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ビートルズのベスト盤たち

 【スピリチュアル・ビートルズ】ジャケットの色からそれぞれ「赤盤」「青盤」として知られるCD2枚組のベスト2セット―『The Beatles 1962~1966』と『The Beatles 1967~1970』が生まれ変わった。
 リミックスされて、それぞれ曲数も従来よりも増やされたのだ。
 最後の新曲「Now and Then」が世に出たことをきっかけにビートルズ・ファンになった人もいるだろう。入門編としてうってつけだ。
 「赤盤」はデビューから「Fab4」として知られたアイドル時代、そして成熟期への入り口あたりまでカバー、計38曲が収められている。
 具体的にはデビュー・シングル「Love me do」、初の英国ナンバー・ワン「Please Please Me」、初期を代表する「She loves you」や「I want to hold your hand」、名曲「Yesterday」、「Help」など。
 特筆されるのは『Rubber Soul』から7曲が収録されていること。新たに曲数が増えたことで、これまで2曲しか収められていなかった『Revolver』からも7曲が収録されるなど増強された。
 「青盤」はビートルズがライブ活動に終止符を打った後から解散までのベスト集だ。67年のシングル「Strawberry Fields Forever」と「Penny Lane」、時代を反映した『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』からは5曲、最大のヒット曲「Hey Jude」、『White Album』から6曲、『Abbey Road』から6曲、人気曲「Let it be」など計37曲が入っている。
 新曲「Now and Then」も最後に収められている。だが、もう2曲はどうなったのかと思った。「Free as a bird」と「Real Love」だ。それとベスト盤のタイトルにある「1967-1970」は「1967-2023」ではないかと茶々を入れる向きも少なくないようだ。
 選曲についてはいろいろと意見がある。ここではビートルズ研究の第一人者である藤本国彦さんの意見を紹介したい。
 ー『Beatles for Sale』と『Help』からもっと曲が入ってほしかった。
 ー「I'm only sleeping」なら「Rain」だったのではないか。
 ー「Helter Skelter」も収録してほしかった。

海賊盤対策だった「赤盤」「青盤」 
 70年4月のビートルズの事実上の解散から3年経った時にベスト盤が企画されたのには、『ビートルズ・アルファ・オメガ』という海賊盤ベストが72年暮れから出回っていたことが大きな理由だった。
 73年4月19日に米英同時発売された。「赤盤」は英ヒット・チャートで最高3位、米ビルボード誌でも同じ成績だった。
 「青盤」は英国で最高2位だったが、米アルバム・チャートでは首位を獲得した。日本でも赤盤青盤ともによく売れた。
 「赤盤」「青盤」の”リミックス&エクスパンション”によって再注目されているが、それまでの数十年、人気を集めていたのは『ザ・ビートルズ1』という英米でナンバーワンになった曲ばかりを集めたベスト盤だった。


 「Love me do」から70年のシングル「The long and winding road」まで全27曲を収めたお買い得盤だった。ただ、英国でビートルズ旋風が巻き起こるきっかけとなった大ヒット「Please Please Me」とジョン・レノンのサイケデリック時代の傑作「Strawberry Fields Forever」が収録されていない。
 ビートルたちの人生は1970年の解散以降の方が長い。ソロ作品を味わいたい人も、やはりベスト盤から入るのがいいかもしれない。
 まずはジョン・レノン。彼のベスト盤はいろいろと出ている。一番新しいベストは2020年に出た『Gimme Some Truth』。CD2枚組で全36曲収録。『Power to the People: The Hits」という15曲収録のベスト盤もある。


 他にも『Working Class Hero-The Definitive Lennon』、『Lennon Legend The very best of John Lennon』、『The John Lennon Collection』というベスト集もこれまでに編まれてきた。懐かしいのは70年代半ばにアップルとの契約切れを前に編集されたベスト『Shaved Fish』だろう。
 ポール・マッカートニーの代表曲を楽しみたいなら、最新ベストの『Pure McCartney』(2016)だろうか。CD2枚組は全39曲。CD4枚組もあって、こちらだと計67曲をカバーしている。

 


 CD2枚組の『Wingspan(夢の翼~ヒッツ&ヒストリー)』はディスク1にシングル・ヒット18曲、ディスク2にポールのお気に入り22曲が収められている。ただし、スティービー・ワンダーとのデュエット「Ebony and Ivory」と、マイケル・ジャクソンとのコラボ「Say Say Say」は未収録。
 87年にリリースされた「All the Best」。米国盤と英国盤で収録曲が異なる。日本盤は英国盤に準じている。例えば、米国盤だけの収録は「Junior's Farm」「With a little luck」「Goodnight Tonight」など。英国盤のみの収録は「Pipes of Peace」や「Once upon a long ago」「We all stand together」「Mull of Kintyre」。また「Coming Up」は米国盤ではグラスゴーでのライブ・バージョンが収録されている。
 さらにさかのぼれば「Wings Greatest」というベスト盤もあった。87年に出たこのベスト集には12曲が収められていた。

 


  ジョージ・ハリスンのソロ時代の代表作をまとめて聴きたいのならば『George Harrison~All Time Best』がいいだろう。「My Sweet Lord」、「Give me love」、「Got my mind set on you」という全米ナンバーワン曲、遺作『Brainwashed』の楽曲を含む全19曲が収録されている。
 さらにはジョージのビートルズ時代を代表する「Something」、「Here comes the sun」、「While my guitar gently weeps」が、「バングラデシュ難民救済コンサート」のライブ音源で入っている。
 『Best of dark horse 1976-1989』というベスト盤もある。このアルバムにしか入っていない「Poor Little Girl」と「Cockamamie Business」が聴きものだ。アップル時代最後に出た『Best of George Harrison』というベスト盤もあった。A面がビートルズ時代の代表曲、B面がソロになってからを代表する楽曲から成っていた。

 


 リンゴ・スターのソロでは『Photograph The very best of Ringo Starr』というベスト盤がある。70年から2005年までの代表作20曲を収録している。リンゴとジョージの共作「Photograph」とポールが参加した「You’re sixteen」という全米ナンバーワン・ヒットも聴ける。
 リンゴを中心に、他の3人のビートルたちとの交流が続いていたことが分かるところがファンにはうれしいところだ。
 『Blast from your past(思い出を映して)』というベスト盤もあった。この続編ともいえるベスト盤が『Can't fight lightening』で、日本未発売。

 
 



 

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