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ドバイにて、地球環境問題への思い新たに。~COP28への参加

11月30日~12月13日にかけてアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで、気候変動対策を議論する国連の会議「COP28(国連気候変動枠組条約第28回締約国会議)」が開催されました。会場では参加国・地域・国際機関などによるパビリオンが設けられ、パナソニックも環境省が設置するジャパン・パビリオンに出展しました。

皆さんもニュース等で「パリ協定」という言葉をお聞きになったことがあると思います。パリ協定は2015年にパリで開催されたCOP21で採択されたもので、「世界の平均気温上昇を産業革命以前と比べて2℃よりも十分低く保ち、1.5℃に抑える努力を追求する」という世界共通の長期目標を掲げたものです。

日本政府も2020年10月、2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言しています。私たちパナソニックグループは「Panasonic GREEN IMPACT」を掲げ、「より良いくらし」と「持続可能な地球環境」を両立するために、カーボンニュートラルとサーキュラーエコノミーの早期実現に挑戦しています。

地球環境問題はパナソニックが取り組む最も重要なテーマ🔗ですから、今年は私もドバイに入り、経済産業省主催のセミナーで、脱炭素社会の実現に向け、世界全体での温室効果ガス排出の緩和に貢献する日本の技術とその開発・普及に向けたルール形成のための議論に参加し、削減貢献量の意義や国際標準化の必要性を提言させていただきました。

約200の国・地域等、約10万人が参加したとされるCOP28に現地参加して感じたのは、気候変動問題への意識の高まりです。一方で、気候変動の影響によって日本でも毎年各地で甚大な災害が起きているにも関わらず、世界各国と比較すれば日本の意識はまだまだ低く、このままでは世界から取り残されてしまうのではないか?という危機感を抱きました。

エネルギートランスフォーメーションの取り組みも活発です。中国やインドや中東は、広大な土地、豊かな日照や風などの資源をギガソーラーや風力発電で電気に変え、さらに淡水化した海水を分解して水素を生成する取り組みが加速しています。日本は山林面積が多く、ギガソーラーの設置には限りがありますし、風力発電も年間を通じて強い風が吹く欧米諸国のようにはいきません。

参加の目的

毎年世界各地で起こっている森林火災、日本では甚大な水害の頻発、これは地球温暖化の影響です。あるいは、日本では春や秋が短くなったと感じておられる方も多いと思います。早急に対処しないと、私たちの子ども、孫、曾孫の世代が、今とはまったく違う地球環境で生きていかなければならなくなってしまいます。

今、企業には「企業活動で排出するCO2削減」の具体目標を掲げ、取り組むことが求められています。これは責務としてやらねばならない。しかし一方で、この責務は各企業に負担としてのしかかるものです。これを各社が「それぞれ頑張る」のではなく、「お互いに助け合って取り組む」、すなわち他の企業、国や自治体、消費者のCO2削減に貢献する(収益を伴う)事業活動が評価される仕組みを確立すれば、社会全体のCO2削減の取り組みがもっと加速すると思うのです。

そのための指標が「削減貢献量」。

たとえば、10年前のエアコンから新しい消費電力の少ないエアコンに買い替えていだだくと、消費電力の差がCO2排出量の削減になります。また、ガス給湯器をエコキュートに替えると同様にCO2排出が削減されます。この差が削減貢献量です。

自社のサプライチェーンにおけるCO2排出をプラスマイナスゼロにするだけではなくて、各企業が事業を通じてお客様や生活者の皆さんが商品を使用する際に排出されるCO2を減らすことに貢献する。それを削減貢献量として指標化して追いかけていくのです。

一方で、CO2排出の削減に貢献する新たな製品を製造する場合、その生産の過程で新たにCO2を排出してしまいます。増えたらダメなのかと言われたら、それは削減貢献をするためにやっているということであって、その活動が環境に貢献しているというものについてはしっかりと認めて評価していくことで、社会全体のCO2削減の取り組みを加速する。

これをグローバルに業界を超えて社会全体でやっていこうよ、製造業のみならず、金融セクターや投資家の皆さんにも認識していただきたい、ということをセミナーで提言させていただいたわけです。

パナソニックが取り組むPanasonic GREEN IMPACT

パナソニックは製造業であり、工場の稼働などの事業活動から年間約220万トンものCO2を排出しています。

一方、パナソニックグループの製品は、世界で毎日10億人以上のお客様にご愛用いただいています。その消費電力からのCO2排出量は年間およそ8,600万トンと試算されており、工場から排出されるCO2の約40倍にもなります。

さらに、当社のバリューチェーン全体からの排出量は、およそ1.1億トン、これは世界の電力消費の約1%に相当します(当社の排出量は2020年度実績、世界の電量消費量は2018年実績での算出)。

私たちは、社会のCO2削減に貢献しながら循環経済の実現にもつながるさまざまな活動のインパクトを拡げることで、「より良いくらし」と「持続可能な地球環境」の両立を目指し、「Panasonic GREEN IMPACT🔗」としてコミットしています。まずは2030年までに、全事業会社のCO2排出量を実質ゼロにすることに取り組んでいきます。

さいごに

最後にCOP28で最も印象に残ったことをお伝えして終わります。

今回、COP28の開催に合わせて行われたWBCSD(World Business Council for Sustainable Development:持続可能な開発のための世界経済人会議)のレセプションにも参加してきました。WBCSDは、持続可能な開発を目指す35カ国の企業約200社のCEOが参加する連合体で、企業が持続可能な社会への移行に貢献するために様々な協働的取り組みを行っています。

そのWBCSDのレセプションで行われた、Dr. Bertrand Piccard(President, Solar Impulse Foundation)のスピーチが印象的でした。曰く、『気候変動対策を論じる際に、皆がよりポジティブに合意できる言葉を使う。「課題」ではなく「ソリューション」を論じる。「コスト」ではなく「機会」に着目する。結果としての「脱炭素」ではなく「モダナイゼーション(システムやプロセスをより新しいものにし、あるいは最新の使い方に適合したものにする)」「効率化」を論じ、「利益」につながる論点を見出す』と。

これは本当にそう思います。CO2削減貢献量も、この視点で論じることが重要。一方で、モダナイゼーションや効率化するにしても、そのための大きなイノベーションや競争力強化が問われます。

COP28に参加し、当社が向かっている方向が間違っていないこと、そしてこの取り組みをさらに加速させていかなければならないと思いを新たにいたしました。自社でできることに全力で取り組みつつ、「みんなで力を合わせる」取り組みにも注力していきたいと思います。

▼COP28に参加して伝えたこと、感じたことを動画にしました

※参加したセミナーの様子はこちらをご覧ください


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