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画塾体験談②イラストレーション青山塾編

こんにちわ。イラストレーターの草野碧です✨
通っていた下記4つのイラストレーション塾のうち、
今回はイラストレーション青山塾のことをお話しします。

セツ・モードセミナー
★イラストレーション青山塾
・MJイラストレーションズ(峰岸塾)
・山田博之イラストレーション講座


※あくまで個人的な感想です(毎度)。

1. イラストレーションをイチから勉強したい

通っていたのは、2012年から2014年の2年間。
毎週1回19時〜21時まで青山ブックセンターで行われます。
ベーシック科、ドローイング科、イラストレーション科の3種類あります。

最初イラストレーション科を希望していたのですが、
2回ほど行って生徒のレベルが高すぎてベーシック科に変更してもらいました(ヘタレw)。
学校に着いたら、持ってきた課題を各々壁に貼って、それを先生が講評していくのですが、
『イラストレーション』然とした完成度の高い作品たちが並び、自分の絵が恥ずかしくてしょうがなかったのです。。

▼提出していたタッチの絵

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こういった年賀状のお仕事はしていたのですが、
イラストレーションというものをちゃんと勉強しておらず、
絵の具の使い方や明暗の付け方などまったく無知で、
既視感のある絵を描いていました。

「仕事もしてるし、そこそこイケてる♪」と思っていきなりイラストレーション科に入ったので、自分の自信は速攻打ち砕かれました(笑)。

とはいえ、ベーシック科は先生が4人担当されていてお得だなと感じました。(舟橋全二 先生、作田えつ子 先生、井筒啓之 先生、木内達朗 先生)
この流れは自分的にグッジョブだったと思います。
「イラストレーションを描くぞ!」という気負いなく、
ほんとうにのびのびと、筆の使い方からドローイング、明暗の勉強など楽しく学べました

いろんな思い出がありますが、それぞれの先生方とのエピソードをお話しします。


2. エピソード 『作田えつ子先生』編

まずは、作田えつ子先生です。
私は当時、絵の具のタッチが雑なのを気にしていました。
周りの人は綺麗にムラなく絵の具を塗れているのに、こんな下手くそなのじゃいけないな、、と直そうとしていたんです。
ある日、花を描いている時、作田先生が通りがかりに言いました。

作田先生「あなた、この塗り方、汚い、と思ってるでしょ?」
私「え?!(超思ってる…!怒られるのかな?!)」

作田先生「…それが、いいのよ。」

え。。!この汚い塗り方が、、、いい、、、!!

衝撃でした。
衝撃的すぎて今でもその時の様子がありありと思い出せます。

ダメだと思っていた、この塗り方こそ、私の良いところ。
こうして未だに塗り方は雑なままです。
しかし、今は
「このラフさが良い、力強い」など、
良い風に捉えてもらうことが多くなりました。
自分の良いところは自分にはわからないものだな。と衝撃を受けた一言でした。


3. エピソード『井筒啓之先生』編

次は井筒先生です。
井筒先生はなぜか絵を褒めてくれることが多かったです。仕事で描いた絵を見せると「もうイラストレーターとしてやっていける」とか「うまいねぇ」など言ってくださいました。
調子に乗って、絵に必ず動物ばかり描いていると、

井筒先生「なんで、動物が入ってるの?」
私「私は動物が好きなので、絵の中に必ず動物を入れてトレードマークにしたいなと思って。。」

井筒先生「個性は作るものじゃないよ。出そうとしなくてもにじみでてくるものだよ。」

がーーーーん。
個性を出そうとしていた。自分の絵を確立させようとしていた。
恥ずかしい。。。恥ずかしい。。。
個性は滲み出るもの。。
その日から奇をてらうことをやめました。

ちなみに井筒先生のアトリエに生徒何人かでお邪魔したことがあるのですが、とても綺麗に整理整頓されており、作業しやすそうな空間でした。
あと仕事で描いた絵を持ってきて
「これ、2時間くらいで描いたよ」
とおっしゃった絵のレベルの高さに、
すっごい綺麗ですっごい早い。
プロってこういうことなんだな、、、と衝撃を受けた良い経験でした。



4. エピソード『木内達朗先生』編

木内先生の授業で一番記憶に残っているのはこのカラーチャートです。

IMG_2781のコピー


色の知識が全くなかったのでほんっとうに助かりました。
反対色を混ぜるとグレイッシュになるなんてこの時まで知りませんでした。
原色が多かったのですが、この頃から大人っぽい馴染む色が私の絵に追加されました。
木内先生の言葉は2つご紹介します。まず修了展の日のお言葉。

「学校で習ったことや先生の言葉は、今はしっくりこなくても、
今後描き続けていくとボディーブローのように効いてきます。」

まさにボディーブローのように効いています。
仕事をするたび、絵を描くたび、先生方のちょっとした言葉や授業を思い出します。経験するごとに納得感が増します。

あと、卒業した後にお話しした会話の中での印象的なお言葉。

私「仕事で毎回描いたことない絵を描かないといけなくて、今度は描けるかどうかと泣きそうになります。。。」

木内先生「僕も同じですよ。


え。。。?
世界の木内先生が?
毎回描いたことない絵を前にとまどう?!

衝撃でした。

木内先生も毎回悩むんだ、、、
そう思うと、私なんて悩んで当然だな。
このまま進もう、と思った瞬間でした。

木内先生のアトリエ『ペンスチ』にも、生徒何人かでお邪魔したことがあり、おしゃれなカフェみたいな空間でした。
デジタル作業の一部を見学させてもらったのですが、
とても面白そうに小さな人間たちを動かしていたのが印象的です。
お仕事楽しそう、、、と心底思いました。

先生は毎日ずっとここで絵を描いている。
私は日中会社に行って空いた時間に絵を描いている。
それではいつになっても先生に追いつくどころか離れて行く一方だ。
いつかは会社をやめてイラストを描く時間を増やさないといけない。
そう覚悟を決めたのもこの頃です。


5. エピソード『舟橋全二先生』編

舟橋先生は課題専門の先生です。
よく講評を脱線してUFOのお話をしてくださり、私はそれを聞くのが楽しみでした(しばらくして、脱線防止のタイマーが設置されました)。
講評では必ず生徒の良いところを見つけてほめてくださいました。
舟橋先生からは特に『遊び心』について学んだ気がします。

私は修了展でもらった2枚綴りのこのプリントをことあるごとに眺めています。

IMG_2783のコピー

『桃源郷』より抜粋

自分の憧れ、夢、喜び、陶酔の世界。
個々それぞれにその人なりの思いを描くそれぞれの桃源郷があります。
でもどこにあるのか分からない。でもどうしても行ってみたいのです。
ある日突然、あの桃源郷らしいところにひょいと出た。
「やったぁついた。もうあんなに苦労して歩かなくていいんだ」
と涙して喜び、惚れ惚れと自分の桃源郷を見渡す。するとまた向こうの方からゾクゾク、わくわくがやってくる。

今度は楽、かと思いきやこれまた以前と同じ。道もわからない。
又自分一人。道しるべにも相変わらず「がんばって」の文字のみ。
また何年か登り続け、とうとうその匂いのする探し求めてきた桃源郷にたどり着きました。つからったけど嬉しい。
しばし一人で陶酔の世界。そこにしばらくいると、はるか向こうの方からもっと魅力的で行ってみたい、そのまた上の桃源郷の匂いがしてくる

この繰り返し。というお話のようなプリントです。
まさに、
イラストレーションだけでなく、すべての仕事、人生も同じくこの繰り返しであるではないでしょうか。
やっと着いたと思いきや道のりは永遠に続くのです。


6.青山塾のメリット・デメリット

青山塾のメリットは、
カリキュラムがしっかりしていて、第一線で活躍されている先生方に見てもらえるところです。

一人の先生だけだと偏りがちな意見も、4人いればどなたかは褒めてくれるのでナイーブな我々にとっては大変救われます。
あと、絵を描き始めで何をしたらわからない場合でもカリキュラムがしっかりしているので安心して身を委ねられます。
毎週なので絵を描く習慣ができるのもいいですね。

デメリットは他の塾と比べて少々お値段が高いところです。
しかし、個人的には第一線で活躍している先生方の視点を得るのに高いとは感じません。
真剣に学べば元は取れすぎるほどです。

私たちにとって必要なのは、プロの思考です。
アマチュアとプロは視点が確実に違う
それを毎週近くで体験できることこそ画塾の特権です。
自分だけではなく他の生徒にかける一言にもヒントがたくさんあります。
吸収することができないほど多くの情報が得られると思います。
すぐ忘れるのでメモするといいです。


あと、デザイナーや活躍しているイラストレーターのゲスト講師がポートフォリオを見てくれる授業もあり、かなり刺激的でした。
視点が確実に上がります。
なかなか営業にいけない、、という内向的な人にとって、
授業に出るだけで見てもらえるなんて超ラッキーです!
私の場合は「まだまだプロには程遠いな」という所感でしたが、
それがわかるだけでもやることが明確になり良いのではないでしょうか。
自分の立ち位置を冷静に見つめることができます。

私は通信教育もやっていたのですが、
本で学ぶより実践で学ぶのが圧倒的に早いなと実感しました。


7.修了

さて、青山塾の最後は意外にもお江戸の絵がMYブームで修了しました。 
今となっては何故お江戸を描こうと思ったのか思い出せません。。。

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とはいえ、
筆の使い方や、混色、構図や遊び心、『伝える』ということなど、
入る前より確実に成長を感じました。

そういえば、密かに修了展の実行委員もやっていて、湯のみのデザインをしました(私は木内先生を描きました〜どれでしょうw)▼

青山塾湯のみ

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↑湯のみを眺める先生方。
肝心の湯のみ写真が行方不明です、、(涙)。


悩み多き青山塾時代でしたが、田舎者にとって東京のど真ん中の青山に通うこと、できないながらもなんとか課題をこなす日々は青春でした✨✨
自分にとって最善のステップだったと言えます。

卒業して6年ほど経過していますが、木内先生の予言通り、
授業や先生方のお言葉がボディーブローのように効いております


次はMJイラストレーションズの体験談です。
それではごきげんよう〜✨

▼セツモードセミナーの体験談はこちら







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