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はじめまして、鯨井です。②

今日は、「入院生活」と「うつ病に伴う身体症状について」書いていきます。

まず、入院生活の目的は「生活リズムを整えることでうつの症状を緩和させること」です。
驚くことに、入院を勧められる私のような患者でも、それで病状が改善することがあるそうなのです。
私の記憶が正しければ、約半月ほどを服薬などはまったくない状態で過ごしていました。
(睡眠障害が起きていたので、睡眠導入剤のみ処方されていました)

入院中は、ひたすらベッドの上にいました。
外に出ることを勧められてはいましたがとてもそんな気分にはなれず、共有空間に並べられていたNARUTOを、ベッドでひたすら読んでいました。
私の趣味は読書でしたが、集中力が著しく低下していた私に小説を読むのは難しかったため、とりあえず読みやすいマンガから挑戦してみよう、と思ったのと、そういえば完結までちゃんと読んでなかったな、と懐かしくなり、なんとなく手に取りました。

今思うと、NARUTOってマンガにしては文字数が多いほうだった気がするのですが、なぜかこの時はスルスルと読むことができ感動しました。
すでに知っている内容だったのもあるとは思うのですが、何かに集中する、と言うことができなくなっていた私にとってはとても嬉しい出来事でした。

しかし、一定のリズムで生活を送るにつれて、今まではなかった症状が出てくるようになりました。
それが、「うつ病に伴う身体症状」です。

私の場合、現われたのは一言で表すと「ソワソワ」でした。
椅子に座っているとお尻のあたりがムズムズして座っていられず、立ってもじっとしていられなくて、うろうろと歩き回りたくなるような衝動があり、とにかくじっとしているのがつらい。
この症状が出ている間は心理的にも強い焦燥感があり、しかし思考はぐちゃぐちゃでまとまらず、考え事ができる状態ではありません。

うつ病というのは、やる気が出ない、体が重くて動けない、起き上がることすら億劫で、症状が重い人はトイレに行くにも地面を這っていかなければならないなど、とにかく「思考力が著しく低下し、身体を動かすことができなくなる」病気です。
もちろん私にも、そういった症状はありました。
入院前はとにかく一日中布団から出られず、自主的にできるのはトイレに行くかお風呂に入るかの二つだけで、食事も着替えもまともにできず、催促されてようやく布団から出る。
完全に「ただ息をしているだけの置物」でした。

もちろん上記の症状もとてもつらく、思考力は低下しているのに絶えず考え事をしているせいで悪い想像ばかり膨らみ、横になっているだけでも精神的な体力がどんどん削られていくような感覚があり、常に疲労感を抱えていました。
ただ、これらはどちらかというと「精神的な症状」に分類されるものです。
これに加え「身体的な症状」が出始めると、うつ病の過酷さは一気に加速していったように思います。

この「身体症状」も人によって様々なようですが、私の場合はソワソワが一番酷く、一度出ると精神安定剤を飲まなければ治まることがありませんでした。
いつ出てしまうかわからないし、始まってしまえば食事もまともに摂れず、別のことに集中しようにも体中をこのソワソワに支配されてしまっているのでマンガもまともに読めません。
とにかく薬を飲んで治まるまでベッドで横になってじっと耐えるしかありませんでした。
入院中一番つらくてしんどかったのは、今考えるとこの症状だった気がします。

半月ほど経つと、病状が改善されない様子を見た主治医が「抗うつ剤」の服薬を始めることを提案してくれました。
うつの仕組みや抗うつ剤の作用については別で記事を書いてまとめようと思っているのでここでは説明を省きますが、この抗うつ剤もなかなかに曲者でした。
体に合うものを見つけるのに時間がかかるうえ、ものによっては飲み始めの副作用がひどいからです。

私が最初に飲んだ抗うつ剤は「イフェクサー」と言うカプセル状のものでした。
副作用で一日中ひどい吐き気に襲われ、二〜三日はまともに食事も摂れず、家族に頼んでヨーグルトなどを買ってきてもらった覚えがあります。
一番少ない量から始めて、徐々に増やしていくことで薬を体に慣らして行きました。
正直、入院中に明確な効果があったかどうか、あまり実感はありません。
すでに五年以上は前の話なのもあり記憶が薄いのもありますが、入院中や退院後の自宅での療養期間もほとんど同じように布団から出ずじっとしている時間がほとんどだったからです。

入院中にやったことといえば、ひたすらNARUTOを読んでいたことと、規則正しい生活を心がけたこと、どんなに面倒に感じても必ず決まった時間にお風呂に入ること。
そのくらいでした。
まれに病院の敷地内を散歩したり、お見舞いに来てくれた母と院内のカフェでお喋りをしたり。
夜は睡眠導入剤を処方されていたため、昼間にあまり活動していなくても問題ありません。
特に変わり映えのない入院生活を一ヶ月半ほど過ごしたのち、主治医から退院の許可が出ました。

入院生活について書けるのはこのくらいです。
一番うつがひどい時期だったのもありあまり記憶がないので…。
退院後はプラスで一ヶ月半の休職期間を経て職場に復帰しましたが、五日程度でまた出勤できなくなり、復帰から二週間も経たないうちに退職。
二週間に一度のペースで通院しながら、傷病手当を受けとり生活費に当てていました。

この間、私を一番苦しめていたのはやはり突然出てくる「ソワソワ」の身体症状でした。
一瞬だけ復帰した職場に出勤する前や、本社の方と連絡を取る時など「仕事」に関連した行動を取ると出てくる、といった明確なきっかけがある時もあれば、なんのきっかけもなく突然出てきて薬で抑えるまで居座り続けることもあったからです。

実は、この記事を書いている今もこのソワソワに襲われています。
最近は症状に強弱がつくようになり、薬を飲まなくても平気な時もあれば、横になってじっと耐えなければならない時もあります。
今日は調子がいいようで薬を飲むほどではありませんが、ひたすら座ってタイピングを続けるのは少しつらく、たまに立ち上がって家の中を歩き回ったりしています。
身体症状についても個人差が大きく、また私の場合年々変化が生じてきているのもあり一概に「こういうのがあります!」とは言えません。
ですが、うつ病のつらいところは「やりたい気持ちはあるのに体が動かない」「頭がうまく働かない」といったものだけでなく、それに付随して起こる身体的な症状にもある、ということを知っていただけたら嬉しいです。

さて、今回の記事はこの辺で終了とします。
次回は「身体症状の変化」について詳しく書いていきたいと思います。
ここまでお付き合いありがとうございました。

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