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自民裏金で国税庁申し入れ

 市民団体「自民党のウラガネ・脱税を許さない会」は2024年3月7日(金)、裏金を作った自民党議員から一人残らず徴税し、政治資金が余ればすべて「雑所得」とみなす現行制度を見直すよう国税庁に申し入れた。
 藤田高景代表は記者会見で「こんなふざけたことがまかり通ったら、庶民のもう税金なんて払いたくないという怒りの声が全国から寄せられています。国民は怒っている」と話した。
 「担当者が数千万円を引き出しにしまっていてわからなかった」とか「秘書が報告しなかったので知らなかった」などの言い訳について、藤田代表は「全部嘘に決まってる。国民は納得しない」と語気を強めた。
 このほど2日間開かれた、裏金政治パーティー券に関する衆議院政治倫理審査会(政倫審)については「嘘のオンパレード。空しい言葉が国会の中を飛び回った。政治倫理なき審査会だった」と一刀両断した。

検察が立件したのは雑魚だけ
 長谷川直彦弁護士は安倍派の政治資金に関するデタラメな手法は主に3つだとして説明した=〇一回派閥に上納した後キックバックする〇上納しようとしたが突き返されたとする〇派閥に届けず最初から全部懐に入れる
 こうした酷い事案を検察が立件したのは「議員2人だけ。しかも雑魚クラスです。それに各派閥の秘書だけ。約3500万円の裏金を作った二階(俊博)さんや2000万円クラスには一切お咎めがなかった。そこで彼らはこぞって修正をしたんです」と長谷川弁護士はいう。

長谷川直彦弁護士(マイク)、(その右)大口昭彦弁護士


 長谷川弁護士は続けた。「今さら修正をしているが、そもそも入って来た時に政治資金でなかったものを届け出たから遡及的に(課税対象でない)政治資金になるということはない。なぜこんなデタラメ(な政治資金規正法の運用)が行われているのか。諸悪の根源です」。
 大口昭彦弁護士は「国家の主権者は国民なんだという強い意識を日本に我々が実現してゆくことが本当に必要です」と述べた。

一瀬敬一郎弁護士


 また、一瀬敬一郎弁護士は政治資金規正法の運用における「雑所得」の定義などの「改正を求めている。今の運用の基準についてもいかに厳格にしてゆくかが問われていると思います」と話した。
 議員にわたった裏金は雑所得にあたり、所得税と住民税を本来課されるべきもの。意図的であれば偽計行為として過去7年分の課税がなされることもある。脱税の刑事罰は「10年以下の懲役、もしくは1000万円以下の罰金またはその両方」となっている。

森友で自死した赤木さんの命日
  ウラガネ・脱税は「政治家だけの問題ではなく、国税庁の方針が大きく影響しています。庶民は非常に厳しく徴税される。一方、運用のルールは政治家については甘くなっていることが今回明らかになってきた」と政策アナリストで元経産官僚だった古賀茂明さんは語る。

古賀茂明さん(マイク)


 また元官僚として古賀さんは同日の申し入れ書面を渡す際に撮影するための国税庁側からの許可が下りたのが同日の朝だったことに触れて「マスコミ、特にテレビ局は間に合わない。もう行先が決まっている。映像が流れないと一般の国民の関心が集まりにくくなる」。
 「これが官僚のやり方です。でも官僚というのは強いようで弱い。みんなが見ているとなると、良心はあるのでいい方向に動いていく」。
 そして古賀さんは、3月7日は森友学園への恣意的な国有地売却をめぐる騒動の最中に「罪」をかぶせられて自殺した財務省近畿財務局職員だった赤木俊夫さんの命日であると指摘。
 「官僚の人たちには赤木さんのことを思い出してほしい」。

軍部が台頭した昭和初期と相似形?
 山田朗・明治大学教授(日本近現代史)は「今のウラガネ脱税をみると今の議会制民主主義が相当深刻な危機にあることを示している。国民による政党政治への信頼が失われて軍部が台頭した昭和初期の歴史と状況がかなり似ているところがある」と危機感を表した。
 「昭和初期は世界恐慌で経済的な問題に政党政治が対応出来なかったし、満州事変など中国問題があった。テロリズムが台頭し、満州事変の翌年には5.11事件で犬養養首相が暗殺された。それによって政党政治が動けなくなったのです」と当時の状況を山田教授は説明した。
 ウラガネ脱税問題をみていると「ますます議会制民主主義の根腐れを助長してしまうのではないかと思います。自らの手で改革が出来るかどうか。大きな分岐点に来ていると思います」。

山田朗教授(マイク)、(その右)雨宮処凛さん、清水雅彦教授


 作家の雨宮処凛さんは20年近く貧困現場で働いてきた経験に触れて「キックバックの金額と自分の現場との落差に愕然とした」という。ていたらくな政治状況下で「貧困に関して4年間で2500件のSOSメールを受けています。100円以下で生活する人たちも2割いる」。
 「貧困が若年化し、広がっている。彼らはウラガネ問題に怒っている。自民党の政治こそが非正規(雇用労働)の人を増やし、不安定要が増すようにしたのにです」と雨宮さんは付け加えた。

金持ち減税、庶民増税、議員脱税
 日本体育大学の清水雅彦教授(憲法学)は29か月連続で物価が上がり、一方で実質賃金は22か月連続でマイナスだと指摘したうえで、その中でも影響を受けにくい富裕層の例をあげ「本来こういう人から税金をたくさん取るべき。でも自民党がやってきたのは金持ちと企業には減税し、消費税を上げて庶民から税金を取るということだった」と述べた。
 憲法の義務規定3つのうちの一つが30条の納税の義務で国会議員の憲法尊重・擁護義務が99条で定められていることを清水教授は説明した。「そういう国会議員が脱税している。自分たちが法を守るべきであって、中国に対して「法の支配」だなんていうような権利はない」。
 古賀さんは自民党は本当の改革はしたくないという。「野党は妥協してはいけません。たとえ長引いたとしても”いつまでやってんだ”という声にのらず、徹底した改革をすべきだし、マスコミも伝えていくべきです。岸田さんは国民はバカだから忘れるという確信を持っていると思う。問題を覚えている国民がどれだけいるのかが問われます」。

会見後の登壇者たち


 会見に先立ち、同市民グループ代表たちは国税庁前で「デモ」行進を行った。が、途中で「歩きながらアピールを口にする」と申請していない「デモ」にあたるとして警官が制止する場面があった。
 言い争いが起こった。「脱税を許すのか!」「税金を払わせろ!」という声に対して警官は「プラカードを下げろ」などと命令。それに対して「国民の権利だろ!」「妨害するな!」とやり合った。
 財務省の建物内の会議室で同市民グループは国税庁長官官房の松井誠二調整室長に申し入れ書を手渡した。その場で藤田代表は「国民がこれだけ怒っていることを考えて、徴税権を発揮してほしい」と要望した。

申し入れ書を手渡した後、話す藤田代表 
申し入れ書の写し



 


 
 


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