地蔵とリビドーFB

ぼくとやまなみ工房

福祉施設で入職と同時に始めた障害のある人へのアート活動について試行錯誤していた僕は、偶然手にしたチラシを見て、2002年2月末「トヨタ・エイブルアート・ フォーラム広島」というセミナーを受講した。そこに登壇していたのが、山下完和さんだった。
当時から変わらぬロックな出で立ちに、まず度肝を抜かれ、施設長という肩書きに、さらに驚愕した。
でも、この人の口から紡がれる言葉はとても優しくて、帰りの電車で『ころぼっくるの手』という、その施設のことを取り上げた本に涙した。

その施設こそ、いまや世界に名を轟かせている「やまなみ工房」だ。
そこから僕は山下さんに憧れ続け、お会いできたのは7年経った滋賀県のフォーラムでのこと。
福山にお招きしたり、僕が滋賀にお邪魔したりと変わらず交流を続けさせて頂いていて、ときどき爆弾発言をして福祉業界を騒つかせてしまう僕を山下さんはいつも気にかけてくれている。

ドキュメンタリー映画『地蔵とリビドー』には、そんな山下さんと彼が敬愛する「やまなみ工房」の愉快なメンバーが沢山登場する。
映像に映し出されているのは、素晴らしい芸術表現だけではない。
やまなみ工房に流れる独特の緩やかな時間と一人ひとりとの信頼関係がしっかりと描かれている。
強烈な個性で自己を表現するメンバーばかりだけれど、「いまのスタイルを確立するまで大変だったろうな」とか 出演者の衣装が何度も変わるのを見て「粘り強く撮影されているんだな」とか、裏方仕事にも目が向いてしまう。


上映後は、「やまなみ工房」に足を運んでみたくなる。
そして、表現することが愛おしくなる、
そんな映画です。

中四国ではたった一夜限りとなる上映会。
2/23(土)、ぜひお越しください。

ドキュメンタリー映画『地蔵とリビドー』上映会&トークショー

◆上映日時
2019年2月23日(土)16時〜(終17:02) ★上映終了後に舞台挨拶あり


◆会場
福山駅前シネマモード2(広島県福山市伏見町4-33)

◆鑑賞料金

一般 : 1,500円

大・専門学生 : 1,300円

シニア : 1,100円

高校生以下 : 1,000円


◆作品紹介
『地蔵とリビドー』
寝ころびながら割り箸と墨汁だけで大胆な人物画を描く人
目、目、鼻、口...と呪文のように唱えながら土の塊に無数の穴を開ける人
粘土の一粒一粒に恋慕の念をこめて「すきなひと」の姿を形に留める人
独創的なアート作品を生み出し続ける障害者施設として、いま世界的な注目を集めている「やまなみ工房」。
そこに通所するのは知的障害や精神疾患を持つアーティストたちだ。
彼らは実名で登場し、その日常が包み隠さず描かれている。
作品がいつ完成するのか、それは彼ら自身にもわからない。
作品が誰にどう評価されるのか、彼らはまるで関心がない。
ただ衝動のままに創作し続ける彼らの姿がそこにあるだけ。
ひとつ事実として言えるのは、作品が彼らと他社との確かな結節点となっていることだ。
アウトサイダーアートに造詣の深いジャーナリストや美術関係者へのインタビュー、障害を持つアーティスト自らが語る「精神状態と創作の関係性」など、彼らの切実な表現欲求の根源を探るドキュメンタリー。

◆監督
笠谷圭見


◆キャスト
小出由紀子(アートディーラー)、エドワート M・ゴメズ(「RAW VISION」編集局長)、向井秀徳(ミュージシャン)ほか

◆予告編
https://www.youtube.com/watch?v=rt3kUvuAW6o


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