見出し画像

日英伊の次期戦闘機開発計画にサウジアラビアが参画を希望!良いことか、良くないことか・・・

日本、イギリス、イタリアの三か国のあいだで、F2後継機となる次期戦闘機の開発計画がすすんでいる。これは、日本にとって「とても良いこと」だと思うという記事を、過去にエントリーした。

今回、ここにサウジアラビアがのっかってこようとしているという報道があった。

これが日本にとって「良いこと」か、「良くないこと」か、なかなか判断が難しい・・・

日本にとってサウジアラビアとは・・・

関連国の中で日本にとってもっとも重要なのは、日英準同盟関係となっているイギリスであり、その次はG7国であるイタリアである。

サウジアラビアの立ち位置とはどんなものだろうか?

サウジアラビアは中東の大国であり、スンニ派の盟主であり、世界第二位の産油国であり、言うまでもなく中東の重要国である。

しかし、軍事的に親密性を深めていく地政学的メリットがあるかというと・・・なかなか判断が難しいところだ。というか、正直なところイギリス、イタリアほどの重要性はない

記事中にも指摘があるように、サウジアラビアは紛争当事国である。シーア派への弾圧に使用される可能性がある兵器を、日本企業はドライに共同開発できるだろうか?左派系メディアがすごく叩きそうである。

また、日本は西側諸国のなかではシーア派の盟主イランとも比較的友好な関係にあるという稀有な国だ。

最近は中国の仲介で、サウジアラビアとイランは和解に向かっているが、もともとは不倶戴天の敵・・・いつ関係が再度悪化するか分からない。

そういう意味で、サウジアラビアとの軍事面での連携を深めていくことは、将来における災いの種になる可能性があると思う。

とはいえ、オイルマネーは魅力・・・

とはいえ、いくら技術があっても資金がなければ戦闘機の開発などできない。

日本は言うに及ばず、イギリス、イタリアも経済的には苦しくなりつつあるところなので、サウジアラビアから潤沢な資金供給は魅力的だろう。

日英伊のみで開発できるのが最上であるが、オイルマネーの潤沢な資金を使って「戦闘機を共同開発したという実績をさっさと作ってしまう」ことにも、メリットはないわけではない。発言権は減っても経験とノウハウを蓄積でき、それはきっとF2後継機の「次」に役立つ。

アメリカ離れを決断したならば、これは飲み込むべき饅頭なのかも知れない。ちょっと毒が入っている可能性もあるが・・・ちなみに、サウジアラビアもアメリカ離れを模索していて、新たな軍事面でのパートナーを求めているのだろう。

日本がどこまで割り切れるか、そしてどれだけ日本にとっての利益を引き出せるか、という難しい問題である。金を出させて口はあまり出させない、というような高等テクが日本にできるだろうか・・・

読めないイギリスの意図

この件において最も重要なのは、世界屈指の諜報機関を持つイギリスの意向である。

サウジアラビアは、香港問題で揉める中国、伝統的な英国の敵国であるロシアとも親しい。国家機密の集合体である戦闘機の開発情報が、敵国に漏れるかも知れない可能性について、イギリスの諜報はどのようにみているのだろう?

イギリスはかつての世界覇権国で、今なお世界に一定の影響力を持ち続ける海千山千の国である。「サウジアラビアがお金くれてラッキー♪」というだけのアホの国ではないことは明らかだ。

日本はこの件において、イギリス政府の見解及び将来的な見通しについて十分な意思疎通をしておく必要があると思う。良くも悪くも、手練手管の術に長けたイギリスを頼り、利用するぐらいのしたたかさを持ってほしい。

サウジアラビアを引き込むには、明確な「戦略」が必要

現在の日本の世界戦略は、

1.日米同盟
2.日英準同盟
3.QUAD
4.G7(とEU)

を中核とした海洋国家連合で、中国の拡張主義を封じ込めていくことである(=自由で開かれたインド太平洋戦略)。

日本からみれば、日英伊の戦闘機共同開発は、この世界戦略にプラスになるものであったのだが、今回の話題は、サウジアラビアという異分子がここにちょっと入ってくるということである。

もしもサウジアラビアを共同開発に参画させるならば、日本は目的を見誤らないように、より強く「自由で開かれたインド太平洋戦略」を実現していく意思を示す必要がある。

引き続き、日本ーサウジアラビア関連のニュースも追っていきたいと思う。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?