わたしの人生。 全てが小説のように、一文字一文字上手く、なぞっていれば。 文頭の1マスの空白 そこには色んな夢が詰まっている気がする。 あそこに語れない何かが、知らない何かが密集してるんじゃないかって。 今から話す私の小説は なんでもない ただの殴り書き それでも私は文に夢を見たかった。 ――― 文頭の1マスの空白に閉じ込められた私 朝、目を開けてみれば、そこには、何もなかった。そこには真っ白な天井と、枕できたシミ。 それらは、夢の破片を見たように感じた
夜中の1時を回った頃だろうか。 都心の路地裏にある 人気のない低層ビルの屋上を目指す 1人の少年がいた 煌びやかな街灯が、町を照らす中 彼の心の灯火は全て消えかかっていた。 ただのみ込まれるような 日々の時間感覚から 逃げるように、風をきって走った。 逃げ込んだ先は 廃墟化した低層ビル 人気がなく、夜景が見える 全てを終わらせるにはいい所だった ドアを開けると先客がいたようだ。 黒猫のような、つぶらな瞳の女性。 長い黒髪がふわっと風に撫でられて クスッと笑う、君
私が全部悪かった 気がついたら 貴方の腫瘍になってしまってたんだ 私を目の前にして 君は道路に吸い込まれていった ヘッドライトに照らされて 君は姿を消した 今この時が映画の一場面で 誰か、一時停止を押してくれるならと 心の底から願った 今私の記憶の中で、 君の残像が何度もループして通過している 常に 現実と夢の区別さえ出来ない私に この状況を読み込むことは出来ない 私は貴方と明け方までは繋がっていて 恋という櫁に浸っていていたのに 貴方から、したたる、これは何な
― 息を吸う度に 名前を呼んで 身体中に巡らせた 痛みを忘れているうちに 糸を通して 傷を縫った 君だけに盲目でいたいから 息を吸うように 針を飲み込んだ ― この針が心臓に回る頃に 麻酔が溶けて 空気に溶ける 酔いに溺れているうちに 恋を通して 私を縫って 君だけに盲目でいたいから 息を吸うように 嘘を飲み込んだ ― 声を出す度に 自身を捨てて 身体中がもがいた 優しさに触れているうちに 針を吐いて 喉を裂いた 君だけに盲目でいたいから 息を吸うように