「飛行機はなぜ飛ぶかのかまだ分からない」なんてことはない
メッセージ
× 飛行機はなぜ飛ぶかのかまだ分からない
◯ 飛行機がなぜ飛ぶのかわかっている
よくある間違い理論
同時間通過説
空気が前方からやってくる。そして翼に当たる。翼の前端で上下に分かれた空気は、後端に「同時に」到着する。ところが飛行機の翼の断面は上面が下面より膨らんでいて、上面の距離が長いので、上面の空気は速く走らなければならない。
→ 背面飛行が出来るので誤りだとわかる。そもそも同時の必然性がない
ベルヌーイの定理は適用できない説
ベルヌーイの定理は非圧縮性流体にのみ成立する法則だと主張する解説もある。
→ もとの定理はそうであるが、圧縮性流体に拡張できるので誤りだとわかる
飛び石説
翼が流れに対して迎角をとると、空気は翼下面に当たり、流れが下方に方向変更されて、その反作用で揚力が発生する
→ すごい高い宇宙にちかい空では成り立つ。通常の高さだと揚力の説明には力が足りない
正しい理解
なぜ揚力(上に持ち上がる力)が発生するのか?
1. ベルヌーイの定理。翼の上面を流れる空気の速さが下面より速く、従って、ベルヌーイの定理により、上面の気圧が下面より低くなり、翼は上に押し上げられる
なぜ上下で速度が異なるのか?
1. 翼の後方端が鋭っている(翼の幅に対して十分薄い)
2. 尖っているとクッタ条件(翼の前縁で上下に分かれた空気の流れが、後縁で“滑らかに合流”する)を満たし、翼の上下を流れる流線は翼の後端でスムーズに合体する流れをつくる
3. 尖っている=クッタ条件を満たすと、よどみ点と呼ばれる流れない部分が翼の後端に一致するようになる
4. 翼が上に傾いている(形は関係ない) おりクッタ条件を満たすため、翼の後方端(鋭い部分)で不安定な圧力分布が出来てしまう
5. 結果として半時計回りの渦(出発渦)が翼の後ろに発生する
6. するとそれを打ち消すように翼の回りには時計回りの循環(仮想的な翼を囲うような流れ)が生じる(束縛渦)
7. 時計回りの循環なので上の方は加速され、下側は減速され速度の差が生じる
8. ベルヌーイの定理から上向きに揚力が発生する
揚力の大きさはどのように求められるのか?
「クッタ・ジュ-コフスキーの定理」により求められる
飛行機が飛ぶ際の渦
出発渦
翼の後ろ側に発生する半時計回りの渦
束縛渦
翼の周りに発生する時計回りの渦