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デストピア幸福論て、あながち笑えないけどね

ぶっちゃけ幸福度なんだと思うんだけれど、ぼちぼち偉そうに主要国なんて言われておきながら世界ランクでは50位あたりをチョロチョロしてるのが、わが国の評価だったりします。

ゴジラでも来てくれないかな的な現実逃避が、ふと頭を過ってみたりして。
そんな発想を振りきれるところまで振り切ったのが本作の正体かも?

ブラック企業で生きる屍のように働いていた主人公が、街に生きる屍の溢れかえっていた朝に「もう会社に行かなくてもいい!」と歓喜してはじまる。
視点を変えるだけで王道が邪道になる小気味よさ。
まったく導入のほかは、なかなか忠実ってくらい真っ当なゾンビものなのも上手いというか、そこに「楽しんじゃうやつ」のエッセンスひとつで、そうまで雰囲気って変わっちゃうもんなの? というのが楽しいところ。

良くも悪くもバカバカしい、これまたマンガとしても王道。
じつは名作になっちゃうんじゃない? って可能性を感じさせつつ気負ってる印象もない、ともすれば悪ノリみたいな軽さ。

だって満面の笑みでゾンビに追われながら走る主人公なんてのを、すんなり受け入れさせるとか、なかなか見事だと思います。

この物語が面白いのは「日本だから」ってのもあるんでしょう。
海外にだって仕事で鬱になるひとは幾らでもいるわけだけど、こと日本ってたとえばムリしてでも働くのが当たり前みたいな根性論て根深くて。
ポキンと折れないで上手にしなっちゃって嫌々でも仕事を続けられてるひとのほうが多いんじゃないかって思えるところがあって。

笑っちゃうけど、あながち笑えないところもあって。
だから満面の笑みでゾンビに追われながら走る感情やらも想像できちゃう。

ヤバい日本だから生まれた、ヤバいゾンビもの。
だってある意味、元ゾンビが生ける屍に囲まれながら人生を全うしようって筋書きなんだもの。

これ、飲みながら観るくらいがちょうどいいかも。

コロナ罹患して、熱あって咳とまらなくても在宅ならOKって仕事してるやつが笑えるって言うんだからダマされたと思って是非どうぞ。