2023会員ベスト~たかp編~

 『クローバーフィールド』って最高の怪獣映画じゃないですか? 2回生のたかpです。僕としては、国内SFコミックベストを発表せずにはいられません。

 何を言ってるのかわからねーと思うが、年末年始だし、何も分からなくてもいいんじゃねえか? と思う訳です。てやんでえ! 理屈は色々と、人々の想像に難くないものがつくわけですが、結論、僕としてはSFコミックベストを発表するZOYと、そういう心持なわけです。

 noteを再興せよとのお達しがあり、コミケにも行かず実家でのんべんだらりとした寝年末(ただの年末じゃねえぞ。)を過ごしている身でありますので、せめて木端記事の一つも書こうと思い立ちました。キャラメルを頬張り、ぬくぬくと布団に包まって『魔人探偵脳噛ネウロ』や『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』を読むという貴い時間を擲ってのことです。ぜひご一読を。

第三位『東京入星管理局』窓口基
 Twitterやpixivでの『残機無限ちゃんvsデストラップダンジョン』連載など、そのコンセプトの奇抜さ、SFカラテの強さで知られる窓口氏によるコッテコテのSF商業連載。――非公式に宇宙人と人類の交流を取り仕切る機関があった。みたいな設定からして、興奮する人は大興奮するタイプの一作。設定の凝りようが半端ではなく、噛めば噛むほど味が出る作品です。

第二位『クロシオカレント』こかむも
 しょ~~~じきなところ、漫画としてのパワーが強すぎて、なんて評したらいいか分からないんです。この作品に関しては。めちゃくちゃ面白いんですよ。キャラが立っていて画風が作品性とマッチしていて、並行して起きている物事が中期的に(具体的には現在発売中の2巻の時点で)交叉する。そこにSFとかのガジェットが嚙み合わさり、独特の読み味がある。う~~~ん、それができてりゃ苦労はしねえ! って感じの紹介ですね。『東京入星管理局』に対して、設定の説明を半ば放棄しているところがあり、(放棄しておいて理解できる、面白いってのもまた凄いところなんですが)ファンタジーの感触をもつ人も多いかと思われます。そこの区別が曖昧で、ある意味でSF的、ファンタジー的であることに固執していない感、というか。個人的にはそこが好感触でした。エンタメとして非常に面白いので。

第一位『蝉は胎児に寄生する』Dr.Poro
 や、年末になってエグイ差し込みをしてきた作品ですね。大晦日の早朝に読んで死ぬかと思いました。
 「蝉は胎児に寄生する」という以上の設定はなく、テイストは露悪的、筋も起こりうることしか起こらない話ではあります。視点人物は(わりと)視野の狭い主人公だけで、世界観も分かりにくいです。エンタメとしてどうかと言われると、評価は分かれるでしょう。
 それを差し引いて余りあるパワーが、本作にはある――と、僕としては断言します。『青天』でもそうでしたし、なんなら『黒に染めろ』からずっとそうと言えばそうなんですが、死に瀕した人物の表現が、その悲劇性を描く画が、とんでもなく上手いんです。そうした意味で本作は、Dr.Poro氏のその力が全編にわたって遺憾なく発揮されていて、凄まじいです。絶望する個人の内面をあの長さで、それでいて飽きがこないような描写で、ありきたりな反出生主義、現代でよく見るタイプの絶望を、よくもまあ、ここまで上手く描写するなあと。オチもまた「賛否~~!」って感じではありますが、(世界観どないなっとんねん、とか色々言いたくはなる)僕は大好きです。世界はあれくらい脆くていい。一読を勧めたい作品です。

 2023年も2023年とて、面白い漫画に出会えた一年でした。本記事を作成するにあたり振り返ってみましたが、SF・ファンタジーに分野を限っても、『追放されたチート付与魔術師は気ままなセカンドライフを謳歌する。 ~俺は武器だけじゃなく、あらゆるものに『強化ポイント』を付与できるし、俺の意思でいつでも効果を解除できるけど、残った人たち大丈夫?~』とか『砂の都』、『ニャイト・オブ・ザ・リビングキャット』、『よふかしのうた』、『フールナイト』、『ガチアクタ』、『出禁のモグラ』、『峠鬼』、『九龍ジェネリックロマンス』、『メイドインアビス』、『ダンジョン飯』等々、ジャンプ作品では『鵺の陰陽師』、『逃げ上手の若君』、『呪術廻戦』や『ONE PIECE』もずっと面白かったですし、2024年も様々な作品を楽しめる一年であればなと願います。今年もよろしくお願いいたします。


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