頭痛ワズヒア

頭痛が右上あたりにいる。朝からずっとその位置だ。咳をすると響くし、落ちているものを拾うような姿勢でも痛みが増す。これは風邪のせいだろうか?というのが目下の謎となっている。

首や肩のコリや腰痛がひどくなると風邪に似た症状の出る傾向がしばしばあって、この頭痛もその一形態ではないかという疑いがある。確かめるにはどうしたら良いだろう。赤いセロファンを重ねてみると見えなくなる…みたいなわかりやすい調べ方があると良いのだけど。

子供の頃は頭痛が日常茶飯事だった。先日書いた「学校を休む」時の理由なんかは風邪よりも頭痛がほとんどだったように思う。そして親が迎えに来たりすると、学校の昇降口あたりでもう治ってしまうことも珍しくなかった。仮病だと言われても仕方がない状況だし、実際そう言われたけれど、仮病でないことを知っているのはこの世に僕一人だけだった。

獣医は人間の医者よりも大変だというような話を妻とすることがある。動物は自分のどこがどのように痛いかを説明してくれないし、原因の心当たりについてもヒント一つよこしてくれない。それに比べたら人間は個人差はあれど説明をしてくれるし、方針も相談できるからだ。

だけどあらためて自分が患者の立場になってみると、同じ人間だからって簡単に説明を伝えられるかと言えばそうでもないように思う。痛みとか違和感とかの極めてプライベートな感覚を、みんなどうやって表現するのだろう。頭がシクシク痛みますと言ってみたところで、それが医者のイメージするシクシク痛むと同じかどうかなんて、わかるはずもないのに。

そんなヴィトゲンシュタインみたいなことはともかくとして、僕と頭痛との関係性はどうやら子供の頃から変わっていない。それはつまり頭痛がいつまでそこにいてくれるのか僕には分からないということだ。病院の待合室あたりでいつの間にか消えてしまって、違うんです本当に痛かったんです今は大丈夫だけどさっきまでは死にそうだったんです…と必死で言い訳する羽目になるのは、なんとか全力で避けたいというようなことばかりが僕の頭をグルグルめぐっているのだった。