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GMOペパボとさくらインターネットの原価比較から、レンタルサーバ事業の役割を本当に軽く考える

(たぶん)日本初、Clubhouseで決算説明会 東証1部・GMOペパボが開催 「社長がきのう突然……」

GMOペパボが決算説明会をClubhouseで行い話題になりましたね。

面白そうだと思い、その後のアフタートーク的な話聞いちゃいましたw

そのトークの中で、GMOペパボが提供するレンタルサーバであるロリポップ!の名前を聞きました。

同じくレンタルサーバで有名なさくらインターネットの損益計算書と比較したところだいぶ違ったので、違いの理由とそれぞれ企業におけるレンタルサーバ事業の役割を本当に軽く考えてみました。

消費者目線では、簡単にWebサイトを作る上で必要なレンタルサーバを提供する両社ですが、決算の中身と事業の役割はこんなにも違うのかと驚きでした。


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※GMOペパボは2019年12月31日期、さくらインターネットは2020年3月31日期決算をもとに比較しています。


原価率が全然違う


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両方レンタルサーバをサービスとして提供しているにも関わらず、原価率が30%も開きがあります。

なぜでしょうか。2つの企業の事業内容をみてみましょう。

GMOペパボ

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レンタルサーバのロリポップ!の印象が強いですが、他にもEC支援やハンドメイド販売のCtoCプラットフォームなどの個人向けインターネットサービスも行っています。

以下のホスティングはレンタルサーバ関連サービスになります。

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2019年12月期までは売上高に占めるホスティング事業の割合が50%でした。

しかし、2020年12月期の決算説明会資料によると創業以来初めてホスティング事業の売上比率が50%を切りました。

代わりに、EC市場の拡大に伴いEC支援及びハンドメイドの売上比率が50%以上になったという記載がありました。

ではそんなGMOペパボの原価率がさくらインターネット比較して低いのはなぜでしょうか。

それは自社でがっつりインターネットインフラ基盤を持たないからです。


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原価の中身を見ると、レンタルサーバを提供するホスティングサービスを提供しているのにも関わらず、サーバ関連費用の存在感がありません。

ホスティングサービスの1つで、ドメイン登録サービスであるムームードメインが、ユーザーの代わりにドメインを持つ機関に支払う登録手数料が大きく目立ちます。


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データセンター等は持たずにGMOインターネットやGMOクラウドのサーバを基盤として使い、サービスを提供しています。

データセンターを持たない、あくまで個人向けのレンタルサーバであるためあまり原価に響かないのだと考えられます。


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では同社でのレンタルサーバの役割は何でしょう。

それは、新規投資のために、安定して継続的に収益を出すことです。

レンタルサーバを提供するホスティングサービスは、営業利益の全体のうち50%以上を稼いでいます。

レンタルサーバのロリポップやドメインサービスのムームードメインは月額課金であるため、継続的にここから稼ぐことができます。

継続収益を新しいサービスへの投資に使うという循環を作るために、同社にとってレンタルサーバは重要な事業になっています。


さくらインターネット

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GMOペパボと異なるのは、がっつりインターネットインフラサービスを提供している点です。


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ということもあり、原価の中身はがっつりデータセンター関連費用です。

東京、大阪、北海道の石狩にデータセンターを構えています。

賃借料やサーバ等の減価償却の存在感があります。これらが原価率の高さに繋がっています。


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GMOペパボがレンタルサーバ売上が全体の50%前後なのに対して、さくらインターネットは15%です。


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サービス以下4つありますが、セグメントの記載はインターネットデータセンター事業の1つとなっています。

①ハウジングサービス

サーバ設置スペース、回線電源を提供

②専用サーバサービス

ユーザーが独自に設定ができる物理サーバを提供

③レンタルサーバ

サービスサーバを提供しつつ、サーバメンテナンスなどの代行

④VPS・クラウドサービス

仮想サーバ単体契約や、日割りや時間割での課金が可能なさくらのクラウドを提供 


GMOペポバのようにレンタルサーバで主に稼ぐというよりは、インターネットインフラ事業を幅広く行う企業であるゆえの1つのサービスとしての位置付けですね。


さくらインターネットといえば、地震による北海道石狩データセンターの停電後も、60時間無停止でサーバを動かし続けた話がすごい。

なぜ石狩だったのか? 皮肉なことにその大きな一因は災害リスクが低いことであった。同社の石狩データセンターの紹介にも「石狩地域は、今後30年間で震度6以上の地震が発生する確率が0.1~3%と低く、(以下略)」と明記されており、さくらインターネットにとっても今回の地震は「想定外」だったはずだ。しかし、今回さくらは約3000ラックを超える巨大データセンターを非常用電源設備で60時間無停止で運用し続けた。卓越したオペレーション能力で未曾有の停電を乗り切り、「想定外」を「想定内」にしてしまったのだ。(引用:約60時間を非常用電源設備で乗り切った石狩データセンターの奇跡

あと、筆頭株主が双日だったのはびっくりしました。

なんででしょう?誰かわかる人いたら教えてください。

まとめ

両方レンタルサーバを提供しているのにも関わらず、GMOペパボとさくらインターネットの原価率が大幅に異なるのは、前者が自社データセンターやサーバを自社でがっつりもたずにインターネットサービスを提供していて、後者が自社インフラを構えるため原価が膨れ上がるからでした。

GMOペパボはレンタルサーバをストックビジネスの軸、さくらインターネットはインターネットインフラを幅広く提供する上での1つとして捉えていると考えます。

疲れて眠くなってしまいなんとなくなまとめになってしまいましたが、お付き合いいただきありがとうございました。


(昔エックスサーバー使ってたとは言えない...)

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