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ニック・ロウ@東京

 定刻になると、一人でステージに上がった。そしてアコースティック・ギターを手にするとおもむろに演奏を始めた。2023年10月6日(金)にビルボードライブ東京で行われたニック・ロウのライブである。
 ニック・ロウといえば”パブロック”。辞書をみると「70-80年代にかけて、パブのような小さな会場で、ライブ中心の活動をしていたロック・アーティストたちを指す言葉」とある。
 そのまさにパイオニアがニック・ロウである。そして、プロデューサーとしてもエルヴィス・コステロ、プリテンダーズ、ザ・ダムドら錚々たる面子を手がけてきたことで知られている。
 まさにパブロックでいうパブのような東京・六本木のビルボードライブ東京に登場するのは4年ぶり。午後5時半にファースト・ステージが始まり、およそ1時間半の間に何と20曲あまりを演奏した。


 オープニングは「Man that I've become」。「そうあなたは私がそうなりたいと思うような人だ」と歌われる。さらに、2007年のアルバム『At my age』から「Peope Change」や「Rome isn’t built in a day」あるいは「I live on a Battlefield」(『The impossible bird』より)といった曲が並んだ。
 中盤は「数年前に東京で書きました」とのMCで始まった「Tokyo Bay」。

 

 「次はビージーズの曲です。ぼくはたいてい3コードだけど、この曲は何と10コード」と言いながら演奏したのは「Heartbreaker」。そう、ビージーズがディオンヌ・ワーウィックに提供した作品だ。
 「Blue on Blue」、「Raining Raining」といった曲のあとに、ニック・ロウの代表曲といっても過言ではない「Cruel to be Kind(恋する二人)」を披露し、会場は大盛り上がり。この曲は1979年に米ビルボードホット100で12位を記録、英国でもチャートの12位まで上昇した。

 


 後半戦は「Heart of the City」。そして映画「ボディガード」でカーティス・スタイガースがカバーしたことで世界的な大ヒットとなった「(What's so funnyy 'bout)peace, love and understanding」。
 ほかにも「Without Love」や「When I write the book」。アンコールは、ロックンロールのクラシックの歌詞を織り交ぜながら歌われたニックのロック愛が感じられる「I knew the bride」だった。

最前列にはニック・ロウのシングル盤ジャケットを持って応援する女性ファン

 素敵なライブだった。まさにパブのような、ちょうどいいサイズのライブ会場で活き活きとアコースティック・ギターを素晴らしいカッティングで演奏し続けたニック・ロウ。満足そうにステージを引き揚げて行った。


 
  

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