俺を真似たい

 思えば子どもの頃から他人を真似たいという欲望があった。A君が持っているゲームが欲しくて、B君が行った海へ行きたかった。
他人と同じものが欲しいという欲望には際限がない。もう一つ際限のないものがあった。
 俺は前者の欲望からある程度卒業出来たと思った。これは創作を始めてからのことだと思う。もう一つの沼は、自らの真の心の声を聴こうと努めて、聴くことが出来たらその欲望を叶えようとすることだ。
 これにも終わりがない。そしてゲームを買ったら一つ完了するような給水所もない。ひたすらどこまでも続く道をゆくしかない。俺はこれに人生を賭けることに意義深さを感じている。途中で死ぬとわかっていても、とってもいいなと思っている。
 俺は他人ではなく、俺自身を真似たい。そう望んでいる。
 死ぬまで悩み、渇いていたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?