対コロナ長期戦と言うなら、1年間のベーシックインカムを準備して「国民の皆さん、この困難に共に立ち向かいましょう」と言うべき

以前、国民への現金一律給付について、下記のようなエントリーをした。

国民一律2万円支給よりいい方法:出産祝い金を200万円お支払いいたします

これは、リーマンショック時の定額給付金のように、一時的な景気刺激策としてであれば、ということである。

しかし、もはや現金給付は「一時的な経済対策」では済まない段階になってきている。

対コロナ長期戦で、これから何が起こるか?

3月28日の首相会見で、安倍総理は「新型コロナウイルス感染症との戦いは長期戦になる」と宣言した。コロナの件についてはいろいろと行動が遅い安倍総理であるが、長期戦への覚悟を表明したことは、国民に危機意識を共有させるという点で良かったと思う。

では、対コロナ長期戦で、これからどういうことが起こっていくだろうか?

人と人の接触によりウイルスが伝播していくという性質から、感染症をコントロールするためには、どうしても人の動きを制限せざるを得ない。

対コロナ長期戦とは、「人の動きの制限が、かなり長い期間になるかも知れませんよ」という表明だ。

人の動きの制限によって強く影響を受けると思われる経済活動は、次のようなものがある。

観光業、ホテル業、飲食業、ディズニーやUSJ・演劇・映画館などの娯楽業、航空産業、長距離バス会社、鉄道会社など。

さらに、トヨタのような、世界中にサプライチェーンを持つ大企業も、原材料の調達がまかなわれなかったり、工場が稼働しなかったりして、苦しい状況に追い込まれていくだろう。自動車の需要も減る。スバルも工場を停止するようだ。

こういった産業が、半年~1年程度、大幅な減収見込みとなる。体力のない企業は、倒産するだろう。そうして、失業者が溢れていく。

長期戦における現金給付の意義

経済活動が止まり、失業者が溢れていく社会で、一時的な経済刺激政策など、何の意味があるだろうか。

そして、日本の国益の観点から、「コロナ後」の世界についても常に考えておくべきた。当ブログでは、これを勝手にポスト・コロナとか、ポスト・グローバリズムと呼ぶことにしよう。その時代に備えて、日本の国力をできるだけ保持しておくためには、企業倒産も最低限にとどめておくことが望ましい。これは、国策として行うべきことだ。

すなわち、ウイルス防御のためにあえて経済を失速させながら、平行して1.企業倒産をできるだけ少なくする、2.収入を失った人の生活対策を行う、という難しいかじ取りをしなければならない。

企業の負担軽減のために、固定資産税を減免するといったような案は出ているようだが、長期に経済活動が停滞することを前提とすれば、焼石に水だ。もっと、最大限の効果があるような政策を考えなければならないと思う。

ということで、ベーシックインカムとしての現金給付はどうだろうか?

これはかなり大胆な政策であるが、国家としてはまず国民に安心・安全を与えることが最大の使命でもある。

ベーシックインカムとして、1年間、18歳以上の全国民に月に10万円ずつ配給する(毎月、1年で120万円!)。最低限のセーフティネットを張った上で、経営が苦しい企業は従業員に給料は払わなくて良いが、一方で1年間は解雇をせず雇用は保持するよう要請する。つまり、国家による有給休暇だ

国民の生活の不安と、雇用の不安、そして企業としては従業員確保保持にかかる経費への不安を一気に解消するには、これしかないように思う。

1年間のベーシックインカムを保障したうえで、「国民の皆さん、この困難に共に立ち向かいましょう」と呼びかける

これで、国民マインドはかなり改善し、消費の落ち込みも軽減するだろう。

「長期戦」というからには、一回きりの現金給付だけで終わるべきではない。政府・日銀・財務省ともにこの困難に立ち向かう覚悟を示すべきだ。

「出産祝い金を支給」案は、今回の危機をしのいだ後の「復興期」に是非考慮して欲しい。けれど、今は後回し。

消費税減税もした方がいいが、実際に職を失ってしまう人が増えることを想定すれば、まずは1年間のベーシックインカムの方が重要だと思う。

失業者にも、金持ちにも、一律にベーシックインカムが行くのは不公平だという意見が当然出るが、そこを線引きしている時間はないので、まずは一律給付して、今年度の納税額を見て、「もらいすぎ」の人には翌年度課税すればいい。

たとえば、令和2年度の収入が1000万円以上の場合には、支給額の半分にあたる年額60万円を納税してもらう、など。

とにかく、政府・日銀・財務省が「ともに戦う」という強いメッセージを国民に発することが、何よりも重要だと思う。国民が苦しい折だ。国会議員も給料や歳費を自主返納してもらいたい。

財源はどうするんだ!?という懸念

ベーシックインカムをそれだけ払うとなると、数百兆円のお金がかかる。財源は一体どうするんだ?ということに当然なるわけだが、そんなものは知らん(笑)

欧州では、「第二次世界大戦以来の危機だ」という声が聞かれる。すなわち、これは戦時だ。戦争中に、財源は?財源は?とばかり言うのは愚かなことではないだろうか。

コロナ債として100年国債を発行してもいいと思うし、インフレ覚悟で日銀がお札を刷ればいい。これは非常事態だ。企業倒産が増えたり、国民生活が成り立たなくなれば、そもそも納税する者がいなくなる。ベーシックインカムはほとんど内需に回るだろうから、どうにかギリギリそれで経済を回していくのが、最も傷が浅いのではないだろうか。

アメリカ政府が打ち出した経済支援策が総額220兆円ときく。数百兆かけて国民生活を守るのが、法外に高いとは思わない。しかも、それがきっと「ポスト・コロナ」時代に意味を持ってくる

財務省よ、真のエリートなら国を滅ぼさないで欲しい

財務省は常にプライマリーバランスの安定化ばかりを言い、国民からあらゆる手段を尽くして税金を搾り取ろうとする。

そこに、国家百年の大計は見られない。

今回も、こんな大胆なインフレ政策はなかなか容認しないだろう。

しかし、くどいようだが今回は「半ば戦時」だ。プライマリーバランスばかり言っているときではない。平時思考は改めてもらいたい。

今、日本国を死なせるわけにはいかない。財務省にとっても、将来の金づる(納税)のために(笑)、今回は大胆な方策を示して欲しいと切に願う。



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