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永青文庫「中国陶磁の色彩」

 永青文庫(東京都文京区目白台1-1-1)は、唐三彩、白磁、青磁、青花、五彩など色をテーマとした「中国陶磁の色彩ー2000年のいろどりー」を2024年1月13日(土)から4月14日(日)まで開催する。
 2018年以来6年ぶりの中国陶磁展。永青文庫の中国陶磁コレクションより重要文化財3点を全て展示するほか、中国陶磁に魅せられた洋画家・梅原龍三郎、陶芸家・河井寛次郎ら近代の画家・陶芸家の作品も紹介される。

 重要文化財 「三彩宝相華文三足盤」 唐時代(7~8世紀) 永青文庫蔵
 重要文化財 「三彩花弁文盤」 唐時代(7~8世紀) 永青文庫蔵
重要文化財 「白釉黒花牡丹文瓶」 北宋時代(11~12世紀) 永青文庫蔵

 中国では土器・陶器をあわせて「陶」と呼ぶ。中国陶器の歴史は新石器時代の土器に始まり、赤や黄味を帯びた紅陶、顔料で文様を施した彩陶から、灰陶、黒陶、白陶へと発展していった。とりわけ灰陶は、明器(墳墓などにおさめる副葬品)や日常生活で用いる器として長く生産され続けた。

重要美術品 「灰陶加彩馬」 北朝時代(6世紀) 永青文庫蔵


 三彩とは複数の鉛釉(鉛を主成分とする釉薬)をかけ分けた陶器のことをいう。その技法は唐時代に確立し隆盛を極めた。緑、褐色、白、藍に彩られた唐三彩は器類のほか人物・動物・家屋などをかたどったものがあり、ほとんどが明器として用いられた。
 緑釉は鉛釉の一種で、中国では古く漢時代の明器にも用いられている。一時衰退するものの、唐三彩以降は絶えることなく使われ続けた。
 白磁とは白い素地に透明釉をかけたやきもの。唐時代後期に完成し、宋時代の定窯(河北省曲陽県)では象牙のような黄味がかった色の白磁が盛んにつくられた。景徳鎮窯(江西省北東部)においても技巧を凝らした白磁が次々と生み出された。元時代には白磁にコバルト顔料で絵付けをした青花磁器が発明された。

 「油滴天目」 金時代(12~13世紀) 永青文庫蔵


 黒色を呈する鉄釉の一種である黒釉はすでに漢時代より用いられ、宋時代には曜変天目をはじめ油滴天目など様々な黒釉茶碗が作られている。これらの茶碗は日本にもたらされ、室町時代には唐物茶碗として高く評価された。
 青磁は、素地と釉薬に含まれる鉄分が還元焔焼成(かんげんえんしょうせい)によって青く発色した磁器のことをいう。漢時代に本格的な青磁が登場し、明時代まで中国陶器の主流であり続けた。元時代には景徳鎮窯において青花の技術が創始され、下絵付け技法として広く定着していく。明・清時代を通して景徳鎮窯で生産され、国外へも輸出された。日本では「染付」と呼ばれ賞玩された。

「青花梅樹文観音尊」 清時代(17~18世紀) 永青文庫蔵


 五彩は透明釉をかけた磁器に赤、緑、黄、紫、青など様々な上絵具で文様を描く上絵付け技法のことをいう。元時代の景徳鎮窯にこの技法が伝わり、明時代には金色の文様を加えた金襴手など装飾性豊かなものが作られた。さらに、清時代の景徳鎮窯では技術開発が進み、ヨーロッパの七宝の技法を取り入れた粉彩と呼ばれる上絵付け技法や、桃のような複雑な色合いを表現する桃花紅のやきものなどが生み出された。

重要美術品 「琺瑯彩西洋人物図連瓶」 清時代 乾隆年間(1736~95) 永青文庫蔵



 開館時間は午前10時から午後4時半まで(入館は午後4時まで)。休館日は月曜日(ただし2月12日は開館し、2月13日は休館)。
 入館料は一般1000円、シニア(70歳以上)800円、大学・高校生500円、中学生以下無料。
 永青文庫のコレクションは、設立者・細川護立(もりたつ)による蒐集品と大名細川家の伝来品からなる。漢時代から清時代までの中国陶器100点以上が所蔵されている。

 

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