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やまがた百名山 鳥海山(ちょうかいざん)後編-日本海を望む山旅-

 遅くなりましたが、後編です。濃霧のなか無事に雪渓を渡り切り、愛宕坂という道を登っていきます。高山植物の花々が咲き乱れており、濃霧が花々の色を一層引き立てていました。

 愛宕坂を登りきると、御浜小屋に到着です。私の登ったコースは秋田県側の登山口である象潟口コースと小屋の前の分岐で合流するため、小屋は多くの人で賑わっていました。今日は、長丁場であるため休憩は程々にして小屋を発ちます。

 ガスの合間から時折、鳥海湖を眺めることができました。この上の風景に見覚えがあり、前日立ち寄った象潟の喫茶店にこの風景と似た構図の絵画が飾ってあったことを思い出しました。確かに絵画として描き残しておきたくなるような風景でした。

 徐々に天気は回復していき、眺望は良くなっていきます。残雪に緑、そしてニッコウキスゲなどの花々。濃霧で少し不安だった気持ちも少しずつ晴れていきました。

 御浜小屋から一時間ほどで、千蛇谷(せんじゃだに)に着きました。この谷には長大な雪渓が残っていました。地面の登山道と雪渓の繰り返しの登山が続きます。谷の上部まで登りきると傾斜はきつくなり雪渓のトラバースにかなり神経を使います。

 千蛇谷を登りきると、鳥海山大物忌神社に到着です。山頂はここからさらに25分程度かかり、山頂付近は狭いと聞いていたため、一旦ここで昼食にしました。昼食後、いよいよ山頂へアタックです。山頂までは、岩場の斜面が続き、落石に注意が必要です。

 登り始めておよそ6時間。鳥海山最高峰、新山(2,236m)に到着しました。あいにく登頂時は、ガスがかかっており眺望はありませんでしたが、憧れの鳥海山の登頂に喜びが込み上がってきました。

 狭い山頂は、写真待ちの登山者でごった返していたので、早々に下山を開始します。帰りのタクシーの時間がギリギリであることに気付き、少し足早に、とはいえ雪渓歩きが再びあるので慎重に下っていきました。

 下山コースは、御浜小屋までは行きと同じ、そこから象潟口コースへ下山しました。下山中、眼下に広がるのは日本海。遠く男鹿半島まで眺めることができました。山にいながら海を望むことのできる高山はあまりありませんね。

 登山開始から約10時間。ようやく下山口の鉾立に着きました。自販機で普段は滅多に買わないファンタグレープを買ってガブガブと飲み切り、登山の疲れを癒します。
 そんなこんなしているうちに、帰りのタクシーが来ました。行きのタクシーと同じ象潟愛に溢れた男性が運転士でした。鳥海山良かったですよと私、また来てねと運転士。象潟駅に到着して帰りの電車を待ちます。

 帰りの特急を待ちながら駅のホームで鳥海山を眺めました。夕日に雪渓、お花畑、そして日本海、多様な風景を見せてくれる東北の名山でした。もう少しすれば紅葉で山は染まり、冬になれば純白の姿を見せてくれのでしょう。また登りに眺めに行きたいと思います。

今回はここまで。最後まで読んで頂きありがとうございました。

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