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漫画村問題の先にあるデジタル価値の流出

WIRED編集長のインタビューで「世の中に起きる変化は音楽が最初に直撃するんです」という話があって凄まじく同意したのですが、最近でもっとも顕著だったのは音楽が経験して出版まで波及した漫画村問題でしょう。

これずっと思ってたことなんですが、コンテンツがデジタル化することで 価値が流出してしまう現象というのは音楽が真っ先に直面してて、今後いろんな産業で起こりうる問題だと思ってます。で、別に今更で新鮮な話ではないかもしれないけど一回くらいちゃんと文章に残しておこうと思ったので書きました。

音楽が真っ先に体験したデジタル価値の流出

そもそも、漫画村問題の根本は以下の2点。

①コンテンツを、デジタル化とインターネットによって不特定多数の人が無料で触れる状態にすることができる、なっていること

②これらはデジタル情報なので、プラットフォーム(漫画村というサイト)によって素早く、消費しやすくパッケージされてしまうこと

この現象、30代以上の人なら10年以上前に音楽で体感してるはずで、CDのリッピングが横行し(①)、winnyとか黎明期のYouTubeとかでシェアされまくった(②)のと同じです。

そんなこともあり、僕が仕事で音楽プロモーションに携わってた2010年頃は、まだYouTubeにMVをあげることの是非が議論されていたし、その前はYouTube、というか音楽をデジタルにすること自体が相当に悪者扱いされたというのを聞いています。

当時と違いがあるとすれば、ネットインフラの発達と、スマートフォンの進化。結果、漫画とかアニメのビジュアルなコンテンツまで及んでしまったのが、漫画村やAniTubeだったのかなと思います。

デジタルの発達で他の産業にも

当然、漫画村やAniTubeなんてものは無い方が良いに決まってます。

ですが、これらの事実は、デジタル化することによって価値の流動性が高まると、どこかで、少なからず価値が付与されないままコンテンツが流出し消費されはじめてしまう。
すなわち、デジタル化が進むことによって相対的に価値が下がってしまうという現象が必然的に起きてしまう、ということを示していると考えてます。

そもそも消費者が対価を払わなくて良いものだと思いこんでしまったりとか。


これは他の産業でも全然起こりうることだな〜と思っていて。

例えば家庭に自動料理ロボットが普及して、レシピをインストールすれば再現できるみたいな時代になれば、高級有名料理店のレシピが無料で流出してお店に行かずに自宅で済ませてしまう人が増えてしまうかもしれません。

VR体験が発達していけば、ディズニーランドやUSJのアトラクションがデータとして無料で流出して、パークに行かなくてもトイストーリーとかハリーポッターとか楽しめるようになってしまうかもしれません。

デジタル化によって流動性が高まることで、ユーザーとしては消費しやすくなる一方、生産者からすると価値を付与できないまま、コントロールできない場所で勝手に需給されてしまう可能性が高まっていきます。

もちろん、法規制などで違法流布などは排除されるべきですが、ある程度の限界はあるでしょう。そもそも、ユーザーの消費に対する意識が変わってしまう。
なので、これはデジタル化の必然だとおもいます。

どうデジタル化と向き合うか

ただ、生活の周りにあるいろんなものがデジタル化することの流れはおそらく止められないです。これは便利だし進化なので。

なので、コンテンツビジネスまわりではこれまでも言われてるように、デジタルコンテンツそのものではなく、イベントや体験・文脈・コミュニティに価値付けしようという流れが強まってます。
または、SpotifyやNetflixなどのサブスクモデルへの移行も進んでいます。

僕個人としては、コンテンツに対しての企業からのタイアップやスポンサードの活発化がコンテンツ側のビジネス課題の解決の助けになれればなーと思ってSHAREPOP.tokyoカルチャーマーケティングを謳ったりという活動をしてたりします。

いろいろ書いてみたんですが、とはいえインターネットによってカオスを孕みつつも世の中面白くなっていったと思ってるので、カルチャーの作り手であるクリエイターに還元されながら、常に面白い世界にアップデートし続けられるようにしたいですね。

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