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コロナウイルス収束後、日本がロケット・スタートを切るために今やっておくべきこと

以前のエントリーで、コロナウイルス感染拡大により、これから何が起こってゆくかということを述べた。

対コロナ長期戦を言うなら、1年間のベーシックインカムに準備した後に「国民の皆さん、共に戦いましょう」と訴えるべき

今回は、「日本の希望」について考えてみたい。どんなつらいときにも、希望は必ずある。

これは対ウイルス戦であるとともに、各国の負け比べ合戦でもある

コロナウイルスの感染拡大を鈍化させるためには、経済活動をある程度止めざるを得ない。

これはもはや世界共通の認識であり、欧米諸国では「第二次世界大戦以来の危機だ」という強い心構えのもと、感染症対策に取り組んでいる。

すなわち、少なくとも半年から1年程度は現在のような状況が続くということを、まず覚悟するべきである。

世界経済は、恐らく1929年の世界恐慌並みに大失速する。その嵐をいかに乗り切るか、中長期的にはそういう戦いになる。

嵐のさなか、多くの企業が倒産し、失業者があふれていくだろう。世界各国の経済はマイナス成長となり、GDPは減少していく。そう、これはすべての国が負けていく戦いなのだ。

だからこそ、ウイルスを早期に抑え込み、負けを最小限に食い止めなければならない。そうすれば、コロナウイルス収束後の「相対的な勝ち」が見えてくる。

航空産業と自動車産業を例に、具体的に考えてみる。

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嵐を乗り切った先に広がるブルーオーシャン

コロナウイルス感染拡大以降、多くの国の国境が封鎖に近い形となり、世界規模での人の動き・物流の停滞がみられる。これから世界はグローバリズムだ!と言っていた時代もすでに懐かしく、鎖国・ブロック経済に近い状況になっている。

航空産業の需要は当然、激減している。この状況が長引けば、体力のない航空会社から倒産していくだろう。

そう、航空産業は苦しい。これから、世界中でたくさんの会社が倒産していく。

日本で言えば、JALとANAだ。もしも、JALとANAが倒産したり、経営統合すれようなことがあれば、どうなるだろう?

当然ながら、関連会社含め、多数の失業者が出る。

そして、世界各国で抑えていたJALとANAの発着枠を失うことになる。失った発着枠は、他国の航空会社に押さえられてしまうことになるだろう。そうなってしまえば、コロナウイルス感染が収束し、航空需要が戻り始めたとき、日本の航空会社の復活の道は、閉ざされる

自動車産業も、かなり苦しい状況となっている。世界最大級の会社であるトヨタですら、工場の操業を止め始めている。経済活動が停滞すれば、当然自動車も売れない。

あってはならないことだが、もしもトヨタや日産、ホンダなどの日本車メーカーが軒並み倒産してしまったとしたら、どうなるだろう?

世界経済が復活しはじめたときに、日本車メーカーが押さえていたシェアが、生き残った他国メーカーに取られてしまうことになる


逆に言えば、日本企業がこのコロナ不況を、最小限のダメージで生き残ることができれば、倒れてしまった他国企業のシェアも一気に奪えるということでもある。

大事なことなのでもう一度繰り返す。

コロナ不況を生き残れば、生き残った企業の目の前に広がるのは圧倒的なブルーオーシャンだ

この負け比べ合戦では、相対的に負けが少なかった者が、市場を総取りする。それが良いか悪いかではない。そういう冷酷な未来が待っている。


このことから、現時点で、日本が国家として取り組むべきことは、コロナ不況のあいだにも、「企業をできるかぎり潰さず温存する」ということだ。

小泉・竹中路線の新自由主義で、弱肉強食の市場原理に任せているだけでは、日本企業はこの荒波を乗り切れないだろう。もちろん、財務省のように帳簿上のプラス・マイナスだけを気にしているときでもない。

ここは、政府(と日銀と財務省)が主導して、日本企業を守るべきだ。護送船団を今やらずして、いつやる!?少なくとも、従業員のある程度の給与補償と、設備維持費の補償は、政府・日銀・財務省が率先して行うべきだ。日本企業を守り抜いた先には、大きな希望が広がっている

ウォーレン・バフェットの基本にして奥義でもある言葉を、金を出し渋る政府や財務省関係者はよくかみしめてほしい。

まずは生き残れ。金儲けはそれからだ。

財務省用にアレンジすると、こんな感じだろうか?(笑)

まずは生き延びさせろ。税金を搾り取るのはそれからだ。

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ブルーオーシャンでロケット・スタートを切るために、今やっておくべき他のこと

企業と従業員を温存しながら、嵐が過ぎ去るのを我慢して待つ。その先にはブルーオーシャンが広がっている。

そのブルーオーシャンの開拓のために、できればコロナ対策・不況期の経済対策と併せて政府主導でやって欲しいことがある。

①ハード・ソフトともに、ネット環境を頑健化すること。

②宅配・運送業の基幹インフラ化

③スマートシティの開発

④国内完結型産業への移行

これらは、コロナウイルス感染症対策自体が商機となりうる分野の事業であり、不況期の経済・雇用対策にもなり、さらにはコロナ不況後の世界で日本がロケット・スタートを切るための足腰を強くしておくためのものでもある。


①ハード・ソフトともに、ネット環境を頑健化すること

テレワーク、オンライン診療、オンライン教育など、現在、コロナウイルス対策として推奨されていることであるが、これを実践するためにはハードウェア、ソフトウェアともに技術革新が必要である。というより、この分野でいまこそイノベーションを起こすという気概で、取り組むべき分野だ。

そのためには、5G環境が欠かせないと思う。VRはオンライン医療やオンライン教育にも有用だ。そういったコンテンツを充実させていくためには、ソフト面での技術革新も必要である。

そこで、政府主導なり、NTTに補助金を出すなりして、コロナ不況で職を失った人を集めて、「日本全国5G化、ビジネス・医療・教育のオンライン化を1年でやります」という大公共事業を行うというのはどうだろうか。民間に任せるだけでは、質・量ともに足りないので、こういうときは国が公共事業として圧倒的ボリュームでやるべきだ。ピンチをチャンスに変えろ!

②宅配・運送業の基幹インフラ化

アメリカではアマゾンが社員を募集したように、コロナ不況にあっても宅配業は盛況だし、運送業もなくなることはない。

平時には軽視されがちな業種であるが、宅配・運送業といったロジスティックに関わる企業は、実は国の底力そのものである。

最近では、待遇の低下や労働環境の悪化によって成り手が減っているという。これを機に、運送業の待遇を見直してほしい。

アマゾンや楽天は、配送料無料というのを売りにしているが、日本人的感覚としては配送料無料というのはおかしいと思う。

自分で店舗に足を運ぶところを、持ってきてくれるということ自体がサービスなのだから、配送というサービスにしっかり対価を払うべき。ここは、国が規制しても良い。

また、ロジスティック関連のトラックの高速料金を無料化するということも、すぐにできそうだ。

ある程度国が保護する形で、物流関連の業種を国の基幹インフラ化していく。トラック運転手の給料も上げ、プライドを持って働いてもらう。そうすれば成り手も増えるし、失業者対策にもなる。

配送料を個人が負担することが、めぐりめぐって日本経済の足腰を強くする。「ポスト・コロナ」へ向けて、パラダイムシフトしておくべき分野と思う。

③日本型スマートシティの開発

コロナウイルス感染が蔓延している間、対人接触をできる限り減らすことが必要となる。これは、スマートシティ構想を後押しする絶好のチャンスでもある。

例えば、政府はコンビニエンスストアの無人化・AI化に補助金を出して、イノベーションを誘導するべき。関連産業は、一気に潤うだろう。

トヨタが富士山のふもとに実証実験都市を作るという報道も以前にあったが、自動車会社も苦しい折なので、国もある程度補助して、こういう構想も一気に進めるべきである。

トヨタ自動車、富士山麓に「スマートシティー」建設へ

実験都市内は、すべて自動運転化、宅配も自動化。店舗は無人・AI化。つまり、「感染症にも頑健なスマートシティ」ということだ。

日本が世界より遅れていたネット・AI技術を一気に革新させ、更に感染症に対して頑健な日本式ライフスタイルとのセット販売で世界に発信していくという未来も面白い(IoT+日本の伝統)。

日本式ライフスタイルというくくりの中では、日本の清潔なトイレにかなりの商機があるようにも思う。

これは新型コロナウイルス感染症と日本のライフスタイルとの対決でもある

④国内完結型産業への移行

仮に日本で感染が収まったとしても、海外の動向が分からない。世界中にサプライチェーンを持つ企業は、貿易が通常に戻るのを待つのではなく、できる限り工場等を国内に戻して、順次稼働していくべきだ。

それが国内の景気浮揚策になり、ポスト・コロナ時代に一気にシェア拡大するための橋頭保となる。

グローバリズムの時代は一段落する。有事には、結局国内生産でなければ国民への供給が滞るというのが、今回の騒動の大きな教訓の一つだろう。


次の時代の「戦勝国」となるために

戦後平和を謳歌してきた日本人にはやや刺激の強い言葉であるが、あえてそういう言葉を投げかけてみる。

「戦勝国」

今回のできごとは、人類が連帯して立ち向かうべき対コロナウイルス戦であり、本来であれば国家に勝ちも負けもない。

しかし、人が多く死んでしまったり、企業がたくさん潰れてしまった国の国力はどうしても低下してしまう。国家間の国力比べでは、どうしても相対的な勝ちと負けが出てきてしまう。悲しいが、それが冷酷な現実だ。経済的に他国の風下に立たねばならなくなるような事態は、できれば避ける方がよいと思う。

また、今回の件が落ち着けば、きっとWHOは責任を追及されることになるだろう。WHOは大改革を迫られ、下手をすれば解体・再編成となるかも知れない。

そのときに、できれば「国際機関のルールを作る側」でいることが望ましい。それはきっと、「敗戦国」の立場から抜け出すための大きな一歩となる。

・・・こういうことを考えている人が、政府中枢や官僚に一人でもいるだろうか?感染症対策自体、「2週間先」を読まなければならないことだが、「2年先」のことも想定しつつ、国益を追求する人たちの出現を強く望む。

(当記事内の写真はphotoACから引用しています)

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