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岡本和夫スペシャルバンド

 寺内タケシとブルージーンズ。その時はリーダーが抜けていたものの1966年のビートルズの日本武道館公演の前座のステージに立ったグループとしても知られる。ギタリストだった岡本和夫さんとベーシストの石橋志郎さんが横浜中華街の「李世福のアトリエ」で再び顔を合わせた。
 2023年9月16日(土)に同所で行われたイベントで岡本和夫スペシャルバンドが演奏を披露した。ライブのトリで登場。まずはあいさつ代わりにエルビス・プレスリーのナンバー「ワン・ナイト」。
 次は、作詞安井かずみ、作曲加瀬邦彦による「日本のロック・サウンドのはしり」ともいわれる「ユア・ベイビー」が演奏された。続いてはブルージーンズの代表曲の一つ「津軽じょんがら節」。岡本さんのエレキギターが三味線を弾くが如くの「叩いての奏法」で民謡を見事に奏でた。

「津軽じょんがら節」を演奏する岡本和夫さん


 そして、これがこの日のラストナンバーだった「ルート66」。
 横浜三大ギタリストの一人である李世福さんがこの時はボーカルで参加。李さんは踊りながら歌い、バックもノリに乗った演奏を聴かせた。

(一番左)李世福さん、(中央)岡本和夫さん、(右)前田健人さん

 前田健人さんの司会でトークも繰り広げられた。石橋さんは「最初はカントリーの歌を練習して、それからギターを練習して、そこそこ弾けるようになってからエレキに持ち代え、バンドが始まった」と言う。そうこうするうちに石橋さんは寺内タケシさんに誘われてブルージーンズに加入する。
 一方、岡本さんは学校の先輩に歌手の人がいて、その弟が悪人で兄のもとに行こうと誘われた。「そこは池袋のジャズ喫茶ドラムでした。するとボーヤがいなくてバンド・メンバーがみんなで楽器を運んでいるところだったから手伝わされた。それがきっかけでバンド活動につながっていきました」。

ギター4本と30発の鉄掌
 エピソードとしては、「ギター4本の時代」だったけれど、ある時に新宿のジャズ喫茶ACBに行く途中ですべて落としてしまった。「さすがの寺さんも怒りましてね、30発殴られたんです」と岡本さん。
 岡本さんによれば、およそ1か月後、目白警察から「うちで預かっている」と連絡があって4本のギター全てが無事だった。「あの30発は何だったんだろうってなりました」と岡本さんは苦笑交じりに語った。
 ブルージーンズは内田裕也さんのバックを務めていたことから、裕也さんについても岡本さんは次のように語った。「まず一つは絶対に遅刻をするなと言われました。そして裕也さんのすごいところは気遣いを忘れないことでした。あの人はちゃらんぽらんに見えるけど、全然違いました」。

ビートルズ来日秘話

 あと司会の前田健人さんから次のような話があったー「ジョージ・ハリスンは後日、日本側オープニング・アクトのギタリストのソロがよかったと発言したと伝えられています。それは岡本さんが(ベンチャーズのナンバーである)「キャラバン」で弾いたギター・ソロのことだと思われます」。
 石橋さんはブルージーンズがビートルズ日本公演の前座を務めたことについて「寺内タケシという冠がなかった。その寂しさというのがすごくありました。あとはもうやるっきゃないという気持ちだった」と振り返った。
 石橋さんは続けた。「当日は、テレビでも会って気心が知れていた(司会の)E・H・エリックさんと話をしていて「ステージに出て行ったら石でも投げられるんじゃないか」と緊張をしていたのを覚えています。エリックさんは「石橋さん、そんなことないよ」と言ってくれました」。
 順番は前後するが、当日のライブの一番手は李世福さん率いる「世福龍」だった。もう一人ギターがチャコ。ベースがミック。ドラムがメイグー。
 曲順は次の通りー「勇者たち」「LAST DAY」「灰色の街」「中国娘」「ストリートブルース」「けしの花」「HEY BABY」「HEY LADY」「ベイサイド・ラブ・ストーリー」「横浜ロッカー」「Rock My Soul」。

世福龍

 岡本和夫スペシャルバンドの前には「のんとみっちぃ」がオリジナル曲を演奏したー「Let's get body talk」「No No Noooon」「この街で」「忘れないよ」「Fly Away」「君にあいたくて」。
 ボーカルののんは歌いながら踊った。いや踊りながら歌った。時にはハーモニカを吹き、またある時にはタンバリンを叩きながら。

のんとみっちぃ


 この日、9月16日はギタープレイヤー、ライター、イベンターである前田健人さんの誕生日だった。ホールケーキが用意され、切り分けられた。

ライブ終了後、記念撮影をする出演者たち
39歳になった前田健人さんとケーキ



 

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