縁の下の力持ちに導かれ、宿願達成

漫画でも嘘臭くなるような劇的な展開を経て、PK戦に突入したJリーグYBCルヴァンカップ決勝。札幌の5人目と6人目のシュートを止め、川崎に初優勝をもたらしたのは、GK新井章太だった。

新井は長く、縁の下の力持ちだった。トライアウトを経て2013年に川崎に加入したが、常に位置付けは2番手以下。16年以降は元韓国代表のGKチョン・ソンリョンが絶対的な守護神を務め、チームは2017年と18年にJ1を連覇。新井は控えとして、重要度の低い試合でゴールを守ってきた。

それでも腐らず、研鑽を重ねると、チョン・ソンリョンの不調もあって今季の途中で先発の座を勝ち取る。

そして迎えた大一番。PK戦でチームを救う。先行の川崎は4人目の車屋が失敗。新井が札幌の5人目を止められなければ、川崎に同大会で5度目のシルバーメダルがかけられてしまう。

絶体絶命の窮地。しかし、新井は冷静だった。札幌の石川の狙いを見透かしたかのようにシュートを止めると、続く6人目の進藤が放った一撃もストップ。川崎に同大会初優勝、“5度目の正直”をもたらした。

縁の下の力持ちからヒーローへ。新井章太は30歳にして、大輪の花を咲かせた。


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