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#3_6 (ちょっと遅いけど)アイドル業界にひろゆきが襲来した話③

ということで、テレビ東京系列で現在放映中の
『乃木坂に、越されました〜AKB48、色々あってテレ東からの大逆襲!〜』
の方映画2021年7月から始まった。
第1回(公式的には0回?)ではAKBの歴史を辿るものとなったが、第2回に満を辞してひろゆきが登場したのだった。
今回は前回少し足らなかったため、延長戦の第三弾である。

接触の出し惜しみ

宮崎美穂曰く
「坂道や韓国系は個人アカウントがない。AKBは会いに行けるのが魅力だったが、今は会いに行かなくても交流できる。もっと会う価値をあげれれば。」
ひろゆき応えて曰く
「圧倒的な能力がある人は出し惜しみすることでより価値をあげられる。AKBに実績があるのか。全盛期であればいいが、今のAKBのネームバリューはない。」

(宮崎、お前まだいたんか…)
意外に面白い指摘で学びの多いものだった。
これはひろゆき氏ではなく、宮崎美穂に対してである。

たしかに、今の48グループに対して、坂道や韓国系は情報源、接触先が限定的と言える。
これは私の知っている範囲内であるが個人としては
AKB→握手会、劇場、有料メール、(個人差あり)Twitterなど様々なSNS、日常的なshowroom配信、ミクチャなど
坂道→握手会(⇒現在オンライントーク)、有料メール、(特別な時に)SHOWROOM
と接触が限られている。またAKBでは過去にアメブロやG+などのSNSも活用しており、非常に接点が多かったという印象がある。

まずそもそもとしてこのようなSNS発信は「アイドルの私生活の切り売り」であり、それ自体が正しいものなのかという論議は存在している。
ただ、それを正しいものと前提を置いたにしろ、そのための給料・設備投資・運営側の管理・チェック・情報流出のリスクなどを考えるとなかなかコストも大きいものとなる。
そのため、SNS運用自体がコストであるという認識は非常に重要である

また、そもそもAKBのように多数のSNSを持つと、各種のSNSの更新頻度が下がったり、またどのSNSを見るといいのかわからなくなってしまう、顧客の導線がはっきりしないから多様の対応を求められるなど、マーケティング戦略的にもマイナスが働いている。

ただ、実際坂道グループももっと配信をすべき(というより自己主張をすべき)と考えている。
これは#3_5などでも多く取り上げていたが、やはり100人もメンバーがいると単純に人が多すぎて誰が誰なのか分からなくなってしまう。
ただ、推しとは疑似恋愛である通り1対1のマッチングなのである。
婚活をする人が「誰でもいいから結婚したい」わけではなく、お見合いなパーティ-を通じてその人の内面も探っていくように、アイドルとファンの間にもお見合いの場が必要であると考える。
これが過去では全握(全体握手会?握手をする人が2-3人並ぶので、人気メンに並んでも同時に研究生などとも握手できる)がカバーしていたが、今はお金がかからずに交流する機会が皆無に等しい。

また、この交流はファンだけではなくアイドル的にも価値がある。
現状の坂道などはTVを通じてでしか見られることがなく、つまり選抜に入らないとそもそも日の目に当たらない。
勿論這い上がるのが絶対に無理ではないが、握手会参加⇒固定客が増える⇒完売率の向上⇒選抜される⇒TVで日の目を浴びる、とかなり時間と忍耐が必要になり、過去のSNSでの一花咲かせる…といった爆発力が減少してしまっている
そのため、乃木坂のような「中心メンバーは育ったがそこに集中して周りや下の世代が育ちづらい」現象が起こっていたりしている。

青春の追体験

向井地美音曰く
「AKBはおじ様達がもうできない青春の追体験ができるから売れたのでは?今の世間はどう思っているのか?」
ひろゆき応えて曰く
「流行った時代も流行らなかった時代もある。もしかしたら次のブームが来るまで売れないかもしれない。ただ他のところでちゃんと売れる構造を作っておくことが大切。」

たしかにアイドル全般に「夢を応援する」という文化は密接に絡まっており、それが即ち青春というのは間違っていない。
一方で、いまのAKBに青春を求めているかというと、おそらく今後一生求めることはないのではないかと思われる

当時(2010年台)のアイドル業界は未成熟であり、アイドルに求められる鋳物をAKBでないと消化できないという状況が続いていた。
一方同時にAKBには総選挙を代表とする、コンテンツとして残虐さ・エンターテイメント性を求められていたと感じる。
その後、AKBにからファンが減ったのは乃木坂ができたからだけではなく、単に青春の追体験という需要を他でも満たすことができるようになったからに他ならない。
2015年ごろからわーすた、まねきケチャをはじめとする今の大御所地下アイドルが登場し、気付けばアイドル戦国時代として地下アイドルが爆発的に増加した時代である。
この時に同じ需要を満たしてくれるのであれば、それ以外の質と金額で選択がなされる。
この選択において(質も正直言うとそうであるが)金額面で大きくAKB(ちなみにいうと乃木坂も)は負けを続けてしまい、人の流動が起きた。

今後仮にAKBのみが残り続けるとすれば、過去のように青春の追体験のみでまたファンが戻ってくることがあり得るが、それはあまり想像できない状況であり、AKBはやはり何か別の個性を見つけ、追求し続ける必要があると感じる

ひろゆきのまとめ

全3回にわたって記事をまとめたが、大きく言えば下記の言及があったと考えられる。

①AKBは過去に頼り、いまのAKBメンバーの個性が発揮できていない。
②話題は作れる。能動的にしつつ、質だけではなく量で勝負。
③人数が多いことをメリットとするのは、同じ方向を向く人が束になること。

①はまさに「(今の)AKBの良さは何か?」をメンバーが公言でき、ファンがそれを伝えることが必要であり、実はAKBの良さであったエンターテイメント性が総選挙の中止(やそもそも連覇が多くなった)などでなくなってきたなかで、次にAKBがとるべき方法を見ていかなければならなかったのかもしれない。

②③はこれから頑張って一花咲かせたいすべての芸能人に通じることであり、質にこだわらず量で攻めてもいいではないかという助言になったのではないかと感じる。

番組1つでAKBが変わるとは思えないし、ひろゆき氏は助言のみで実働するわけではないので、今後何か変わるとは思えない。
ただ、ただそうはいっても、我々の青春だったAKBの衰退、またおそらく今後の坂道の衰退を食い止めるのは、彼のような外部の無責任な発言でしかないのではないか
新たな風などではなく、ただ他にあった情報をアイドルで活用するだけなのだから。

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