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日常に色を-本当にあった不思議なこと-

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日常で本当にあった不思議なことを物語の始まりのような書き出しで書いています。 日常にほんの少しの刺激と、想像のきっかけを
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日常に色を-箱-

日常に色を-箱-

平凡な日を迎えようとしていた。
私は、最寄駅に辿り着き職場へ向かおうとしていた。
そんな中目の橋で人だかりを捉えた。振り返ると、何かを中心に人が集まっているようだった。私も人だかりの方へ向かい覗き込むと、小さな箱があった。南京錠で閉じられた小さな箱であった。
つまり、鍵がなければ開けることができない謎の箱であった。
「箱か。」と思った私はその場を後にした。その場にはまだ人が集まっていた。ヒソヒソと

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日常に色を-ある女-

日常に色を-ある女-

女は毛皮を身に纏っていた。
その所作は美しく指先までまっすぐ伸び顎に添えられていた。それはそれはとても優雅に座っていた。
目を奪われた理由ははそれだけではなかった。

今日は、最高気温30℃を越えようとしていた。
朝ですら歩けば汗ばむほどの気温であった。

よくよく見れば、コートの中にセーターを重ねて着ていた。

目を奪われているうちに、女は次の駅で降りていった。コートには穴が空いていた。

所作

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