極意に至るお年頃

ワクチン接種の時間調整で立ち寄った多摩センターの丸善は図書館みたいな作りだった。広いフロアに背が高くて長い本棚が規則正しく並んでいる。初めてだったので目的の本を見つけるのに苦労したしレジの場所がわからなくて焦ったけれど、機会があったらまた行きたい。毛色の違う本屋に出会うのは楽しい。

買ったのは「猫奥」の3巻と「シオリエクスペリエンス」の17巻だ。後者は買うべきかどうか少々迷った。ここからNY編が始まるということで、何となく良い予感がしなかったのだ。前巻までで十分だよという思いすらあったかも知れない。

そういう「嫌な思いをしそうなもの」に対して、最近はずいぶんと臆病になってしまったようだ。ストレスを感じることを極度に恐れている感じで、ほとんど無意識のうちにそちらへ行かないように行かないようにとしてしまう。まるで渋川剛気の合気道の極意ではないか。いつの間にかそんな境地に達するなんてずいぶんと長生きをしてしまったような気持ちにもなった。

帰りの電車では手をつけず、会社に戻ってきてしばらく寝かせてから読んだ。「シオリエクスペリエンス」の新刊で泣かなかったのは久しぶりだ。ひょっとしたら初めてじゃないだろうか。期待は裏切られた、幸いにして良い意味で。次巻は迷うこと無く買えそうだ。どんな本屋で買うのかということも含めて、楽しみで仕方がない。