請求書と押印⑤

前回の話では、押印された文書にはある程度の真正性に関する担保がある旨に触れました。

では、紙の文書に押印された場合にのみ限定されるのかどうか、という点です。具体的には、電子データにも同様の担保をすることは可能なのか、というところですね。

ここで、電子署名法(「電子署名及び認証業務に関する法律」)というのがあるようです。そして、第3条にこのような規定があります。

電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。

ここにも「真正に成立したものと推定する」という文言があるため、電子署名がなされているのであれば、紙への押印と同様の扱いがされるようです。

電子認証局会議の解説ページにも、電子文書に本人の電子署名があれば、紙に記名・押印したものと同等の法的証拠性が与えられるというような説明があります。

このことから、電子データにおいても、電子署名をすることによって、紙への押印と同様の担保を得られることになります。

という理論はわかったのですが、ではその電子署名は実際どれくらい使用されているのでしょうかね。

「電子署名 普及」とかで検索すると、こういった記事が出てきます。

電子署名の現状と課題

2011年の資料なのでちょっと古いですが、「総論として、電子認証、電子署名とも普及は進んでいない」という文言があります

電子署名の普及の壁

こちらは2012年の資料ですね。タイトルからわかるように、色々な壁があるようです。

ちょっと直近の資料が見当たらなかったので、若干古いですが、電子署名はそれほど大体的に普及している訳ではないみたいですね。(というか、私もこれまであまり耳にしたことがなかった)

現状においては、紙の請求書に押印するよりもまだ手間やコストなどで、電子請求書に電子署名をするのは難しい状況なのでしょうかね。

電子署名、との関連で、電子帳簿保存法でよく出てくるワードとして「タイムスタンプ」というのがあります。電子署名とタイムスタンプは、何か違うものなのか、違うとすれば、何が違うのか、というあたりを次回みていきたいと思います。

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