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貴方は誰で、何故死んだ?人の死に様と生き様に感動した「Return of the Obra Dinn」【ゲーム好きの雑記 第3回】

皆さんこんにちは、クチナワです。

久しぶりの更新となった今回は、Return of the Obra Dinn について解説しようと思います。今回も癖のあるゲームだ…………
(タイトルはゲーム好きの雑記にサブタイをつけるようにしました、なぜなら面白さが一目でわかりやすく伝えられるため…)

ざっくりあらすじ

ある日、あなたの元に1件の手紙が届いた。忽然と姿を消したと思われていた船、オブラディン号が発見されたため、その船で起きた事柄を操作して欲しいという。60人いた乗組員は全員死亡、もしくは行方不明になっており、彼らの身元を特定するための事前情報は「乗客名簿」と「船内の風景画」のみである。無理だと思うかもしれないが安心して欲しい。君には依頼主から渡された魔法の懐中時計がある。この懐中時計を死体に向かって使うことにより、その人間が「死んだ瞬間」をあらゆる角度から観察できるようになる。この懐中時計を利用し、「誰が」「誰に」「何で殺されたか」を正確に推理していくことが、このゲームの目的である。

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作中において最初に与えられる情報は上の二枚の絵画及び乗務員名簿がほぼ全てであり、そこから先は自分で調査を行わなければならない。

他に類を見ないゲーム体験

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今回のゲーム、ビジュアルや音楽から分かるかもしないが、「paper please(入国審査ゲーム)」の作者の作品である。BGMとかめちゃくちゃ似てる。そもそも前作の時点から書類の間違いを指摘するだけ(ほかにも色々な要素はあるけど!)という尖ったゲームシステムを魅せてくれた方であり、新作もこのような特殊性の強い作品になるのは当然の結果であるとは思われるが………今作もしっかり面白い。
そもそも主人公が行える行動が「死んだ瞬間を見る」「手帳に身元、死因、殺害相手を書き込む」のみである。過去に全ての事件は終わっており、主人公は死を覗き見ることしか出来ない。ゲームの基本であるこちらが何かをすると反応が起きるというインタラクション形式では無く、こちらからも相手からも反応が行えない、いわゆる「不干渉」のゲームであると言える。唯一このゲーム内で反応を返してくれるのは、3人の情報を完璧に一致させると情報を確定させてくれる便利手帳君ぐらいのものであり、基本的には孤独な調査を延々と続ける事になる。しかし、このゲームはそれでいい。主人公というゲームにおいて絶対的な力を持つプレイヤーが干渉出来ないことにより、どう足掻いても結果を変えられない事に対するもどかしさや、困難に立ち向かい必死に生き延びようとする乗組員への愛おしさが増していくのだ。

塵も積もれば山となる。僅かな証拠も見逃すな

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先程述べた通り、このゲームは乗組員全員の身分、死因、殺害相手を全て確定させなければならないのだが、それを確定させる情報はそこかしこに散らばっている。いや、「散らばりすぎている」。
わかりやすいものはそもそも名前が呼ばれていたり、その人しか持ちえないものを持っていたりなど…なのだが、そんなわかりやすいヒントを出してくれる死体はなかなか居ない。むしろ不親切な死体が多い、多すぎる。この作品にはあらゆる部分に希釈した薄味のヒントが大量に隠されているのだ。例えば、国籍によって服装が似通っているだとか、この人とこの人はよく一緒に行動してるから役職が近いだとか、果ては一瞬聞こえる音声の訛りから国を特定したりだとか、そんなヒントばっかり渡されるのである。そのようなヒントを拾い集め、自分の頭の中で整理し、最終的には名前と死因と殺害相手を推理する。その上で全ての推理が的中した時の気持ちよさは何物にも代えられない、このゲーム独自の感覚だと感じた。

船内の人間関係に思いを馳せる

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オブラディン号の乗組員は、当然ゲーム開始時点で全員死んでいる。しかし、死の直前に見える景色から人間関係を読み取ることは出来る。なんせ、死が目前まで迫ってきているのだ。逃げる者、戦う者、隠れる者、助ける者………………様々な人間が船内には居る。死の直前だからこそ、全員が自分の心に正直な行動を行っており、その結果として船内の人間関係を読み取ることができるのだ。この辺りはゲームをやってみないと分かりづらいかもしれないからやってみて欲しい………。

ざっくりまとめ

ということで今回は、斬新なゲームデザインの「Return of the Obra Dinn」についてざっくりと解説を行いました。死の瞬間しか見ることができないが人物に愛着が湧く、特異な作品だと思いました。作中での謎が全て解明できるわけではないのが少し残念だけど、そもそも世界の理をすべて知ることなんで出来ないのでそれくらいの謎は残っていたほうがいいのかもね…
半日ぐらいかければクリアできるゲームだったし、ちょっと難しめの謎解きなどを求めている人はやってみてね。


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