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ジョージアの旅⑦

 ジョージアの旅の4日目(10月16日)は北ジョージアへ。
 途中からジョージア軍用道路にのって北へ北へ。
 その道路は全長が210キロ。トビリシから北オセチア共和国の首都まで延びている。この道路を通じてアルメニアは貨物の80%以上をロシアから輸入しているという。ロシアやウクライナのトラックが走る道路だが、昼間は停めてあって、渋滞しないように夜間走らせる。
 最初の目的地は17世紀アナヌリ要塞の二つの教会。ジェヴァリという人造湖のほとりに聖母マリア教会など2つの教会があるのだ。
 15-18世紀にこの地域の貿易を支配した人物によって建てられたのが聖母マリア教会。1659年建立。5つの塔がある。

 外壁には大きな十字架が彫られていて、その両側には葡萄の木。これは「命の木」の象徴だ。天と地を結ぶとされ、中世から十字架を表すようになった。木の下には天使が彫られている。左の天使は靴を履いておらず裸足。これは「神性(しんせい)」を表しているという。左の天使は靴を履いており、これは人間と同じ、すなわち「人性」を表すとされる。
 十字架の下には龍がいて、「優しさ」というのは常に悪魔に勝つものだということを示しているとされる。
 この壁にあるジョージア文字のアルファベットは38文字。これが18世紀に32文字になり、今日と同じになった。

 内部は17世紀、フレスコ画で覆われていた。しかし、ロシアからの王様が来ると、ロシア教会にはフレスコ画がないので、すべて白塗りにされてしまった。その上にはロシア絵画が描かれた。それが今も残っている。

 
 


 もう一つの教会は「小さな教会(ダヴタイヴァ)」。
 次に訪れたのはグダウリ展望台。標高2200メートルにある。
 ここはもう大コーカサス地方だ。コーカサスは1500キロに及ぶが、うちジョージア側にあるのは900キロ。観光地として名高いスキーリゾートもあって、11月下旬から3月上旬まで滑ることが出来るという。

 ジョージア・ロシア友好記念碑を次に見た。半円形の中央に描かれているのは母親が子どもを抱いていて足元に鳩がいる姿だ。この母親はロシアの象徴で、子どもはジョージア、鳩は平和だという。

 


 「皮肉なことです」と現地人ガイドは言った。
 18世紀後半、ジョージアはロシアに侵略され、保護領になるための条約を結んだ。それが1783年のこと。それから200年後の1983年に、その条約を記念して建てられたのがこの記念碑だ。
 ロシアとジョージア双方の画家が描いた。右側がロシアの歴史、左側にはジョージアの歴史が描かれている。


 さらに北上してカズベギという地に。ステパンツミンダ村で昼食。18-19世紀、ジョージアがロシアに支配されている時に、アレクサンドロ・カズベギという作家がどちらでも人気があった。そこからつけられた。
 午後最初に訪問したのがツミンダ・サメバ教会、別の名はゲルゲティ三位一体教会。モンゴルが侵略しているさなかの14世紀に建てられた。
 標高2170メートルと高いところに建てられたのには理由が二つあるという。一つは度重なる侵略からお宝を守るため。もう一つは牧師が「より天国に近い所にいられるように」ということ。

 
 
 


 この教会には聖母マリアのイコンが飾られている。このイコンは火災でも消失しなかったことから「奇跡」のイコンとして信仰の対象となっている。


 バスから見るこの地域の山々にはほとんど緑がない。岩がむき出しだ。
人は住みにくいだろう。少し下がると牛が放牧されていたりもするが、数は多くない。生活には車は必需品であることはいうまでもない。物資をふもとから運んでくる必要があるからだ。
 山の向こうはロシア領。簡単には攻めてくることが出来ない天然の要塞である。だから軍用道路をロシアまで通したのだろう。

 (続く)

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