる)(疎まれる…嫌われ遠ざかられる)
屑のごとく生きてきた
(屑…もののかけら、役に立たないもの)

周りと考え方が少し違っていた僕は人々に
いじめられたり、避けられたりしていて
除け者として生きてきた

ナナツイロノハネ[七つ色の羽根]
(七つ色→虹…自由、天真爛漫)
サカセコノカゲニ[咲かせ此の影に]
(影…光源と反対側にできる黒い像)
あ あ れ や
(あれや…あるのだろうか、あるとでも言うのか〖否定〗)

僕だって自由を得たいけど
こんな罪だらけの僕なんかに自由を得る資格なんてあるのだろうか?

(羨望、怨恨。留まる事を知らない劣情たちに
(羨ましく思う)(うらむ)(劣情…卑しい情欲、特に性欲)
何処まで翻弄されて仕舞うのだろう?
(翻弄…思うがままに弄ぶ)
天啓、不得。この背中に綺麗な羽が在ったなら
(天啓…天の神が真理を人間に示すこと)
天かける虹のごとくこの空を優雅に飛んで魅せようと)
(優雅…ゆったりしている)

(羨ましさや憎しみなど、湧き出てくる感情に
どれだけ惑わされてしまってるのだろう?
いい考えが浮かばない。もし僕に羽があったら、すぐにでも君(エーテル)を直しに行けるのに)

止め処なく溢る騒々しい感情連鎖に
(際限なく)
溶かされて仕舞おう
(液体になる)
(一瞬閃光、眼前にすと 
(すと(すっと)…細長い一本の筋となって真っ直ぐにのびるさま)
悠々と舞う小さな肢体 絢爛に―)
(悠々…余裕を持ち、落ち着いて物事を行う様)(絢爛(けんらん)…目が眩むほどきらびやかで美しいさま)

止め処なく溢れる感情の渦に攫われ、あてもなく彷徨っていた。
(何かが視界の片隅でキラリと光った気がした。
そこを見ると、力無いコロンを抱えるキジン(アポストロフ)の姿があった―)

ナナクジャクは何処に居る?
"貴方のすぐ傍さ。"
フェアリ・テイルは囁く
(妖精のシッポ(又は物語)、[フェアリーテイル]おとぎ話、信じられないほど美しい)
"望め 望め。ヒが暮れるまで!"
(ヒ(日・火))(暮れる…辺りが暗くなる様子)

僕の求めるものはどこに居る?
"貴方のすぐ傍にいるじゃない"
誰かが囁きかけてくる気がした。
"救う、救うんだ。彼女(エーテル)が弱りきってしまう前に!"

フェアリ・テイルに誘われて
私は想い征く侭
(征く…征服する)
虹を喰らい眼を
(虹…願いをかなえてくれる存在)(喰らう…他の勢力範囲・領域に入り込む。)
七色に染めた
(七色…様々なもの)

妖精に誘われるようにして
僕は想うがままに
彼(アポストロフ)に接触し、彼女(コロン)を利用できないかと
脳内で策を巡らせた。

ナナクジャクに憧れた
美しきその躯は
   
(躯…肉体)
鋼の刃に貫かれ
悶えて死んだそうだ
(悶える…思いわずらって[あれこれと心をいためる。 うまくいかないで]苦労する。)

エーテルに憧れたその美しい躯(コロン)は、
鋼の刃に貫かれ、思いわずらって死んだという。

これも理不尽なヒトの所業なのか
極彩色越しの憎悪が
(極彩色…非常に濃く手のこんだ彩色。派手でけばけばしい色)
(一瞬閃光、眼前にまた
悠々と舞う小さな肢体
絢爛に―)

これも人々の理不尽がもたらした末路なのかと、
鮮やかに血塗られたその躯を見て彼等に憎悪した。
(そんな折、爆発の閃光を視界に映す。
視線を向けた先では、レジスタンスとキジンの戦闘が繰り広げられていた―)

「ナナクジャクはどこへ居る?」
"貴方も為りたいのね。"
フェアリ・テイルは囁く
"殺せ 殺せ。ヒが消えるまで!"

僕の求めるものはどこにある?
"貴方も同じようになりたいのね。"
何かが耳元で囁いてくる
"それら命が潰えるまで、その戦火が消えるまで殺し尽くしてしまえ!"と

フェアリ・テイルに誘われて
私は想い征く侭
ヒトを喰らいて羽根を
七色に染めた

妖精に誘われるように、僕は想うがまま
彼等に手をかけ、腕を鮮血で染めた。

どうしてなのだろう
人を憎み自分を愛し 
優美な羽根翳しても
(優美…上品で美しいこと)(翳(かざ)す…手そのものを上げて、何かに差し掛ける)
空なんて飛べやしなかった
それでも―

どうしてこうなってしまったのだろう。
人を憎み、自分の想いに忠実になって
血塗れた腕を伸ばしたところで
夢なんて叶うはずもなかった。
それでも―

ナナクジャクに憧れて
私は想い征く侭
惑星を喰らいて羽根を
(惑星(ほし)…恒星の周囲を公転する、比較的大きな天体。天球上の一点に留まらずうろうろと位置を変える様子)
七色に染めた

彼女(エーテル)を求めるがままに、
迷いを振り切って何もかもを犠牲にし、その腕を紅く染めた。

ヒトに追われ
(追う…目標となるものに至り着こうとする。)
天に魅放され
(魅…ひきつける、だます)(見放す…積極的に対処することをやめる)
フェアリ・テイルは
(フェアリ…いたずらに)(テイル=尻尾…物事の終わり→period(ピリオド))
不適に笑う
(不適…ふさわしくない)

彼女(エーテル)に先立たれ、
自身(ピリオ)は死ぬことを許されず、
いたずらにピリオは嗤いだした。

(そうか、その時私は気付いた
"彼も同じ程を辿って居たと云う訳か―"
時既に遅く、胸元に突き刺さるは
鋼の刃―)

(そうか、その時私は気付いた。
"彼も私たちと同じ過程を辿っていたというわけか―"
気付いたところでもうどうしようもできなかった。
私の胸元には、鋼のナイフが突き刺さってしまっていたから―)

力尽き身動きのとれぬ少女は、その胸に刺さる金属の冷たさを感じることもなく、ただその嗤いを聴き続けていた。


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