「海賊マンガを読んだら海賊を目指すわけではなく..」では論点がズレてない?

つい先日の通勤途中に見かけた、ITメディアのニュース記事から。

存じ上げずで申し訳ない三才ブックスという出版社。
こちらの一部の出版物が鳥取県から有害図書指定を受けて、Amazon.co.jpで取り扱いがNGになった件について”言いがかり”と訴えているとか。
なかなか雑誌も売れなくなってきている中、いろいろと大変なんでしょう。ラインアップを見るに、マニア向けの印象は否めない..かな。

「海賊マンガを読んだら海賊を目指すわけではなく、ヤクザ映画を見たらヤクザになるわけではない。多様な情報に触れ、取捨選択しながら清濁併せ飲むことが、青少年の健全な成長には必要なのではないか」。

前述の引用記事より:Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ちょっと気になったのは上記の、記事文末の言い分でした。
鳥取県の説明に疑問を呈し、同社の見解をまとめた内容の一説だとか。
これ、どこかで聞いたような論法だと思ったら、大きな事件があったときに被疑者がヲタク認定で全体がバッシングされたりすると必ず出てくるやつ。
たとえばアニメを見ても悪いことしないのが大半だし、見てなくても犯罪を犯すやつなんて幾らでもいる、みたいな。

これ、何の解決も導かない”へ理屈”だと思うんです。
犯罪を犯したひとが見ていたものって、必ずしも何らかの影響を受けていたのは間違いないだろうし、そこについては究明されるべきだと思うんです。
状況や状態に応じて、たとえば「彼女いない歴=年齢みたいなのがレンカノを見続けると、〇〇パーセントの確率で勘違いの妄想を始める」みたいな統計って、もちろんされてるわけはないんだけど間違いなくあり得ると思っていて、何かの勢いで妄想のタガが外れる可能性だってゼロじゃないわけで。

例えば有害図書になった「裏グッズカタログ2022」には、つまようじを発射できる弓矢形のオモチャが紹介されているそうで、まあ気にしなければ知る機会もなさそうなもんです。が、掲載されることで知られる機会は増えて、もしかしたら弱者への虐待だったり、あるいは失明につながる事件が起きて問題になるかもしれません。
この内容に対して鳥取県側は「殺人、強盗、傷害、暴行その他の反社会的行為の準備や実行行為の手段、経過を詳細かつ著しく刺激的に表現しているもの」という有害図書類の指定基準に抵触すると判断したそうです。
間違っちゃないと思うんですけどね、県側の判断としては。
そういう条例があって、本来の用途外に用いることでひとを傷つける方法を載せている本があるとすれば有害図書なんじゃないの、と思うんだけどな。

たしかに海賊マンガを読んだところで海賊は目指さないけど、ゴムみたいに手足も伸びないわけで。でもヤクザ映画で任侠に憧れちゃったりするのは、多感な時期であればこそ可能性もある気がするし、そもそもAmazonがなくなると売り上げ落ちるから必死みたいな印象のほうが勝っちゃうところも。
言っちゃ悪いけど、高尚な雑誌ってわけでもないでしょうに。

こういう固執して抗うサブカルがタチ悪いのは、アニメを叩かれて半ギレで過剰反応するオタクと同じで、いつでも同じ論法なんだよね。

まったく悪意なく一例として引き合いにするだけだけれど、たとえば独身で彼女なし40歳の男性が「好きなアニメはプリキュア」っていう異常性を自覚して、どう世間ズレと帳尻を合わせて暮らすかってのこそ本懐じゃないの?
指さされたら甘んじて退く覚悟も必要じゃないの、って思うんです。

けっこう大事なところだと思うんだけど、どうなんでしょうね。

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今回のタイトル画像は「lindsey」様からお借りしました。
ありがとうございましたm(__)m