養子縁組編 94回目 九拾六

配偶者のある者が未成年者を養子とする縁組には

以下の条件がありました。

配偶者のある者が未成年者を養子とするには、
配偶者とともにしなければならない。

ただし、配偶者の嫡出である子を養子とする場合

又は配偶者がその意思を表示することが

できない場合は、この限りでない。
(民法795条)

 配偶者のある者が縁組をするには、
その配偶者の同意を得なければならない。

ただし、配偶者とともに縁組をする場合

又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、
この限りでない。
(民法796条)

この二つの条件に共通するのは、
「夫婦共同縁組」
が原則ということです。

ただし、養子が成年の場合はその条件がありません。

この共同縁組の原則は、未成年者保護のための条件と言えます。

国際結婚における共同縁組は、養親双方の本国法が基準となることから

共同縁組ができない。縁組そのものができない。という事態もあります。

その場合でも、共同縁組はできなくとも、単独縁組は認められる場合も

あります。

これらのことを場合分けしていくと・・・・・

1、Aさんの本国法では夫婦共同縁組でなければならない。 

 ⇒Bさんの本国法は、そもそも養子縁組自体を認めない

 ↓

 夫婦共同縁組はできません。

単独縁組もできません=縁組自体が認められない

2、Aさん本国法では単独縁組を認めている

 ⇒Bさん本国法は、そもそも養子縁組を認めていない

 ↓

 この場合には、Bさんは、自国本国法が養子縁組自体を

認めていませんから

Aさんのみが単独で養子縁組をすることになります。

3、Aさん本国法では共同縁組をしなければならない

 ⇒Bさん本国では、単独縁組のみしか認めていない

 ↓

 この場合もAさんは、共同縁組が強制になっているので、

できないときは縁組そのものができないことになります。

 Bさん本国が単独のみですから、必然的にAさんは、

縁組ができません。

なので、Bさんが単独で縁組をすることだけができます。

4、A、Bさん本国法では、養子縁組制度がある

 ⇒養子であるCの本国法には養子縁組制度がない

 ↓

この場合でも、あくまでも養子縁組自体の可否は、

「養親」を基準に考えます

から、養親であるA、Bさんの本国法上に

養子縁組自体はできることになります。