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アングラ・レコード再発

 日本のインディレーベルの先駆けURC(アングラ・レコード・クラブ)に残された高田渡、遠藤賢司、なぎらけんいち、岡林信康、五つの赤い風船、加川良、中川五郎らの数々の名盤が再び発売されている。
 1969年に産声をあげ、70年代末に終了したURC。2023年6月下旬より毎月5タイトルずつ順次リリースされている。
 第1弾として発売中なのが、高田渡と五つの赤い風船の『高田渡/五つの赤い風船』(69)、中川五郎『終り はじまる』(69)、早川義夫『かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう』(69)、なぎらけんいち『葛飾にバッタを見た』(73)、加川良『やぁ。』(73)の5タイトル。
 いずれも税込み2000円。
 『高田渡/五つの赤い風船』(MHCL-30838)はURCがまだ会員制時代の記念すべき第1回配布アルバム。1曲目から7曲目がフォークの巨匠、高田渡のライブ音源で、話題を呼んだ名曲「自衛隊に入ろう」も収録されている。
 8曲目から16曲目が、西岡たかしと藤原秀子らが美しいコーラスハーモニーを聞かせる五つの赤い風船の作品。

高田渡/五つの赤い風船


 『終り はじまる』(MHCL-30839)は中川五郎のメッセージ・フォークの名盤。69年に中川が20歳の時にリリースされた。ピート・シーガーのプロテスト・ソングに中川が歌詞をつけた「腰まで泥まみれ」や、専業主婦の嘆きをユーモラスに綴った「主婦のブルース」までを楽しむことが出来る。

中川五郎『終り はじまる』


 『かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう』(MHCL-80840)は日本のロックの先駆者である早川義夫がURCに残した唯一のソロアルバム。弾き語りで人間の持つ閉塞感を赤裸々に語っている。
 陰鬱な雰囲気が立ち込めている楽曲を聴くたびに彼の孤独の叫びが切々と伝わってくる。「サルビアの花」収録。

早川義夫『かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう』


 『葛飾にバッタを見た』(MHCL-30841)は、なぎらけんいちによる下町情緒あふれるフォークソングの名盤だ。表題曲や深夜放送で話題になった「悲惨な戦い」など、フォーク・カントリーの名演奏が全13トラック。

なぎらけんいち『葛飾にバッタを見た』


 『やぁ』(MHCL-30842)は加川良が盟友・中川イサトとともに行った数々のコンサートから初出曲やカバー曲など、ここでしか聴けない名演を収録している。

加川良『やぁ。』


 また、URCの精神を現代に改めて問うコンピレーションのCDシリーズもスタートした。その第1弾として、TBS「報道特集」特任キャスターの金平茂紀さんを監修に迎えて、戦争と平和をテーマに選曲された『URC銘曲集ー1 戦争と平和』が発売中。こちらはCD2枚組で税込み2500円。
 主な収録曲は中川五郎「腰まで泥まみれ」、高田渡「自衛隊に入ろう」、ザ・フォーク・クルセダーズ「戦争は知らない」、ミューテーション・ファクトリー「イムジン河」、岡林信康「がいこつの唄」。

金平茂紀さん

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